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32. 体の声を無視する自分がわかる扉

カウンセラーSさんのやさしい柔らかい声にリラクゼーションの途中から催眠状態に入ってきている。
自分の中から声がする。
「怖いよ」「見つかっちゃう」その声を俯瞰して聞いている。
でも必死な感じがわかる。

設定した扉を開けると、まわりは真っ暗。
洞穴のような斜面を横に2〜3メートル掘っただけの横穴の真っ暗な中に膝を抱えてぎゅーっと小さくなっている私。
歳は10歳くらいだろうか。もっと小さいかもしれない。
怖くて、怖くて、どうしようもなくて、足も冷たくなってきている。
見つかったらひどい目にあう。
でもこのままではいずれ見つかってしまう。
金のまつ毛の女性の目が大きくどーんと私の頭の上に出てきて、灰色の目玉は何かを探すようにぎょろぎょろと動いている。
重い圧力を感じる。
この目に支配されていて、この目を恐れているのが伝わる。
怖くて動けない。顔を隠したい。自分が消えて失くなればいいのに。
セラピストさんに丸く体を覆うシールドを作ってもらうと、気持ちが少し落ち着いてきて、動き出す。
ここから離れたい、と動き出す。外は真っ暗な夜。
低い葡萄の木の長い畝が何列もあって、私はここで奴隷か使用人として働いている。広大な農場。ぐるりと長い塀で囲われている。
遠くにお城の灯りが見える。寝る場所と食事があるがあそこには戻りたくない。
同じくらいの小さな子もここで何人も働いている。
金髪の長い髪の女の人が私に罰を与えようと探しにくるかもしれない。
こわごわ塀を超えて、外の道へ出る。
思っていたよりすんなり抜け出せた。
ここから遠く離れなきゃと思っている。
それ以外の思いとか感情とか感覚がない。
自分が空っぽな感じ。余裕もない。
ただ、足を動かしている。農場でもずっとそうだった。

白い鳩が案内してくれるように左肩に止まってくれた。少し元気になる。
お城の農場からずいぶん歩くと小さな川が流れていて、小舟がある。私はそれに乗り込む。川の流れで自然に船は下っていく。

まわりが少しづつ明るくなってくる。朝が近づいているようだ。
川沿いに草原が広がっている風景。そこで船から降りる。
その草むらに座り込む。
農場を出る前と同じように膝を抱えて座っているけれど、穴にいる時とはぜんぜん違う。

風が吹いて、草がいっせいにサワサワと音をたてて波打つ。
風は同じように私の頬に触れて通り過ぎる。
腰を下ろしている地面から「大丈夫だよ」とあたたかい声がする。
自分の体の中からも「大丈だよ」と声がする。
とたん涙があふれる。

今まで自分の体を意識したことはなかった。
体は自分のものではなかった。足も体も頭も棒のようになって動いていた。生きているってことを考えた事もなかった。
この時はじめて自分が生きていることに気付いた。

安心が全身に広がっていく。こんなこと感じたことがなかった。
私は安心していいんだ。
涙が後から後から流れている。
太陽が登ってきて、草原は金色に光る。
私の体も大地もあたためていく。
大丈夫だ。私にはこの体がある。ここで生きていける。
お金もないし、身寄りもない、住む家もないけど、
私の体の奥からも大地からも大丈夫があふれてきた。

セラピストさん:
自分の体を大事にしたらどうなるの?

「使」と「自由」という字がでてきた。
不自由だった体。アトピー、光線アレルギー、ひどい肩こり、運動音痴、いろいろ。自分の体が好きじゃなかった。

なんとこの体を自分のものではないと思っていた。
自分の体をほんとに大事にして声に耳をすましてあげること。
使うのは自分次第。体を自由に使えると、心も自由に縛りが解ける。

今、いいものをつけてあげたい。
肌触りの良いもの。きれいなもの。
体が喜ぶものをいろいろ身につけたい。
こんないいものを授かっている。
だから自由に使いなよ。使うことで感じることがある。
そのために体がある。

セラピストさん:心に残ったことは?

「大丈夫」自分の体を感じることで生きることに安心感がうまれる。
体はわたしのもの。大事に生きて色々感じる。
体を使って楽しむ。そのために貸してもらった(大地から)。

セラピストさん:手放したものはなんですか?

無関心。(自分にたいしての)

セラピストさん:それによってあなたはどう変化しますか?

中と外のバランスがとれる。こころと体はセット。

セラピストさん:この気付きで日常や現実はどうなりますか?

「受け取る」
動画の自分の顔を見ても違和感があった。人ごとのように見ていた。
中と外が一致するようになる。違和感なしで自分をまっすぐ見る事ができるようになる。
そのままの自分を受け取ることができるようになる。

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