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世界で一番可愛い犬と私の話

※2023/10/22に永眠した愛犬と私について主に振り返った記事です。ショッキングな画像や遺体の写真はありませんが内容が内容なので苦手な方は避けてください。

先ほど愛犬のお葬式が済み、晩年介護に使用していた玄関の片づけが終わった。
まだまだ犬の痕跡がそこここに残っているが、犬が占領していた玄関ががらんとしていて、何とも言えない喪失感に駆られている。

しかしながら一つの区切りとして自分の中で整理をするためにも犬と私の話をしようと思う。

15歳のグレートピレニーズ

犬はグレートピレニーズのオスで最も健康だった時は56㎏の巨大な犬だった。
グレートピレニーズをわが家で飼うのは2頭目で、飼えないからと知り合いに半ば押し付けられるようにして我が家にやってきた先代犬(同じくグレピ)をガンで失くしてペットロスだった家族のために私がブリーダーを探し、何度も連絡を取り、遠方の飼育場に何度も足を運び迎え入れた子犬が二代目グレピである。

お迎え当日の写真


先代の犬小屋で遊ぶ子犬時代。
この頃は私の仕事が忙しくて写真をほとんどとっていなかった事が悔やまれる


我が家では今までにも犬を何頭も買ってきているが、私の年齢や経済的な事情もあって子犬の時から亡くなる間際まで私自身が世話をした犬はこの二代目グレピだけでありそれも相まって歴代の犬の中でも一番思い入れがある犬だった。
世界で一番可愛いし気立ての良い優しい最高の犬だと思っている。

2年前の元気だったころ

飼い主しっちゃかめっちゃか期

犬は2年前から後ろ足に震えが出始め、長時間の散歩や歩行がだんだん困難になっていた。

この時期は丁度コロナ過で、母親の具合も悪くなり(コロナではなく10年以上前から難病を患っていた)、在宅介護をしていた100歳を超える祖母の認知症が悪化したり、勤めていた会社もどんどん人が減る割に新しい人は入れず残った人間で全部回せ、もっと作業効率を上げろ、今までの30倍で働け、上司の居る会議中はマスクをするな、社内にコロナの人が出ても誰にも言うな、残業をしたら給料を減らす(タイムカードを切って残れ)というような狂った暗黒企業に勤めていたこともあり、家でも会社でもしっちゃかめっちゃかで非常に病んでいた。なお割と誰でも名前を知ってるような会社である。

因みに11年勤務したが給料は入社後10円しかアップしていないし退職金も勿論ボーナスなんて一度も貰った事が無かった。入社した年に5000円の寸志をもらったことはある。
私は一つの職場に勤めると長いので同期が誰もいなくなっても大丈夫大丈夫、怒られても切り替えが早いのが長所だから気にしない!とだましだましやっていた。

その年の年末終電間際のホームでふと希死念慮にかられ、フラっとホームに落ちそうになった。落ちそうになったのか落ちようとしたのかは今でもわからないが、その時催眠が解けて
「あ、ダメだ会社辞めよう」
と思い、翌日には今までの腹の内を全て上司に話してひとまず心療内科を受ける許可を貰った。
結果は案の定鬱一歩手前のパニック障害と診断された。
結局残りまくっていた有給で休暇を取り、休暇後に退職をした。

退職後から始まった犬の介護

退職後はしばらくは家の事をメインにこなしながら犬と母の介護をした。
幸いなことに祖母は介護施設に入る事が出来、認知症も落ち着いて現在もホームで穏やかに過ごしている。
母は私が退職後に大きな手術をして下半身の大きな骨を取とり完全に車いす生活になったが、痛みが柔和したことや在宅介護の仕組みを整えたことや訪問看護などに頼る事もできたため仕事をして居た頃よりは私の負担は減った。(下半身を無理に動かしていたころは痛みもひどく下の世話も本当に大変だった)
母は現在筋無力症で筋力が無いのと下半身が動かない事を覗けは上半身と頭はしゃっきりしているので韓国語教室に通ったり、日々好きに生きている。

