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あなただけは、その他と違う。

思いついたときに、ふとメールをしたり連絡をしたりするタイプの人間である。1年に一回ぐらいふと思い出して、1年も一緒に仕事をしていなかった仲間に「元気かい?」とLINEしたりする。
ほとんどの人が、好意的に「元気ですよ!」とか「久しぶりですね」と返信してくれる。中には「どうした?」「離婚?」など、必要以上に心配してくれる旧友もいて、私はなんて恵まれた人間なのだろうかと思う。

入社2年目の時、直属の先輩から仕事の進め方を教えていた際、営業の鉄則は
「なあ、みやっち。※わたしのニックネーム 営業はな単純接触やねん。
いかに、必要がない時も、雪の日も、『まいど!』と突然訪問して
『なにしに来たん?』と言われてなんぼやで!」

私は、生まれも育ちも東大阪市の先輩のいうことを忠実に守り、新卒で配属された難波支店の界隈を必死に営業しまくっていた。
まあ、確かに先輩のいうことも一理あり、はじめは怪訝な対応をしていたお客様も、次第に会話できる関係になっていった。
「ああ、これが浪花のあきんどなのね」
と奥能登出身の私は、そのバイタリティーとともに愚直なまでの商魂を、ただただ感動していた。
と同時に

「こんなん、一生続かんやろ。。。」

とも思っていた。
私は、この私の体ひとつしかない。1日の労働時間も踏ん張っても1日10時間程度しか仕事ができない。(当時はそんなものだった)となると、単純訪問で会える人には限界がある。

人材派遣の営業をしていた私は、先輩の単純接触理論をあえて無視し、

「密度の濃い接触における信頼関係の形成理論」

を打ち立てた。それからというものお会いする方の誕生日や、家族構成、好きなことなど、さりげない会話の中から聞いたことをすべてノートにメモをした。基本的な記憶力はよいほうなので、その情報は意外と短期間で集積されていった。
お会いする方の誕生日などを覚えていて、商談の後、エレベーターまでお見送りされる際に

「あ、今日お誕生日ですね!」

などと添えてみた。会社の創立記念日なども徹底的にチェックした。結果、先輩ほど訪問件数は確保できなかったが、営業の成果は著しく向上した。

お世辞をいうことは、あまりよしと思われていないことは知っている。が人生であまた出会う人の中で、自分自身を素通りする人が大半である。ほとんどの人にとって、日々生きていく上での売買や、コンタクトにおいて

自分である理由

は特段ない。だからこそ、人は

「あなたは特別な存在」

として扱われた時、そこには1対1の宇宙が生まれ、生きている意味に少しであるのではないだろうか?



#天職だと感じた瞬間

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