crown
あなたの不在を愛おしめるくらいには
余裕が持てるようになってきた
失うことは怖くない
あなたはそうやって
風のようにかけていった
それは私の十八番のはずなのに
あなたが為してどうするの
言葉じゃ足りないから
体を持った
でもその右手は
私には差し出されない
だから、せめて
一度だけでいい
ありふれた風を装って
私の名前を呼んで
あなたの幸せを祈れるくらいには
私はまだ私で居る事ができている
失うことは得ることと同じ
あなたはそうやって
躊躇なく私の手も離していった
それは約束だった
私だけまだ糸を切れないまま
いけないね
ほかの人の声じゃ酔えない
あなたの中にもう安心は無いのに
私の居ていい場所は無いのに
いつまで待ったとしても、もう
あなたは来ないというのに
言葉じゃ足りないから
体を持った
でもこの左手は
もうあなたを掴めない
だから、せめて
一度だけでいい
ありふれた風を繕って
歌うように
私の名前を呼んで
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