AMA カトランってどうなのよ?問題。
そういえば自分が普段触っているエアライフルについて記事書いてないなと気付きました(笑)
f-rangeで取り扱いを始めたAMA(AirMaks Arms)はAGNを出自とするチェコの新参メーカーです。去年くらいから世界的にも人気が急上昇しています。
主力機種はブルパップのKRAiTとライフルタイプのKATRANで、それぞれにバレル長でバリエーションがあり、日本には許可全長の問題で、700mmバレルのKRAiT-X、520mmバレルのKATRAN-Lが輸入されました。
どちらも良い銃なのですが、私が誰にでもお勧めできると太鼓判を押したいのがこのKATRAN-Lです。
カトランは非常にバランスの良い優等生タイプのエアライフルです。
出力もペレットに最適な弾速を維持し、設計は第1世代を手直して作った第2世代とは違って、きちんと最新のエアライフルの技術が取り入れられています。しかしまあ、こうしたバランスタイプのエアライフルってなかなか正当な評価を受けるのが大変なんですよね。
最新機能やパワーというのは謳い文句としては使いやすく販売する上ではとても有利なのですが、それが必ずしも顧客の求めるものとは限りません。これはあらゆる趣味の道具でも同じで、次々と顧客の目を引く新しい技術や性能を謳うことで、計画的陳腐化を行い、買い替えを促し売上を伸ばす、というのは一般的なマーケティング戦略です。
特に日本人はそうした流行に流されがちで、まるで数年前のキャンプブームを見ているようです。物欲を刺激すると短期的には市場は盛り上がりますが…
さて、本題のAMAはチェコ銃の中では積極的、意欲的な方ですが、それでも既存ユーザーを突き放すような販売戦略はとっていません。
ベースモデルを用意し、新しいバリエーションを出しても、それらを購入可能なオプションとして自社展開し、顧客に提供しています。
こうしたバランスが良い商品は、販売者がその魅力を発信しないとなかなか消費者に伝わりません。
というわけで、まるでグラップラー刃牙の、あのバランスの良い山本選手のようなカトランの魅力をこれから説明していきます。(←みんな知ってる?)
ペレット仕様の標準出力
以前こんな記事を書きました。
エアスラッグを撃たないのであれば、各口径の標準出力(弾速)が一番精度が出ます。
ペレットであれば270m/sが最も風の影響が少ない速度で多くのペレットガンは標準弾であればこれを基準にセッティングが取られています。
カトランLは、最新エアライフルのようなどっちつかずのハイパワー化はしていません。280m/s程度の安心な弾速です。
プレジションタイプのフォールディングストック
カトランはフォールディングストックとなっており、折り畳み寸は国内許可ギリギリの800mm強です。
またこのストックはチークの上下調整、バットは上下に加え前後の調整が可能で、体格に関係なく据銃性が高いでしょう。またストック下部には銃声マガジンを収めるスロットもついています。
ストックは左側に折れ、ネオジム磁石でカチッとくっつきますので節度も良好です。
あ、この写真で思い出しましたが、重量も3kg以下と軽量なため、スコープを乗せても3.5kgと十分な軽さです。
頑丈なハンドガード
タクティカルなエアライフルのいくつかにはこうしたハンドガードがついています。もちろんエアチューブが熱くなるわけではありませんから、ガードすることが目的ではなく、グリップとしての機能がメインです。
それ故に、多くのモデルではハンドガードに剛性を持たせておらず、装薬ライフルのタクティカルハンドガードのようにアクセサリーレールとして使えるものはあまりありません。
しかしながらこのカトランのハンドガードは、根本の部分がガッチリ機関部に固定されており、また厚みのあるアルミ製なので十分にアクセサリーレールとして使えるもので9スロットのKey -modが用意されています。、先端にバイポッドなどを付けても全く撓みを感じません。
独特の機関部構造
カトラン、というよりAMAを特徴づけるのがこのビポットレバー式のハンマーシステムです。
通常空気を吐出するには円筒状のウェイト(ハンマー)をスプリングで押し出してバルブを叩いています。
しかしAMAはこの機構を用いず、下部に支点を持った長いアームでバルブを叩くことで空気を吐出しています。
このハンマーは、ペレットを装填するプローブピンを動かすためのアームも兼ねている…というよりアームがハンマーを兼ねているという方が正しいでしょう。とにかく合理的な構造を採用しています。
内部の構造が同じであれば、どうしても外側のデザインも似てしまいますが、AMAのエアライフルが特徴的なデザインの機関部なのはこのハンマーシステムが理由です。
バレルハイトが抑えられ、機関部はスリムに、ハンマーバウンスも発生しない。よく考えられた構造です。
堅牢なフローティングバレル
カトランはチェコ銃らしくバレルにも非常にこだわってます。
AGN同様にポート部を直接加工したワンピースバレルでデュアルポートを採用し、外径は14mmとこれもAGNと同じです。
