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PCPの世代とレギュレーター

2024.May_Rewrite

現在、国内で新銃販売されているPCPエアライフルの多くはレギュレーター:空気圧調整器が搭載されています。
価格は30万円程度から高性能なモデルでは90万円近くするものもあります。

一方、中古市場はというと、安いものでは15万円程度、中心価格帯は30万円程度でしょうか。

以前記事を書いた通り、通常のエアライフルペレットを撃つのであれば、最新のエアライフルではなくともその精度は十分に完成しており、十分に精密射撃、狩猟でも第一線で使用できるものです。

ただし手の出し易い価格のPCPにはノンレギュレーターモデルも多くあります。一般的に、レギュレーター付きのエアライフルが、発射可能弾数が多く、精度が高い、そんなイメージがあるのではないのでしょうか。

今回はそんな、レギュレーターモデルとノンレギュレーターモデルについて、その良し悪しを持論を交えて説明したいと思います。

最初に、これはあくまで私の分類ですが、現在PCPと呼ばれるものはざっくり3つの世代に分けられると考えています。

日本でも世界でも世代分けについては色々な基準でカテゴライズが議論されていますが、私なりの理由でピシっと整理しました。

よって、これを以って第●世代は〜なんてトークを他人にして、もし話が通じなかったとしても、わたしは一切責任を負えません(笑)

第1世代 ノンレギュレーターPCP

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エアタンク、バルブ、ストライカー。シンプル!


まず、ノンレギュレーターPCPは第1世代です。

細かいところは端折ってますが、エアフローはこういった感じです。オレンジのところが高圧空気=1次圧になります。

このノンRegモデルではエアタンクに最大200barほどの高圧空気が入ります。(チューブ式の場合)

この蓄圧タンクの先には解放弁(本稿ではプレナムバルブと呼びます)がついており、シアーの解放により、圧縮されたスプリングの勢いでハンマーが弾かれバルブを叩きます。

プレナムバルブには弁を閉じるためのスプリングがついており(図では省略してます)またタンク内が高圧であることから、ハンマーに叩かれても瞬時に元に戻ります。この一瞬で吐出された空気を利用し、を飛ばすのがPCPエアライフルの基本的な仕組みです。

このバルブの作動速度や空気の吐出スピード、量は、エアタンクの空気圧を中心に、バルブスプリング、ストライカー(ハンマー、スプリング)の重さ、強さで決まります。

そのため、タンクの空気が減ると、吐出量が変わり、弾速が変化、弾の着弾点も変わってしまいます。

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めちゃカッコいいハンツマン。音もカッコいいけど

私が過去に所有していたデイステートハンツマンリーガルでは、180barから160barくらいまで、およそ10発程度が精度が保てる気圧帯でした。つまり精密射撃を行おうとすると、タンク圧を常にこの間に保っておく必要がありました。もう少し広く見れば射撃可能数は多くなりますし、圧力と着弾点のズレを覚えてくれば、意外と当たります。
またタンク容量が大きいモデルはその分、安定発射可能数が増えます。

第1世代のPCPというと、他にはFXロイヤル、トルネード、エバニクスレインストーム、AAS410〜510などが中古でよく見る銃ですね。


第二世代 レギュレーター追加モデル

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エアタンク(黄)、Reg (青)、プレナム(緑)、ストライカー、

第1世代をベースにレギュレーターを追加搭載したPCPを第2世代とジャンル分けしました。追加、と書いたのは、あくまでノンRegモデルが基本設計にあるためです。

基本構造は第1世代を踏襲しており、エアタンクの直後にレギュレーター、つまり圧力調整器を搭載することで、吐出する空気量を常に一定に保つのが狙いです。

第1世代と違うのは、ハンマーに叩かれて吐出する空気は、Regの後ろ、図では緑色に示しているプレナム室と呼ばれるエアチャンバーの空気を使用している点です。第2世代ではこのプレナム容量は10〜20ccほどです。

エアフローは第1世代と基本的には同じですが、高圧エアタンクをそのまま使うのではなく、レギュレーターで減圧し一定圧を保って使用されます。

ただし減圧するわけですから、プレナム圧はタンク圧より低くなければ意味がありません。そのため、吐出に使う空気=プレナム圧(Reg圧)は第二世代の5.5mmモデルであれば140〜150bar程度に設定されています。

上記を例にしてみると、エアタンクに200bar入れるとReg圧の150barまで、つまり50bar分を一貫した空気圧で使えるということです。

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第2世代モデルであるボブキャットM K2では、大体25発程度の安定した射撃が可能でした。

この世代はかなり多くの種類があり、挙げきれませんが、FXドリームラインシリーズ、デイステートハンツマンリビア、エアアームズS510、ブロコック各種、などが人気です。

第三世代  大型プレナムモデル

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プレナムが大型化(ストライカーも強化)

最新の銃に見られるようになってきたのが第3世代の構造です。

特徴はひとつ、大型プレナムを備えていること、これを以て第三世代と呼ぶのが相応しいと私は考えています。

具体的には、今まで第2世代をベースに10ccほどのエアスペースとして存在していたプレナムを、専用設計で大型化しています。
FXのモデルなどで70ccほど、私のバルカン3は135ccの容量があります。

なぜプレナムを大型化するのか、なぜそれを世代で分けるのかというと、エアスラグを前提としたハイパワー化が最も大きな理由です。
この話は過去に記事に書いておりますので、興味ある方はこちらで読んでみてください。

※エアスラグについてはこちら

※ハイパワーエアライフルについてはこちら

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第3世代は機関部が大きい!

