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御用地遺跡 土偶 56:瓦積塀のある杜

愛知県道26号線を北上していたところ、左手(西側)に風情のある杜が視覚に入ったので、寄っていくことにしました。
そこは安城市昭和町で、26号線には脇参道の入り口が面しており、その杜は御用地遺跡の南3.4kmあたりに位置していました。

●後頭部結髪土偶

1MAP昭和町 天満宮

愛車を北東向きの脇参道の入り口脇に留めて、境内の中に向かうと、境内社の前を通って、拝殿の前に出た。
社頭が南西側にあるので、まずは社頭に向かうことに。
社頭からはコンクリートでたたかれた表参道が南西に向かって1直線に延びていた。

1昭和町 天満宮表参道

鳥居から表参道の入り口までは60m以内。
表参道の両側は西側が水田用地、東側が水田用地と畑地となっており、参道の両脇には2対の幟柱立てが並んでいる。
社叢は鳥居を中心にして左右に割れているように見える。

表参道を境内に向かって戻ると、右手に「村社天満宮」と刻まれた社号標。

2昭和町 天満宮社頭

正面には石造八幡鳥居。
鳥居の正面奥に拝殿が位置している。

社号標の右手、畑に面した場所に瓦積塀(かわらづみべい)。

3昭和町 天満宮瓦積塀

瓦を何層も並べ、泥土で固めて積み上げ、屋根も瓦で葺かれたものです。
26号線を走っていたら、この塀が目に入ったのが“風情”を感じた大きな要因だったようだ。
この塀は風化するにまかせ、屋根瓦は一部が落ちているが、おそらく旧い時代に製造されたものは、全国でも数えるほどしか残っていないもので、熱田神宮内にも織田信長が寄進したことで、「信長塀」と呼ばれる瓦積塀が現存しています。
壁の側面を見ると表面と裏面に瓦を積んで、表面と裏面の間は泥を入れて突き固めてあるだけで、瓦は入っていないようです。

表参道に戻ると、石鳥居に掛かった注連縄の〆の子(しめのこ)が大きく、思わず撮影してしまいました。

4昭和町 天満宮〆の子

〆の子は「雨」を記号化したもので、この形を見ると、てるてる坊主の原型ではないかと思われます。

拝殿前に出ると、瓦葺入母屋造平入の社殿で、前面全面は舞良戸(むらど)で覆われていました。

5昭和町 天満宮拝殿

拝殿は玉垣を巡らせた3段の石段を持つ土壇上に設置され、拝殿の両側には対のように境内社の石鳥居が見える。
拝殿前で参拝したが、やはり社内にもネット上にも由緒書の情報は無く、総本社と呼んでもいい天満宮の一つである京都市の北野天満宮を調べてみると、主祭神は菅原道真公一柱となっている。

向かって左の石造明神鳥居に向かうと鳥居の奥に潅木の塊がありました。

6境内社秋葉神社

右手には本殿を囲う塀、左手には公民館と思われる建物。

鳥居を迂回して潅木の塊を見ると、中央に参道が通っており、すぐ奥の付き止まりに石段も設けられており、基壇上に銅板葺の小社が祀られていました。

7境内社秋葉神社祠

社の躯体の下部正面と大棟の中央に下記のように楓紋が入っていることから、秋葉神社であることが判った。

7-2境内社秋葉神社神紋

この秋葉神社の躯体には木鼻(きばな)の装飾として象と獅子が装飾されていた。

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8B獅子

両方とも全高がせいぜい15cmくらいの小さなものだが、細かな細工がされている。
実在する動物を装飾するのは寺院建築の様式であり、神社建築では架空の生物である龍や雲や水流がモチーフとなる。
秋葉神社が神仏集合していた神社であることがここに反映されている。

秋葉神社から本殿を挟んだ反対側にある石造明神鳥居に向かった。

9境内社稲荷社

こちらは潅木と小社ではなく、瓦葺切妻造棟入で、一部に白壁を持つ覆屋が建てられていた。
左脇に見える天満宮本殿も瓦葺入母屋造の覆屋になっている。

鳥居をくぐって、向拝屋根の下で参拝し、小さな格子戸から屋内を見せていただくと、屋内は木部が全て似せ紫に染められ、銅の飾り金具が使用されていた。

10境内社稲荷社

部屋の奥には同じく似せ紫に染められた机が設置され、机上中央に鏡。
鏡を受ける装飾台も似せ紫に染められている。
鏡の両側には対になった使いの狐の陶像。
これで稲荷社であることが判った。

境内社は秋葉社と稲荷社の他に、拝殿前の広場の西側に表参道に向かって瓦葺宝形造の堂と思われる建物と本瓦葺平入の社とが並んでいたが、両社殿とも情報が無い。
宝形造の堂は周囲を取り巻く縁側を持つ、人が出入りできるサイズの社殿で、軒下が白壁、正面は板壁とガラス格子戸が閉じられているのだが、

11覆い屋

ガラス格子越しに金箔の張られた大きな厨子(ずし)が奉られているのが見える。

12覆い屋仏壇

通常、厨子は仏像を納めるものだが、三河では神を祀る場合にも使用されているのだが、祭神は不明だ。

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ここ、昭和町の天満宮では、不明の2棟の社殿以外は特別なものは祀られてなく、個人的に興味を惹かれたのは、やはり最初に気を惹かれた瓦積塀でした。

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