当時つら過ぎて誰にも言えずNOTEに吐き出していた下書きが大量にある

さて、犬である。
犬の本格的な介護は私の退職と犬の足の具合が悪化した時期が重なった事もありこのころから始まる。
最初に言っておくが私は人間は勿論、犬の介護を嫌だと思った事は一度もない。はっきり言ってめちゃくちゃに大変ではあるが汚い事もグロテスクな事も力仕事も自分の犬が大好きだったので嫌だと思った事は一度もない。
週に一回のリハビリ通いから始まり、後ろ足の筋力を萎えさせないように薬、餌、マッサージ、補助器具、自宅でのリハビリ、数時間おきの小分け散歩等様々な事をした。
この時点で犬は13歳を超えており8~9歳が平均寿命のグレートピレニーズにしては長寿の部類ではあったが、毛艶も良く元気も有り余っていたので足は回復すると信じていた。

しかし頑張っても脚はどんどん悪くなる。

補助ベルトを使用して、父と二人で朝晩散歩(この頃は散歩というほども歩けないので排泄をするまで)で庭と家の前を歩かせることと病院でのリハビリを一年ほど続けた夏。今年の7月に犬がお腹を壊した。
よくお腹を壊す犬だったが、一週間下痢が続き、点滴に数日通って何とか回復したがその後後ろ足で立ち上がる事が出来なくなり、完全に寝た切りになった。
犬の下痢の世話ははっきり言ってメチャメチャ大変である。
特に毛の長い犬や歩けない大型犬はシャンプーも半日かかる。
グレピの場合オムツのサイズも無い(人間用を試してみたが結局便で汚れることや蒸れる事や衛生面で問題があり我が家ではオムツは使用しなかった)
汚れた犬を放置しておけないので深夜だろうが早朝だろうが見つけ次第片づけたしお尻を洗いドライヤーをした。
この頃は人間の介護が少し落ち着いたこともあり在宅で少しづつ仕事を受けながら24時間体制で犬の介護をしていた。
SNSでつらいとかいうのは見たくない人もいるだろうから極力離さないようにしていたがこの時期は他人楽しい様子やの犬猫自慢やペットを見るのが本当につらかった。今もつらくないわけではないがほぼ壁打ちに移行し人間関係を疎遠にし空き時間は全部同人につぎ込んでわざと視野を狭めて一つの事に没頭していた。

恐怖の褥瘡

褥瘡とは床ずれのことである。
体重の軽い猫や小型犬では重症化する事は少ないが寝たきりの大型犬以上のサイズにはある種宿命ともいえる症状である。
褥瘡は本当に怖い。
小指の爪大の赤いスレがあっという間に穴が開きどんどん大きく広がっていく。
褥瘡治療は犬の体質によって様々な方法があるのだが長時間同じ個所を圧迫しすぎない事が一番重要で、犬の体位を数時間おきに変えてやることが一番と言われている。
我が家では傷口をラップで覆うドレッシング法は膿みやすく合わなかったので頻繁な洗浄とクリーム塗布、ガーゼ交換、体位変換を行うことによって6~8cm大の骨が丸見えになっているような褥瘡も最終的に6つのウチ4つをほぼ治すことが出来た。
大腿骨が丸見えのゾンビ犬のような状態でも肉が再生していくのを見て、ああこの子は生きようとしている。頑張って褥瘡直して歩行訓練復帰しようねと思っていた矢先の出来事だった。
父は犬の歩行用の車椅子や褥瘡が治ったら下半身を吊るす器具を完成させた矢先の出来事だった。

