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エアスラッグ博学審問①〜ペレットを理解する

目標をセンターに入れて スイッチ…目標をセンターに入れて スイッチ…目標をセンターに入れて スイッチ…

ここ最近の私は、射撃場でこんなことを呟きながらシューティングを苦しんで楽しんでいます。

さて今夏から始めたエアスラッグでのベンチレストシューティングも一ヶ月以上経ちました。その間、海外のフォーラムを調べたり海外ニキに情報を貰ったりしながら、色々と試してきました。

しかし、レギュレーター圧、スプリングテンション、弾の種類、重さ、外径、変形、洗浄、コーティング…どれだけ手を尽くしても、なかなか満足できる集弾が得られず、蜂の巣のような的紙とスラグの空き缶だけが増えていきました。

ただ増えていくだけの的紙…まばらな穴にぐったりする毎日


この場合の私の満足する値とは、理想を言えば再現性の高い5ショット1ホールのアキュラシーです。最低でも全てのターゲットでCtoC 20mmくらいに収まってくれないとペレットの代替にはならないと考えています。

ですがエアスラッグは5ショットずつ的紙に打ち込んでもどうしても3〜5cmでスプレッドしてしまい、2cm以内に収まるのは5回に1回くらい。

射撃中はずっとFXのクロノグラフで弾速を測っているのですが、それもイマイチ安定していません。

左が18grペレット、右が21grスラグ/ともに5shot

ですが、
さすがにこれはおかしいぞとペレットで撃ってみると、300mpsでも320mpsでもCtoC10mm未満の1ホールが出ます…スラグとは再現度が全然違います。

10発撃ち込んでも20mm程度。弾速もスラッグに比べると圧倒的に安定しています。

ペレットはラフに10発撃ち込んでもこの精度…銃には問題はなさそうだ

この違いはなんなのか…頭を傾げながら散々撃ち続けて、ここにきてやっと見えてきたものがありました。

ですが、まずエアスラッグの話をするには、
今までの時代を築いてきたペレット弾の話をする必要があります。
というのが今回の本題ですw

ペレットってどんな弾?

左3つがディアボロペレット、右はエアスラグ

ペレットとは鼓型のエアライフル専用の弾です。
競技用のものはヘッドがフラットですが、私たちが狩猟に使うものの多くはドーム型と呼ばれる、てるてる坊主のような形状をしています。
いずれにしても中央がくびれる構造をしており、これらをDiabolo=鼓弾と呼びます。

このディアボロペレット(以下ペレット)はエアライフルの歴史においても非常に画期的な発明で、ライフル弾頭などとは一線を画す、全く別の飛翔体です。

ペレットの最大の特徴は、

自ら飛翔姿勢を安定させる


ことです。

推進力は前方に、抵抗は後方に、これがペレット

どういうことかというと、バトミントンのシャトルを想像してみてください。
手でシャトルを斜め前方に投げた場合、どのような動きをするでしょうか。

ご想像の通り丸い頭を常に進行方向にむけ、弓形の軌跡を描くはずです。

端的に言えばこれがペレットです。

例えばこのシャトルの羽根側(本来これをシャトルと呼ぶらしい)を前にして投げてみたとしましょう。最初は不規則な動きをするかもしれませんが距離が伸びるほどに正しい姿勢に戻り地面に落ちます。

何が起きているかというとシャトルの頭にはコルクでできた重心があり、後ろにフレアした円形の羽根が並んでいます。
丸いボールであれば、どこを前にして飛ぶはわかりませんが、シャトルの場合後ろについた羽が抵抗となり、必ず重心のある頭を前に飛翔します。

これがペレット弾の安定の原理であり、最大の特徴です。

もうひとつはスカートの変形です。

低い摩擦と密閉性を確保するディアボロペレット


小さなパワーで正確に弾を押し出すためには、バレルと適度な摩擦を起こし、なおかつ空気が逃げないようにしなければなりません。

鼓型のペレットはヘッドの外周とスカート後端の2点でバレルに接触します。
ボディ全体でバレルと触れるライフル弾頭とは摩擦面積が大きく異なります。

そのため、軽い力で弾を押し出すことができるわけですが、バレルにはライフリングが切ってあり、隙間が大きいと空気が逃げて、弾速や集弾に悪影響を及ぼします。

それを防ぐために、ペレットはヘッドよりスカートの外径が少し大きく、薄く作られています。
このスカートはバレルに挿入され、高圧空気を受けると内側から膨張し、ピッタリとバレルに張り付くことで、空気のロスを無くし、安定した弾速を生み出しているのです。

これらにより、ペレットはとても安定した飛翔体となり、
1発数円の販売コスト、精度でも、高いアキュラシーを持つことができています。

しかしデメリットもあります。
それが近年エアスラッグが台頭し始めた原因でもあります。

実はペレットを安定させるためのスカートは、

空気抵抗を犠牲にし、大きなエネルギーロスを生みます。


そのため100mを超えてくるような距離では、いかにパワーを上げても飛翔体として不完全なものになってしまいます。
単純なアキュラシーだけではなく、風の影響も大きく受けるため、フィールドでは実用的な距離ではありません。

それでもペレットの恩恵は大きく、今までのエアライフルはペレット射撃を前提に、改良が続けられてきました。

そして近年は…エアライフルの進化、ハイパワー化が可能になり、エアスラッグというトラディショナルなライフル弾頭型の弾が登場しました。

エアスラッグはきちんとセッティングさえ出せば、ペレットと同等のアキュラシーが出せる、と世界のその筋(どの筋?)では言われています。

しかし私の言動を目にしている方はお分かりのとおり、
ファクトリーレベルでスラグガンを謳う銃でさえ、その成果に辿り着くのは至難の技、というのが現状です。

しかし、スラッグを撃ち続け検証を進めた結果、

その原因のいくつかが、ペレットという優秀な飛翔体にあることがわかってきました。

というところで、長くなってきたので続きは次回・・・・
お読みいただきありがとうございました。

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