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バルカン3とエアスラッグ〜R4猟期を終えて

車の故障からスタートした私のR4年の猟期も、事故なく無事終えることができ、ホッと胸を撫で下ろしています。

前期まではFX ボブキャットMK2-.5.5mmで、猟期後にエアライフルを入れ替えています。

つまり今期はバルカン3での初の猟期、そして輸入後半年ほどかけてセッティングしたエアスラッグでの初めての狩猟でした。

結果から言って、猟果自体は、例年と変わらず獲れています。
獲物の狙点は今期もヘッドショットを基本にしていましたが、これは及第点。なぜかというと、まだ弾道に慣れておらず、また100m以上のロングレンジを狙う機会が増えてしまったため、ネックショットの方が多くなり、ボディもしばしば当ててしまっています。
これについてはこの先慣れていかないといけない点です。

バルカン3の運用について


さて、まずバルカン3、正確にはバルカン3−700についてレビューを記録したいと思います。
スペックなど詳細については以前書いた記事をご参考ください。

全長

まず懸念していた全長=960mmについては想定していたより不便は感じておりません。以前使っていたボブキャットが810mmだったので15cmも長くなっているのですが、長いのはバレルの部分なので、一人で流し猟をする分にはあまり苦労はありませんでした。
唯一、隣に人を乗せた時は、車内で銃を取り出すのに取り回しが大変だなと感じましたが。矢先も注意が必要ですしね。

重さ

長いバレルと合わさって重そうに見えるバルカンですが、実は重量は3.7kgほどでボブキャットと変わりません。これを抱えて歩き回ろう、という気にはなりませんが、流し猟+α程度では不便は感じませんでした。
ちなみに先日、ロケで重いスコープ+高剛性マウントをつけた時は総重量が6kgを超えて、さすがに持ち運びも・・・なんというか、ちょっとした赤子を抱いてる気分になりました(笑)

発射音

見ての通り太いシュラウドが付いており、めちゃくちゃ静かです。現在は23grのエアスラッグを300mps付近で運用していますが、18grを280mpsで運用していたボブキャットと比べても遜色はありません。
(一般的に吐出するエアが増えるほど音はうるさくなります。第2世代のPCPで細いシュラウドなのにやたらに静かな銃は、そもそも弾速が低いものが多いです。)

唯一、Ping音と呼ばれる、ストライカーがバルブを叩いた際にプレナム室に反響する金属音(カキーン!と鳴る)が射手にとっては耳障りなのが泣所でしたが、
これは私のとある発明で完全に消すことに成功しています。
ちなみにPing音はカリバーガンクリケット2TCもなかなか大きいですよね(笑)

Ping音は側から聞くとそんな大きくないらしいですが・・・僕はイヤン。

頑丈さ

はい、めっちゃ頑丈です。分解して知ったのですが、バレルの固定がブリーチブロックで4本、スコープ下で2本かな?ねじ止めしています。
ちょっとやそっとでバレルが動いたりはしません。なおかつ私のバルカンはきちんと均等にトルクをかけて締め直してますので、猟期中、久しぶりに射場に行ったらセンターずれてる、なんてことは一切ありませんでした。
ちなみに私は銃を取り出す時などは、普通にバレル(シュラウド)を持って動かしてます。バルカンは全く問題ないと断言します(笑)

マガジン


自作ケース。写真は試しに買った社外マガジン。残念ながら純正の方が作りが良い。

エアガンテクノロジーのマガジンは、とてもよくできています。金属製のシェルに樹脂のインナーが入った構造で、銃左から挿入すると、シャコン!と節度よく収まります。斜めに入ったり、うまく入らなかったり、なんてトラブルは皆無です。
デメリットとしては、オープンマガジンですので、マガジンに弾を入れてそのままポケットに入れたりすると、弾が抜け落ちたり、ゴミが混入するリスクがあります。
ちなみに最初から2個セットでついてきます。素敵です。