犬の最期

2023/10/18の昼急に具合が悪くなり餌を食べなくなった。
お水は飲むが大好きなおやつにも反応せず息が荒い。
朝は普通にしており直前まで上半身は起こして朝ごはんも普通にバクバク食べ、うんちもモリモリ健康的に製造していたので急に具合が悪くなったことに驚き、翌朝19日病院につ入れて行き点滴を打ってもらい自宅に帰ってから少しご飯を食べた。
20日もほとんどご飯を食べず。チュールを少し舐め水をがぶがぶ飲む。少量の下痢。点滴を打ってもらう。寝る前にパンを少し食べたのでフレンチトーストを作ったらほんの少し食べる。
21日はフレンチトーストを反切れ。以降は水以外何も食べなくなる。少量の下痢。
22日朝点滴を打ってもらい、自宅に帰って少ししたころ私に最期を見せてくれ、一瞬こちらを見て小さく口を動かした後静かに息を引き取った。
カテーテルや強制給餌や自宅での点滴などをすることもなく苦しまずに逝ってくれたことは本当に良かった。
晩年体位変換の時がるがる初めてしたぐらいの誰にも吠えない誰とでも仲良くなれる優しい犬。噛まれた傷がまだ腕に残っているけど一生傷が消えなくても良いのに。

2023/10/22/02:30 永眠

それから

犬が亡くなってその足で病院にとんぼ返りしてエンゼルケアをしてもらった。
毎日清拭をして、清潔にして、ブラッシングも毎日していたがトリマーさんにトリミング帰りのように美しく整えて頂けて、首には可愛い飾りもつけて頂いて、まるで眠っているような姿にずっと涙が止まらなかった。
トリマーさんと最後の処置をして頂けたかかりつけ医の先生に寝た切りの超大型犬だとは思えないぐらい身体も奇麗に毛玉ももつれもなく大事にされていましたねと、超大型犬の褥瘡を治すことは難しい、この子の足は落ちるかもしれないと覚悟していました。超大型犬は寝た切り後一ヵ月持てばいい方なのに本当に介護頑張りましたね、と言って頂けて、ほぼ私メインでがむしゃら犬の介護をしていた気持ちが報われたような気がしました。
葬儀場の予約の都合で火葬は2日後になりましたが、父の犬の散歩友達がお花を届けてお悔やみに来てくれたり、一日あった事で私自身少し落ち着くことが出来て良かった。

それはとても晴れた日で


気持ちいい秋空

犬が亡くなった日も空に昇った日も抜けるような青空で寒くも暑くもなくとても良い天気でした。
23日は少し肌寒いくらいだったので遺体の状態も崩れる事なく綺麗な状態で眠るように炉に入れる事が出来、先ほど犬のお葬式が終わりお骨を納めてきたがお骨も奇麗な状態でしっかり残っていて最後まで綺麗で優しい犬だなと骨を拾いながら泣いた。
大きな犬歯を一つお守りに持って帰らせて頂いた。

犬に出来る事は犬の苦痛にならない範囲で精いっぱいの事をしてやれたと思っている。だから口惜しくはない。
実はここ10年ほど家の中が滅茶苦茶で弟とは冷戦状態のため犬や家族の介護は父と私がメインで弟は見て見ぬふりだったのだが、犬の介護を通じてあまりコミュニケーションを取れていなかった父との関係が良くなったと個人的に感じている。犬には感謝しかない。
涙はまだ出るがつらいとか悲しいとか口惜しいではなく、寂しいからだと思う。
多分この世界で私の事を一番愛してくれていたのはあの犬ではないかとおもうから。だからとても寂しい。寂しい。

22日以外5日前からほとんど寝れていないし今も目の痛みと頭痛が止まらず食事が喉を通らないが寂しさは時間薬だと思うので、少しずつ出来る範囲で日常に戻していきたいと思う。
寂しくて暫くは引きずるかもしれない。
私が悲しいと犬が悲しむとかそんな事は思わないけど私の愛した優しい犬が精いっぱい生きたように私も少しづつ前を向き生きたいと思うのだ。


2023/10/24 南


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