エアスラッグ博学審問③〜理想のスラッグガンとは
ここまでの説明でペレットとエアスラッグが全く別の飛翔体であることはご理解いただけたかと思います。
では全くお勧めできないこのエアスラッグ(笑)を撃ちたい場合はどうしたら良いのでしょうか。
残念ながら、国内においてファクトリー状態のエアライフルでスラッグを撃って、ペレットレベルのアキュラシーを出せるモデルはありません。
(私の知る範囲では)
最新の第3世代エアライフルでさえチューニング(これは調整であって、改造を指すものではありません)が必要です。
私の所有するバルカン3はファクトリーレベルのエアスラッグガン・・・ではありますが、それも使用する弾によってチューニングをしなければなりません。
これをどうセッティングしていくか、色々と試してみて、なんとなく理解できてきました。
まず、先に書いたペレットとスラッグの特性を理解していないと始まりませんので、まだご覧になってない方はそちらの記事を先にお読みください。
その上で、エアスラッグガンには何が求められるのか、バルカンの記事でも書いてはいますが、改めて簡単に書いていきます。
①バレル長
第3世代PCPはエアスラグを撃つことを考慮し600~700mmほどのバレルを採用しています。この長さがなければ撃てない、という意味ではありません。
装薬銃に比べ爆発力の低いエアライフルは、バレル内でゆっくりと弾を加速させます。そのためバレルが短いと、本来出せる出力の手前で弾が抜けてしまい、弾速を上げるには不利になります。そしてエアスラグはペレットに比べて抵抗が大きく、重い弾をペレットより速く撃ち出さなければならないため、長いバレルの方が効率がよくなります。
不利なだけで、燃費を捨てれば短いバレルでも可能性はあります。
②ノンチョークバレル
現在、スラッグを撃つためのバレルはノンチョークが人気です。え?エアライフルってチョークついてるの?と思ったあなた、そうなんです。ペレットを確実に密着させ、スカートの形状不良すらも矯正し正確に撃ち出すために、ほとんどのエアライフルはチョークドバレルを採用しています。
※大口径モデルではノンチョークも少なくないようです。
しかしエアスラッグは前記事でも書いたように変形がほとんどないため、チョークがあると大きな摩擦抵抗になってしまいます。
チョークドバレルがスラッグを撃てない、ということではありません。
弾の種類、重量、外径によっては上手く撃ち出せるものもあるようです。
ただ重量が増すほどに全長も長くなるので、チョークとの相性が悪くなる傾向にあるようです。
③強力なストライカー
エアスラッグは私が使っているような20gr程度の軽量なものから、ペレットの倍以上の重さのものまであります。ただでさえ抵抗値の大きいエアスラッグで重い弾となると、かなりのパワーが必要になります。
この場合のパワーというのはft -lbではなく、バレル内初速=爆発力を指します。(エアライフルは爆発しませんが、イメージとして、ね)
ペレットのように変形してくれないエアスラッグをバレルにしっかりと食いつかせるためにはマズルベロシティではなく、バレル内の圧力を瞬間的に上げ、一気に押し出してあげるチューニングが理想的です。
以前、某店主の質問箱で、.22LRは16インチ銃身でもアキュラシーは出るのに、エアスラッグガンはなんで銃身が長いんだ?というような話を見かけましたが、その違いは、この爆発力だと思われます。
④プレナム容量
プレナム容量についてはチューニングのしようが無く、また誤魔化しようのない問題です。
第2世代初期のエアライフルではプレナム容量が小さく、バルブ解放時からバルブ閉鎖時までの空気吐出量を一定に保つことができません。
ほとんどの第2世代PCPではこのプレナム容量でパワーの限界が決まってしまいます。恐らく~20cc程度のプレナムを持つ5.5mmPCPでは25gr程度までが適切な弾速で撃ち出せる重量だと推測されます。
それでも足りない容量を圧力を上げて補う必要があるため、Reg設定値がかなり高くなる=発射可能数が減るのは確実です。
スラッグを撃つのであれば50cc以上のプレナムが欲しいところです。
⑤エアボトル容量
軽いエアスラッグならばさほど問題はありませんが、ヘビースラグとなると、空気の消費量がペレットとは段違いになります。
そのため、スラッグガンでは300bar仕様のカーボンボトルを使うのが一般的となっています。
もちろん弾数を妥協すれば容量が少なくとも撃つことは可能です。
⑥元気、根気、本気、勇気
うなぎパイのCMソングみたいなフレーズですが
(知ってる人いるのかコレw)至って真面目に書いてます。
はっきり言って、現在のエアスラッグのインフラ、特に日本国内におけるインフラは全く整っていません。セッティングについて銃砲店に聞いても一発回答はなかなか返ってこないでしょうし、それに必要な弾も流通していません。
結果ではなく過程=つまり沼を楽しむ勇気がなければ、手を出すべきではありません。
答えに辿り着くまで自分自身で、うなぎみたいに粘り強く、長く努力をする必要があるのです。
ですが個人的には、ペレットのように思い通りでは面白くない、捩れた道でも行ってみようよ(中略)うなぎパイパイパイ、という精神であれば、これほど楽しい遊びもなかなかありません。
もちろん、法定内で正しく安全に楽しみましょうね。
・・・さっきから、そのうなぎパイってなんなんだよ!!
と思われた方はこちらの動画を繰り返し観て脳裏に焼き付けると、
エアスラッグのチューニングも答えが出せるかもしれません。
美味しいよね、うなぎパイ。
ではでは。
確かにうなぎパイは美味しい!わかりみバイカル湖(深い)!と思った方、
いや、思わなかった方も、せっかくここまで読んでくださったので、
スキボタンを押していただけると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?