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DoA『恋は盲目!』 あとがき

この記事はTRPG『Dead or AliCe』用サプリメント『救世主の箱庭』収録シナリオ『恋は盲目!』について、シナリオ作成者の水面が色々書いた記事です。ネタバレ等ございますのでご理解のほどよろしくお願いします。

舐められると恋に落ちてしまう疵がある

16AliCesこと16人の救世主というデスゲームのGMをしていた折に、心の疵はキャラクターの核心で、それを舐められると恋に落ちてしまう疵というのがあるんだなぁ、と思い、心の疵MOD『心の性感帯』が産まれました。12月半ばに言い始めたのでデスゲーム真っ最中ですねこれ。

心の疵MOD『心の性感帯』
事前に設定した心の疵を《舐められた / 抉られた》とき、その相手へ恋心を抱いてしまいます。

MODなので、いろんなシナリオに導入して、カレー粉のごとくシナリオを恋味に調味できるものとして作ったんですが、否応なく恋に落ちてしまうハプニング満載ならそういうシナリオに仕上げたいなと思い、亡者ラビング・ラビットが恋の毒を撒き、それにかかったせいで恋に落ちやすくなってしまう、という強制力とエクスキューズを持たせ、絶対に恋なんかしない! というようなキャラでも故意に落ちるようにしました。

「救世主様――好きだッ!」

導入は特に気に入っています。何やら大変なことになってる村と、毒にかかった途端豹変して救世主に愛の告白をし始める村人。ギャグっぽい演出でPLに笑ってもらい、それをすぐにお前もそうなるんやぞ、という気持ちで見守る導入です。

毒は見た目よりもはるかに深刻なものなので、印象やシーンの緩急をつけるためにコミカルにしました。また、コミカルな裏で、恋の当人の切実さとはたから見たアホっぽさ、想いの強さとその意味のわからなさは重要なテーマです。
また、末裔らは毒に無抵抗だけど、救世主はわりと耐えられる、という非対称性も、DoA設定の尊重と、救世主に恋する末裔の非対称性の象徴として載せています。

全然考えてもいなかったんですけど、あわれな末裔の青年について結構気に入ってくれた人がいて嬉しかったです。

恋するウサギちゃん

このシナリオの背景的な根幹は亡者ラビング・ラビットの心の疵『淡い恋の端っこ』を抉ることでわかります。

亡者は救世主の1人に恋をしていた末裔で、恋が故に死に、亡者に成り果てたということ。たまたま救世主が村に戻ってきたから、全てが手遅れになっていると知る。亡者の心の疵は、愛しの救世主の一瞥、呼びかけ一つで抉れる。

初めはコミカルなバカシナとして仕上げようと思っていたんですが、水面の乙女部門が恋なるものをお気軽なものに仕上げられるはずもなく、引っ張り出したのは私が初めて出した同人誌に書いた小説に書いた筋書き。恋が叶うことなく怪物になってしまったなら、恋する人に殺されたくないですか??????? その結果シナリオが回っているのを見るたびに私は感情が限界になり、GMしては泣き見学しては泣き、PLしては泣き、大変なことになった。私は終わり。

末裔の恋に対しての関わり方はPCそれぞれで、それだけで卓の空気が全然違うのも面白いですね。めいっぱい傷ついてくれたりもして嬉しかったです。ラビラビについて必ずしもシリアスに、深刻なものとして受け止める必要はないようにしているのですが、ありがたいことですね。

ラビングラビット

ラビング・ラビットをコミッションで描いてくださったハセさんは私の限界恋心について誰よりもよく理解してくださっており、恐ろしくもかわいい亡者に仕上げてくださいました。

シナリオの構成について

いわゆる3幕構成としては、

第1幕:異常な村、ラビラビの登場、毒を受けた末裔の狂態、毒を受けるPC
第2幕:ラビラビの背景、恋に溺れて破滅する村、恋に捕らわれていくPC
第3幕:亡者ラビラビとの戦い、恋に決着をつける、向き合う

という構成になっています。
私はゲームのシナリオを書くうえで、クライマックスのボス戦との戦いを通じて、キャラクターが何か一つの乗り越えるべき障害の象徴となるように、というような配置を常々したいと思っています。裁判に至るまでにパーティの恋愛事情や心の疵はきっとなにがしかになっているでしょう。ラビラビは叶わぬ恋や片思いの象徴として立ち塞がります。応えるにしても振るにしても、見て見ぬ振りして忘れたり、これから頑張ると決めるにしても、向き合うべき亡者であるように設計したつもりです。

リプレイはこちら

同時に3卓回ったのですが、そのうちのうたさんGMの♥の3卓のリプレイサイトがこちらです。ありおりさん作の超かわいいサイトなので是非読んでね。ページ下部の♥-1はわたしがGMのものがありますので是非。すでに2回GMをして、1回PLをして、またなんかGMをやる予定があり、きっとそこでも水面は……泣くことに……なるでしょう……。

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