エアライフルのセッティング①機械的セッティングと精度的セッティング
※本稿は、出力の調整機能を持つエアライフルにおいて、本来の性能を得るための正しい調整方法について説明したものです。装薬銃のハンドローディングと同じ行為です。違法行為や改造行為を勧めたり示唆するものではありません。
エアライフルのセッティングについては、過去に色々書いておりますが、
今一度ここに整理してみます。
まずエアライフルのセッティングとは何なのか?
それは使用する銃と弾で高い精度が出るように、出力を調整することです。
これは装薬ライフルであればハンドローディング、つまり火薬の種類と量、弾頭の組み合わせで精度を出す、といった行為と同等です。
装薬ライフルは弾を作ってしまえば後は撃つだけですが、エアライフルの場合はそうはいきません。それは弾を飛ばすための火薬に相当するのは、高圧空気であり、火薬ではなく銃本体の機能がそれを担っているからです。
出力調整可能なエアライフルで実際に弄ってみたけど、どうしたら良いかわからない、そうした相談はよく寄せられますが、これにはこのセッティングがそもそも何の意味があるのかを説明しなければなりません。
機械的セッティングと精度的セッティング
セッティングには大きく分けて2つの行為があります。
それが機械的セッティングと精度的セッティングです。
機械的セッティングとは、エアライフルという機械が安定して正確に動作するように、レギュレーター圧とハンマーパワーを調整する行為です。
これはセッティングにおける前提行為です。
次の精度的セッティングは、使用する弾が使用する銃で高い精度を出すように弾速を調整する行為です。
つまり機械的に安定したバランスで目標とする弾速を出す、というのがエアライフルセッティングです。
この2つが揃って初めてエアライフルのセッティングが取れた、ということになります。
機械的セッティングを知る
レギュレーター圧=プレナム圧力と、プレナムバルブを叩くハンマーのパワーバランスには最適値があり、これを外れたセッティングにすると、精度以外にも様々な問題が起こります。(弾速が不安定になる、充填圧に比例して弾速が変化する、初発の弾速が落ちるetc..)
そのため、エアライフルのセッティングはこの最適値を外したバランスにしてはいけません。
市販のエアライフルはほぼ全て、このバランスで組み上げられています。
ではこの機械的セッティングの最適バランスは何かというと、
使用する弾で捻出可能な最高弾速の95~97%の弾速になるよう、ハンマースプリングを調整すること、です。
この値に調整すると、機械的に非常に安定します。
例えば、最高弾速が1000fpsだった場合は、スプリングテンションを少し弱めて950~970fpsになるようにします。たったこれだけです。
この弾速を本稿では【最適弾速】と呼称します。
精度的セッティングとは
しかしながら、機械的セッティングを正しく調整できたとしても、その弾速が必ずしも銃と使用する弾にとって精度の出る弾速とは限りません。
使用する弾と銃、つまりバレルのツイストレートやその他相性により、精度の出る弾速がある程度決まってくるためです。
この弾はこの弾速が良い、そうした話は読者の皆さんも一度は聞いたことがあると思います。
ペレットであれば850~950fps程度、スラッグなら900~1000fps程度の範囲で精度が出るのが一般的でしょう。
この範囲のうちのどこが良いのか、というのはある程度経験値が必要です。
例えば私のセッティング論で言えば、ペレットなら890fpsでセッティングしておけば間違いないでしょう。5.5mmのZANスラッグは950fps程度、H&Nなら970fpsといった目安を持っています。
ただし高ツイストのFXバレルなどでは1000fps近い方が精度が出たりもします。
この精度を求める弾速を本稿では【目標弾速】と呼称します。
セッティング=最適弾速と目標弾速をすり合わせること
エアライフルのセッティングとは、機械的セッティングの最適弾速=精度的セッティングの目標弾速、に合わせることです。
機械的セッティングは多少外れていても必ずしも精度に影響するわけではありません。そのため、その瞬間精度が出た=セッティングが出ている、と勘違いしてしまうことがあります。
しかしその場合は、先に書いた弊害が発生する可能性が高く、長期的に見た場合の再現性が低い場合がほとんどです。
とにかくまずは機械的セッティングが出ていることが大前提です。
その上でどの弾速が精度が出るのか、というのがエアライフルセッティングです。
例えばエアライフルにはハンマースプリングの外部調整機能のみついたモデルがあります。
中にはパワーダイヤルなんて呼称がついていて、あたかもパワーが調整できるように感じるかもしれませんが、あれらはパワーの微調整、に使うもので大きく弾速を変えると、機械的セッティングから外れて精度や安定性をスポイルします。
(エアポートを絞るタイプのパワーダイヤルはまた別です)
最初に書いたように最適弾速の許容幅は20fpsほどで、目標弾速がそれを外れる場合は、レギュレーター圧の変更が必須です。
では具体的にどうやってセッティングするのか・・・というところで、今日はここまで(笑)
皆さんがスキ!ボタンを押してくれると、次の更新が早まるやもしれませんので、どうぞよろしくお願いいたします♪