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麻生田町大橋遺跡 土偶A 166:葦と馬頭観音

岡崎市桜形町(さくらがたちょう)を流れる乙川(おとがわ)に架かった天神橋から、下流180m以内に架かっている西風橋に移動しました。

岡崎市 西風橋〜鍛埜町
岡崎市 西風橋〜鍛埜町

西風橋上から上流側を見下ろすと、水面までは15mくらいありそうで、乙川の川面には両岸からは樹木の枝葉が覆い被さっていた。

岡崎市桜形町 乙川 西風橋上流側

水の流れはゆったりしていて、両岸に白い砂浜ができている。
水路の中央部は水深が深いようで、左岸(上記写真右手)側以外には石が頭を出していなかった。

下流側を眺めると、一転して水深は浅く、おびただしい石が川床を埋め、転がっている。

岡崎市桜形町 乙川 西風橋下流側

堆積した石を埋めた土砂が30m近くある川幅の80%以上を埋めてしまっている部分がある。
両岸は護岸されていないのか、潅木で完全に覆われている。

水深の浅い水面下を眺めると、川床は河原石で覆われており、数個の小さな石に溜まった土砂にも雑草が繁殖している。

岡崎市桜形町 乙川 西風橋下流側 川床

石をよく観ると、転がって角がすっかり取れている石と、割れて角の鋭角の残っている石が入り混じっている。

岡崎市桜形町 乙川 西風橋下流側 川床の石

西風橋から1kmあまり下流の麻生橋に移動した。

麻生橋は直接左岸に面して延びている県道35号線に接していた。
麻生橋から上流側を眺めると、乙川を辿りはじめて以来、もっとも空が開けている場所だった。

岡崎市桜形町 乙川 麻生橋上流側 葦

川幅も26m近くあり、左岸(上記写真右手)の35号線には森が迫っているのだが、右岸には水田が広がっている。
川床には水深が浅いことから、河原石が乾いた頭を出している。
両岸にはここまで見られなかった葦が繁殖していることから、川床にほかの雑草は見られない。
5月中旬ということで、葦の丈は1mほどと、まだ短い。
ここで初めて葦が繁殖している要因は、空が開けていることによる日当たりの良さが影響していると思われる。
葦は雅楽の吹物(管楽器)である篳篥(ひちりき)のリードである蘆舌(ろぜつ)に使用されるが、日本では淀川流域の鵜殿地区(うどのちく)の葦が蘆舌に最適だとされているそうだ。
雅楽師の東儀秀樹は篳篥でポピュラー音楽を演奏してレコーディングしているのだが、中には以下のような神懸かった演奏がある。

麻生橋から下流側を眺めると、26m近くあった川幅も麻生橋の下流20mあたりから急速に狭まり、護岸もされていない。

岡崎市桜形町 乙川 麻生橋下流側

麻生橋のすぐ下流部分は水深が、くるぶしあたりくらいまでしかない。

麻生橋から620mあまり下流の乙川に架かった無名橋に移動。
ここは、すでに鍛埜町(かじのちょう)に入っている。
橋上から上流側を眺めると、左岸(下記写真右手)に沿った35号線の石垣は上部がコンクリートブロック、下部はコンクリート壁で美しく護岸されており、日陰になっていることから雑草もほとんど見えない。

岡崎市鍛埜町 乙川 無名橋上流側

左岸と水面の落差は8mほどあるのだが、右岸は護岸されておらず、岸がアール状になっており、水面との落差は3mくらいしかない。
右岸は橋のすぐ上流部だけ、樹木も葦も伐採されて開けているのだが、その上流部は葦が川面に垂れ下がって水面を覆っている。
水は不透明で水深は不明だが、川床に石がまったく見えない。

一方、下流側を観ると、水は透明で大きな石も水没していることが確認できた。

岡崎市鍛埜町 乙川 無名橋下流側

橋の20mあまり下流で右にカーブしていることから、そのあたりには石の堆積が多くなっており、水面上に石が頭を出している。
右岸は上流から続いて草と樹木が伐採されていた。
橋を境に35号線が乙川から離れていってしまっているので、左岸は完全に樹木に覆われてしまっている。

無名橋から120mあまり下流に架かっている万年橋に移動。
万年橋の歩道橋上から上流側を眺めると、水面までかなり距離があり、上空から両岸に繁殖している樹木の梢を見下ろしている光景だ。

岡崎市鍛埜町 乙川 万年橋上流側

両岸とも護岸されておらず、川筋が直線部なので、川床には巨石が転がっているものの、土砂は堆積していない。
遠景には山の尾根が立ちはだかっている。

万年橋の下流側は車道のみで、立入れるスペースが無いので、様子が観られないのだが、下流側の橋の袂、35号線に沿ってコンクリート葺切妻造棟入でコンクリートブロックを積んだ躯体を持つ、堂が設けられていた。

岡崎市鍛埜町 堂

堂内はコンクリートブロック壁で左右に2分され、左に馬頭観音、右に地蔵菩薩が奉られている。
ここも鍛埜町だ。

馬頭観音像は三頭六臂(さんとうろっぴ:頭が三っつで、腕が六本)で、根本馬口印を結び、長い髪を逆立て、頭髪に馬頭を戴き、舟形の後背を背負った見事な石像だった。

岡崎市鍛埜町 堂 馬頭観音像

憤怒相は、さほどきつくない。
持ち物は斧、日輪、索(紐)などが確認できる。
馬頭観音像は絵になる像なので、出来の良いものが多い。

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鍛埜町も上流側の桜形町と同じく丁番を持たない単独町名であり、32の小字が設置されている町です。ここでも難読小字名ベスト3を挙げてみます。★字三升蒔(さんじょうまき) ★ 字宮柳(みやなぎ) ★ 字土田(どだ)


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