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飲食店未来学79:飲食店のお米高騰対策

今まで長期に渡り、一杯のご飯は原価45円でも200円以上の売価で売れた利益メニューでした。しかしここにきて、春以降の需要増と品不足によるお米の値上がりと、さらに秋以降の米価が30%~50%上がることが確定的となり、飲食店は急激に「お米対策」を迫られています。

スシローは17gのシャリを12gに落とした


これが1貫12gのシャリ(以前よりふっくら お米×空気たっぷり

全国規模の回転すしチェーンでは、各店舗のシャリのグラム数を2年前より5g落とすと、途方もなくコストダウンになる。より安いお米もブレンドして混ぜて食味が落ちるるため化学調味料が多く使い、以前より食後に喉が渇くようになった。

また、私の苦手な赤シャリも利用客のニーズではなく、定期的に2週間程度実施されるのは、「アニキの整形シャリ」の生まれ変わり対策だと思えるようになった。成形された寿司のシャリは寿司専用保管箱で3日以上保管される。前仕込みのため、来店人数が大きく変わると過不足が出る。(赤シャリはお米の鮮度もないし酢も効いていない。食べてもスシローなりの満足感もない)

数百店舗の生ネタを供給するためには、コストもいとわないために、シャリ、寿し醤油、粉茶、シャリ酢、お手拭き、箸などの固定のベース軽費はどんどんコストダウン対象経費として突き詰められることになる。

またこんなことも発見した。スシローの一皿価格が高い都会立地のお店には、手に入った生ネタの高品質部分を配分し、120円の皿のエリアにはそれなりの生ネタを送ってきている。(当然と言えば当然)

また同じ120円提供エリアでも、2000万円を超える月商のお店と以下のお店では、鮮度もネタの形状も生ネタの品質も違う。スタッフの技量の差もあるかもしれないが、手に入った生ネタをピンポイントで何店に送るか基準が決まっているように感じる。すべては売上高に順じた商材のあり方です。

大盛り自由、お替わり自由がなくなった

従来の10kg3,500円クラスのお米であれば、ごはんに換算すると、1kg/175円なので、ごはん一杯200g~250gの時の原価は35円~44円でしたが、50%仕入価格が上がると、ごはん1kg/262.5円なので、ごはん一杯が52.5円~65.6円に跳ね上がります。

この影響で、大盛り自由や、お替わり自由をやめるお店が続出しています。

美味しいお米に需要が強く入手困難

私が購入している農園さんのお米も無農薬栽培ですが、収穫期を前にした九月期でももう在庫が底をつきかけているとのことです。多くの需要は、従来のお米のファンの購入客が、遠方の親類縁者に送料を2,000円かけても送っているからとのこと。

美味しいお米と評判の農家は新規客はすべてお断りだそうです。生産量を上回る需要があるためです。また、10kgにつき1,000円の値上げを検討しているとのことです。テレビのニュースで見るような5kgで1,000円越えという値上げは田舎ではありません。

飲食店に納める米穀業者は契約単価が上がらないため、お米の食味を落として納品するため飲食店のごはんが軒並み美味しくなくなった

これは今年の4月以降に感じたことです。30kg8,000円~9,000円で仕入れていたお店も、食材高騰を受けてお米の仕入価格の値上げを簡単には受け入れられずに工房をしています。

その余波を受けて、一番迷惑なのがお米好きな利用客が、以前より美味しくなくなったご飯を食べさせられています。

黒字経営のお店は良質のお米を仕入て提供し、利益の薄いお店は国産米に海外産のお米(カルフォルニア産のジャポニカ米など)をブレンドして、コストの調整を図っていると予測できます。

ごはんの美味しさで飲食店の差別化が始まります。(私は米穀店よりも農家指定買いを勧めます)*JAは良いお米をブレンドして価値を落とします

また、食味を改善する方法も多く行なわれるでしょう。

ごはん一杯の価格は500円まで上昇する

1杯のご飯の売価は高くて380円どまりです。しかし今後は、銘柄や産地、品質、保管状況により様々な売価が生まれるでしょう。

そして特別美味しい白ごはんは一杯500円土鍋て炊いた1合のご飯は1,200円~1,500円が当たり前になることでしょう。一番のご馳走がごはんになる時代の到来です。

(了)


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