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空の準備

子供達の見上げる空は、
商売に関係ない透明な空が良い。
母親が作る手料理のように、
どことなく不器用に並んだ雲達。

青春期の子供達が見上げる空は、
限りなく尖った雷鳴が鳴り響くような、
夏の空が良い。
それはまるでロックンロールのリズムのように、嘘つきな大人達を睨みつけ、
騙されやしないと激しく高ぶるリズムのような
、そんな空が良い。

恋愛中のカップル、街ゆく今という時代に、
幸せしか感じない、
そんな素敵な人達は、
テーマパークのような空が良い。
泣いているミッキーマウスはいらない。
嘆いているミニーマウスはいらない。
幸せの国へようこそ。
本来、全ての人がその空へ行くべき未来は、
いつの時代であれ、
あり得ないだろう、、、、、、

年輪重ねた時代の人間が見上げる空。
痛みも涙も置き去りにしてはいけぬことを、
痛いほどによくわかっている、
秋の空が良い。
高く高く茜色に燃える、
そんな空が良い。
かつて、己の置き去りにしてきた悲しみ。
かつて、己が犯した過ち。
かつて、己が嘆いた世情の色。
茜色の空に、躍動の雲、憂いの雲を、
浮かべては旅をする。

空は無機質であってはならぬと、
神は言う。

空は、あらゆる心の行き先を、
受け止める準備に余念がなく、
過去も未来もそして現在も、

たゆまなく沈むことなく、
動いていかねばならぬと、
神は言う。

私はどの空を選ぼうか、、、、、

年輪重ねた大人達でさえ、
裁判官気取りに歩くこの街で、
青春期の若者と踊り倒す大人達の街で、
嘘など許さない。と、
昨日の嘘を忘れた男達が叫ぶこの街で、
泣いている魂が見える。
傷を押さえてしゃがみこむ子供の姿が見える。

茜色に輝く空に、
どんな未来を夢みよう。



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