私はこのような専用ケースを作って運用しています。

過去に使ったマガジンでは、デイステートは同じように非常によくできたマガジンでした。

ちなみに裏面はペレットケースになっている

環境耐性


高性能のRegと大きなプレナムチャンバーはいつでも性能を保持してくれる

冬季のエアライフルの運用では、家、車内、野外の温度が違うため、エア圧が安定しない、などという精度を突き詰めた際の不安定要素がありましたが、バルカンはReg後ろのプレナムチャンバーが135ccと巨大であるため、こうした問題は一切起こりません。最高です(笑)

また、これは純正Regの性能もあると思うのですが、射撃後のReg圧の回復がとても早いです。エアライフルによっては一度射撃するとプレナム圧がReg圧と釣り合うまでに数秒かかるものも見受けられますが、バルカンは何も考えなくても大丈夫(笑)プレナム容量は正義です!

燃費

めちゃくちゃ良いです。
そもそもこのバルカン3-700の5.5mmモデルは、本国580ccボトルVerだと、18grペレットを310mpsで250発撃てる仕様です。
これはラージプレナムと700mmバレルのおかげでReg圧が110barと低く設定できているためです。

現在のスラグチューンでは少しReg圧を上げています。
またエアボトルも国内規制の500cc以下に変更していますが、それでも300bar付近からスタートしても100発以上は撃てると思います。

そんなに撃てる必要はない!と思われる方もいると思いますが、よく考えてみてください。
バルカン3は300bar対応ですが、エアタンクから300Barには絶対に充填できないんです・・・300Barのエアタンクから移すわけですからね。
つまりエアタンクの残量が減るにつれて発射可能数は落ちていきます。
燃費が良いということは、エア充填のコストが下がります。
現実的にメリットと言えます。

エアスラッグについて  

ZANスラッグとポリゴナルバレルの相性は最高

今期使用したのは23grのエアスラッグです。
本当は一番セッティングが出たスロベニアのZANスラッグだけを使うつもりだったのですが、狩猟雑誌のロケで結構使ってしまい、途中からH&Nにブランドを変更しました…

エアスラッグってなんだっけー?という方はこちらの過去記事をご参照。

ここから話が長くなりますので(笑)先に簡単なまとめです。

・エアスラッグはロングレンジの精度を上げるための弾。

・軽いエアスラッグでも十分な恩恵は得られる。
・重いエアスラッグはメリットよりリスクの方が高い。
・エアライフルのパワーは弾の重量に比例するので、口径含め、あまり重い弾は鳥猟に使わない方が良い。
・狩猟用エアスラッグの運用は、5.5mm口径まで、重量は25grまでが大口径との良いとこ取りができる重さなのでお勧め。

では気を取り直して解説に入ります(笑)

命中精度

100mでも3cm以下のアキュラシー

まず、ロングレンジがよく当たります。というかそのためのエアスラッグです。
もちろん直射性が高いので40m付近のリフトも低く、当たりやすいと言えるのですが、50m以降はペレットとは別物です。
例えば100mでの5.5mmペレットは銃とセッティングにもよりますが、大体45cmほどドロップします。
これがエアスラッグだと27cmほどになります。
特にロングレンジになる程、距離に対するドロップ量が大きくなりますので、距離を少しでも測り間違えると外してしまいます。
ドロップが少なければその分、獲物に当たりやすくなります。

パワーについて

エアスラッグはペレットとは別物です。
5.5mmで一般的なペレットは270mps付近でセッティングされ、マズルエネルギーは30ftlbsほどです。
一方エアスラッグ23grでセッティングを取ると、マズルエネルギーは50ftlbsほどになります。

50ftlbs、この数値だけ見ると、6.35mmのペレット(25gr)のマズルエネルギーと同等です。しかし、残存エネルギーが全く違います。
6.35mmペレットがマズルで50ftlbs→100mで20ftlbsほどまで落ちるのに対し、
5.5mmエアスラッグはマズルで50ftlbsだった場合、100m先ではまだ30ftlbsも残っています。つまり5.5mmペレットのマズルエネルギーと同等です。