プレナムとハイパワー化の関係はどこまで説明すべきか難しいところなのですが、まず第二世代PCPではペレットでの射撃を前提としていたため、小型のプレナムで十分に精度が出ておりました。

その前に、ハイパワー化=高性能、精密、ではありませんので、そこは間違えないようにしてください。

話を戻して、銃のパワーとは弾速×弾頭の重さです。
弾速を上げるためにはより多くの空気が必要で、重い弾頭を飛ばすのも同様です。

最近流行しているエアスラグは重量の自由度が高いため、重い弾を作ることができるようになりました。

プレナム室は、ハンマーがバルブを叩くことにより解放され空気を吐出しますが、解放された瞬間と閉じる直前では、当然ですが空気圧が違います。この弁が開いている間の空気圧の低下は、吐出する空気量に制限をかけてしまいます。

それならバルブを長く開けば良いんじゃない?と思うかもしれませんが、解放時間が長いと、先に弾がマズルから抜けてしまうため、エネルギーを伝えられません。

このプレナムの空気圧低下を防ぐのは至極シンプルで、容量を増やすことです。容量が大きいほど、空気圧の変化は少なくなり、より多くの空気を短い時間で吐出することができるようになるのです。

ちなみに、エアスラグを前提としたと書きましたが、これはペレットシューターにとっても利点があります。それは空気圧の低下が少ない分、Reg圧を低く設定できることです。

そのため第三世代PCP(5.5mm)のReg圧はどれも110〜130Bar程度に抑えられています。これにより安定射撃が可能な弾数が増えます。

エアライフルはどれを選ぶ?

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さて、ここまで説明で違いがなんとなくお分かりいただけたでしょうか?

上にこの三世代を機関部のみで並べてみましたが、どうでしょう?

ここで2つ、追加で説明しておきたいことがあります。

ひとつは精度について。

皆さんは、エアライフル仲間から、数発の精度だけならノンRegモデルの方が良い、という話を聞いたことはあるでしょうか。

これはレギュレーターモデルが出始めた頃によく言われていたことで、皮肉とも取れるのですが、当時はそれも的を射た話でした。

なぜかというと、上の図の通り、実は現在のRegモデルで言うプレナム室というのは、ノンRegモデルではエアタンクそのものを指すのです。

つまり例えばタンクが200barであれば、200bar×数百ccのプレナムを備えているのと同じで、バルブを開いている間の空気圧低下はほとんど起こらないのです。

また第1世代PCPでは180barあたりに精度の高いスイートスポットがあると言う話をよく聞きます。一方第2世代ではReg設置値は150bar以下のものがほとんどです。
第二世代のReg搭載モデルは、Reg圧を高くしすぎると満充填からの安定発射可能数が減り第一世代と大差なくなるため、ギリギリの圧力にしているというわけです。この一点においては、第一世代は第二世代を上回る精度を出す可能性は十分にあります。
そして第3世代はというと、大型プレナムの採用により、すでに第1 世代の精度に並んでいると私は考えています。

もうひとつは、形状の自由度とハイパワーについて。

この記事のために第1〜第3世代の図を書いたわけですが、皆さんはその銃形状の違いに気づいたでしょうか?

実は第3世代だけブルパップ構造にしています。と言うより、第3世代はブルパップ構造にしかできない、とも言えます。

それはプレナムの大型化と各種パーツの強化によって、普通のライフルタイプのストックには収まらなくなったためです。

つまり第3世代のハイパワーエアライフルはもれなくブルパップ構造です。
※2024追記:FXパンテーラなどライフルタイプの第3世代も登場しました。

※実はそれと同様にハイパワー化が容易にできるのが第1世代です。第一世代は元々高圧で作動させる作りになっているため、ストライカーも強く設計され、ハイパワーなモデルが多いのです。Regが採用されていない頃/モデルのデイステートが良い例です。私が使用していたハンツマンも低伸性の良いパワーパンチャーでした。めちゃくちゃ発砲音がウルサイですけどね(笑)

以上が、今までのPCPの変遷ですが、今後は電子制御のデイステートのように、新しい技術が生まれてくるでしょう。

電子制御が第4世代と呼ぶべきかは、まだ判断しかねますが…なんにせよ、古いから性能が良くない、使えないというわけではありません。自分の射撃、狩猟スタイルにあったエアライフルで楽しく遊びましょう。

最後に、もしエアライフル選びをしている最中で、この記事にたどりついた方へ。

たぶん、いざエアライフル猟を始めても、その日の猟で撃つ弾数は10発程度でしょう。少なくとも私の周りではそんなものです。

最初の頃はうまく当たらなくて弾数が多いかもしれませんが・・・
30発撃てる銃でも、10発撃てる銃でも、大体同じように使えると思います。だから第1世代のPCPでも大丈夫、好きなものを買いましょう。むしろ第1世代は構造がシンプルな分、壊れにくく、そして軽量な場合も多いです。

おすすめは、FXサイクロン/ロイヤル/ボブキャットMK1、AA S410/510、エバニクス レインストームあたりです。

浮いたお金は、射撃練習に当てましょう。
もっと費用対効果の高い装備に当てるのもオススメです。
例えばスコープ、狩猟ならレンジファインダーなど。

もちろん、お金に余裕があるなら第三世代でもなんでも買ってください。きちんと勉強し、練習し、良い師がいれば、きっと最新の銃はスキルアップの助けになるでしょう。

という話はまた今度。

ではでは。

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良い記事書いてるだろ・・・ウソみたいだろ。趣味なんだぜ、これで。

たいした利益もないのに、ただ、ちょっと気分が乗っただけで・・・

もうからないんだぜ。
な。ウソみたいだろ。

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