バレルの固定はポート付近のトップレール側から2つのネジで止めている一般的なものですが、加工精度も高くしっかりと固定されています。
AMA独自の構造としては、シュラウドが機関部固定で、マズル側は固定しないフローティング構造になっていることです。
これにより気温変化などによるPOI変動を抑えつつ、フルーテッドデザインの頑丈なシュラウドで、バレルを保護しています。
この辺の作りはメーカー思想によりそれぞれですが、このAMAの作りは個人的には好きです。
フェザータッチトリガー
カトランのトリガープルは恐らく狩猟用PCPの中で最軽量クラスです。
先のハンマーシステムと合わせ、シンプルな構造をしたストロークの短い2ステージトリガーとなっています。
チェコの銃はどれもトリガータッチが優秀です。AMAのもう一つのモデルKRAiTはセカンドのキレが素晴らしいブレークグラスタッチで、どちらも甲乙つけ難い素晴らしい仕上がりです。
その他
これはその理由が十分検証できていないのですが、AMAはコッキングレバーがとても軽量です。恐らくポートからライフリングに移行する際のテーパー角度が理由じゃないかなと思います。またバイアスロンタイプで配置も使いやすいです。シュラウドは細身ですが、十分な静粛性があり、意外と大容量(285cc)のチューブタンクも優秀です。ちなみにAMAのエアライフルは全てメーカーの弾痕証明がついています。
デメリット・気になる点
ぶっちゃけ、これといって改善を望むポイントはないのですが、強いて言うならトリガーが異様に軽いため、銃の扱いに慣れていない人には気をつけて欲しいことでしょうか。
ただしこれは、シアースプリングを強くすることで改善できます。
あとはマガジンがAGN同様使いやすいオープンカセットタイプではあるのですが、奥行きがない=薄いためペレットを入れて回転させる時に引っかかりやすい、ヘビースラッグは入らない、といったところでしょうか。
あとは、う〜ん、あ!
銃にはAMAのロゴ入りのカッコいいハードケースが付いてくるのですが、
スコープを装着すると収納できなくなります(笑)あきらめましょう😊
もう少し詳しい話
ちなみにこのカトラン、国内販売しているLはペレット用ですが、
最近、本国ではKATRAN-L HPというモデル出まして、こちらは軽量エアスラッグが撃てる仕様となり、700mmバレルを使用するKATRAN-Xの方はそこそこの重量スラッグまで他のエアスラッグガンと遜色無いレベルで撃つことができているようです。エアスラッグがきちんと撃てる銃はペレットでも高い精度が出ます。
(もちろんバレルツイストレートは専用が好ましいですが)
また外観のバリエーションとしてNというPRSストックとアルカレールを備えたモデルが出ました。ただしAMAはこれらをアクセサリーで出してくれますので、後からカスタムも可能です。
また、本稿では基本的にノーマルのチューブタイプで説明していますが、カトランLのバリエーションにLBという、カーボンボトルを採用したモデルもあります。こちらは480ccタンクで発射可能数が大幅に増えますので、これもおすすめです。
ちなみにカトラン(AMA)のモデル名は下記のような組み合わせで表記されます。
●モデル名:KATRAN
●バレル長:SC=230mm/C=280mm/未表記=400mm/L=520mm/X=700mm
●(蓄圧タンクタイプ):B=カーボンボトル
●(ストックタイプ):N=プレジションストック(チューブタンク用)
●(出力仕様):HP=ハイパワー
※例:カトランLB=カトラン520mmバレルボトルタンクVer.
その他に、オプションで固定ストックに換装可能です。
固定ストックはウッドとカラーラミネート数色が展開され、チークおよびバットの調整機能はノーマルモデル同様です。
最後に、KATRANの動画レビューをいくつか置いておきます。
UTAH AIGUNSの専属ユーチューバーShooter1721のリックは数あるエアガンレビューの中でもこのカトラン(このモデルはX)を熱意を持って絶賛しています。
こちらはカトランLBのレビューです。ボトルバージョンも実際はなかなかカッコいいです。
こちらは私も交流があるAfrican Air Ordnanceのジェレミーのレビュー、分解と構造説明がとてもわかりやすく、エアガンレビューのチャンネルの中でも私のお気に入りです。
などなど、他にもたくさん動画は上がってますのでYoutubeで調べてみてくださいね。
カトラン…たくさん売れたら、どれかでエアスラッグチューンやろうかなぁ。なんて妄想しちゃうくらい良いエアライフルです。
友人は早速今期の狩猟で4.5mmのカトランを使い、8.4grペレットで40m先の雉をネック1発で仕留めるという嬉しい報告をしてくれています。
スペックの詳細などは今秋号のガンズ&シューティング誌にも寄稿しておりますので、こちらもご参照ください。
ということは本日はここまで。
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