エアスラッグは使い方によっては非常に危険です。
ペレットの倍飛び、同じ距離では倍のパワーを持つ、そのぐらいに考えて運用しましょう。

またエアスラッグは鳥猟で使うなら5.5mmで十分です。

今期一番ロングレンジで仕留めたのは150m先のマガモで、1ショットキルでした。
それもそのはず、150m先でも25ftlbsのエネルギーがあります。
これが6.35mmペレットだと15ftlbs、5.5mmペレットだと9ftlbsです。

みなさんが回る猟場では、中にはパワーがあっても問題ないと判断できるケースはあるでしょう。しかし絶対というのはありませんし、意図していない場所やタイミングで弾が出てしまう可能性もゼロではありません。

今期はエアライフルの弾が100m先のスクールバスに当たってしまうという事故がニュースで流れました。

矢先のことはさておき、これがもしよりパワーのある弾だったら、もしくはパワーの小さい弾であったら、どうでしょうか??

1シーズン試してみた感覚では、エアスラッグは5.5mmで25grまでにしておくのがお勧めです。その場合でも、基本的に撃ち上げはできないものと考えましょう。

こうした話を書くと、必ずハイパワーについての議論が上がります。
ではハイパワーとはなんでしょうか?
例えば私のエアスラッグの運用は、ハイパワーでしょうか?
5.5mmのエアライフルとしてはパワーが高めであることは間違いありませんが、どんなに5.5mmで出力を上げても、大口径には敵いません。

結局は弾の重量こそが、パワーを支配しています。


6.35mmで一般的なJSBキングは25grほどですが、次に人気のキングヘビーでは34grほどあります。
7.62mmのペレットは45grが一般的で、その場合の出力は70ftlbsを超えるでしょう。

繰り返しですが、そうしたエアライフルを狩猟で使ってはダメ、と言っているわけではありません。環境や狩猟方法、対象よっては問題なかつたり適しているかもしれません。

ただしどんな場合であっても、ハイパワー化や大口径化によってどれだけメリットが得られ、どれだけリスクが上がっているかはきちんと考える必要があります。

残念ながら国内で出回っているエアライフル情報には眉唾なものがまだまだたくさんあります。
大口径は弾道が弓形で、小口径はまっすぐ飛ぶ、もしくはその逆。
大口径は風に弱いor強い。
・・・全部間違いです(笑)

弾道は、弾の重量×弾速×弾道係数で決まります。
弾道計算アプリには基本的に計算に影響する口径入力値はありません。

弾の重量が上がればマズルエネルギーも残存エネルギーも増えますが、必ずしも弾道の直射性が上がるわけではありません。
例えば私が現在使っている23grスラッグを30grまで上げたとしても100m先のドロップは2~3cmほど向上するだけです。
にも関わらず、残存エネルギーは12ftlbsも増えてしまいます。

一方、7.62mmのペレットはマズルで70ftlbsほど出ていれば、100m先でも40ftlbsほどは残っています。
このエネルギーは5.5mm/30grのエアスラッグでの100mのエネルギーと同等です。
ではどちらが安全でしょうか?
ロングレンジの残存エネルギーが高いのは危険?
マズルエネルギーが高いのは危険?
それはどちらも危険であり(笑)結局は射手と用途、環境によって選択、コントロールされるべきものだと私は考えます。

私がエアライフルを始めた頃は狩猟用は5.5mm一択でしたが、今は6.35mmを選択する方もかなり増えてきたように感じます。

もし、大型の狩猟鳥を確実に止めたい、といった理由で大口径のエアライフルを検討する場合は、今後きっと出てくるであろう、5.5mmのエアスラッグガンを考えてみても良いかもしれません。もちろん重すぎない弾の運用が前提ですが。
7.62mmなどの大口径は止め刺しをするならば安心でしょう。ただしこれらを鳥猟に兼用する、と言う場合は十分な考慮が必要です。

皆さんもこの先、新しくエアライフルを購入したりエアスラッグを検討する際は、ぜひこうしたオーバーパワーのリスクをじっくり考えてから、口径や銃を選んで欲しいと思います。

この楽しい趣味が、いつまでも自由に楽しめるように。
みんなで安全な運用を心がけていきましょうね。



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