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今朝平遺跡 縄文のビーナス 61:不明の水神

豊田市に祀られている2ヶ所水神を巡ります。豊田市前林町に前林水神が存在するので、10月中旬に前林町に向かいました。

愛知県豊田市前林町 前林水神
豊田市前林町 前林水神/逢妻女川 竹橋/立入池

前林水神は広大な畑地の中の1画にあった。
地図を俯瞰すると、正方形の社地は2つの農道が交差する角地にあり、交差する2つの農道に面している。
ほかの2面は畑地に面していた。
下記写真は前林水神の社地の西側から撮影したもの。

豊田市前林町 前林水神 杜

社地の周囲は2mほどの高さの生垣で四方を囲われ、社頭は上記写真の一番手前の角にあった。
社内には生垣越しに複数の種類の樹木、配電設備が覗いている。
この杜の北西側に面して前林水神の社地と等幅の住宅が存在する。
愛車を写角に入らない畑地の脇に駐め、前林水神の社頭に立つと、入口は北西を向いていることになるから、かつてシリウスの存在した方を向いていることになるが、これは単なる偶然だろう。
神社の社頭を設ける南や東は畑地になっているから、道路のある鬼門を避ければ、北西側に社頭を向けるしかないからだ。
境内に入ると、鳥居や常夜灯の類は見えず、社地の南西側の外郭と、その外郭に平行に社内に設けた生垣に挟まれた幅4mほどの表参道が南西側の外郭に沿って南東に延びており、社内の生垣が途切れると、生垣の延長上に短い松並木が設けられていた。

前林町 前林水神 表参道

社頭からは基本的に樹木と雑草の刈られた地面しか見えず、人工的なものは見えないようにしてある。

松並木の途切れている場所まで入っていくと、90度左方向に設置された前林水神の社殿の真正面に立つことになった。

前林町 前林水神 社殿/板碑/社叢

社殿は裏鬼門の南西を向いて祀られている。
その社殿は北東側の外郭の生垣の近くにあり、社地の中央部は開けていて、何も無く、地面には手動の草刈機の痕跡がカーブした波のような縞状に見えている。
街灯も設けられており、野良仕事が終わった後の時間帯でも参拝できるようにしてある。

社殿の前に立つと、瓦葺入母屋造平入2間造で、正面にガラス格子戸が閉じられている。

前林町 前林水神 社殿/社叢

注連縄が下がっているが、これが無ければ、社殿というより堂だ。
社殿は高さ40cmほどの石垣を寺勾配に組んだ基壇上に設置されている。
社殿前で参拝したが、よそ者が訪れる神社では無いので、祭神や由緒に関する情報は現場にもネット上にも見当たらない。
個人的に興味を惹かれたものは社殿以外には社地の南角に置かれた3つの石だけだ。

前林町 前林水神 石

頭の尖った水平に割れた立石と、その両側左右の奥に石が一つづつ配置されている。
見方によっては陰茎を表す陽石に見えるものだが、特に祀られている気配は無い。
畑地を開墾していて、ここに3つの石があったので、この石を元に社地が設定されたのか、社地が設定されてからここに持ち込まれたものなのか不明だが、後者だろうな。

水神は水のある場所に祀られるものだが、これまでの体験では池よりも水路脇の方が多い。
一方、池の方は弁財天や八大龍王の方が主だ。
それで、まずは前林水神の西700m以内を南北に流れている逢妻女川(あいづまめがわ)を観にいくことにして、逢妻女川を見下ろせる橋のうちもっとも近い竹橋に向かった。
河川名が気になる逢妻女川の名称に関して葵エンジニアリングの公式ウェブサイトの「川名の由来」には以下のようにあった。

衣ケ原丘陵を取り囲むように西側を流れる(女川)と東側を流れる男川が南流し、駒場にて合流するさまは、「着物の褄(裾)が合うようである」と風流な先人が「逢妻川」と命名したと推察される。この逢妻川の川名を冠して「豊田市逢妻町・刈谷市逢妻町」二つの町が誕生した。

葵エンジニアリング 公式ウェブサイト「川名の由来」
https://www.aoi-eng.co.jp/river/yahagi/kawana/r011011.html

豊田市駒場町では確かに二つの川が、どちらが主流か判断できないくらいの等しい角度で合流しているのだが、それだけのことで着物の褄(裾)が合うようだと感じた風流な先人が存在したとは思えないから、何か風説が存在するのだろう。
ちなみに逢妻女川の源流は豊田市大清水町、逢妻男川の源流は豊田市三軒町に存在する。

逢妻女川に架かった橋長40mあまりの竹橋上から上流側を見下ろすと、水路幅は10m以内で、この日の水量は多くなく、右岸側(下記写真左側)に砂利の体積が見られる。

豊田市前林町 逢妻女川 竹橋上流側

竹橋の上流60m以内には堰(せき)が設けられており、堰の上流側の川床にはコンクリート製の護床ブロックが並べられているのが見える。
護床ブロックを置く理由は河床の土が削り取られないようにするためだ。
両岸の護岸は傾斜のなだらかなコンクリートブロックが張られている。
そのコンクリートブロックの上の堤防を灌木が覆っていた。

下流側を見ると、竹橋のすぐ下流から逢妻女川は右岸側にカーブしている。

前林町 逢妻女川 竹橋下流側

上流側との変化は左岸で、灌木が姿を消し、傾斜のゆるい幅の広い土手が下流に向かって延びている。

前林水神の北東380m以内に立入池があるので観に向かった。
下記写真は立入池の南西に面した道路側から撮影したものだ。

豊田市前林町 立入池

立入池は長辺が170m以内、短辺が140m以内の池だ。
池の南東側と北側には工場がある。

池の東側に回ってみると、畑地の中にある立入池の状況がよく分かるが、特に祀られているものは無く、池の周囲に水を引き出すための水門が設けられているのが2ヶ所見られた。

豊田市前林町 立入池/畑地

池には水鳥がまったく見られなかった。
上記写真奥に見える円筒が二つ並んでいる白っぽい建物はエレベーターを製造している企業の社屋だ。
池の手前に水門があって、手前の畑地の端に、そこから手前に向かう水路が設けられているのが見える。
立入池に関する情報はネット上には見られない。

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前林水神は豊田市の平野部畑地に祀られた神社でした。


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