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年金の脱退一時金でよくある質問

日本国籍を有しない方が、国民年金、又は厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。

今回は、基本的な事やよくある質問について幾つかご紹介します。

Q1.脱退一時金は、どのような人がもらえるのですか?

A.国民年金保険料を納めた期間、または、厚生年金の加入期間が 6 か月以上ある日本国籍を有しない人で、受給資格要件(10 年間の年金加入)を満たさず年金を受け取ることができない人です。
但し、国民年金または厚生年金の被保険者である場合や、日本国内に住所を有している場合、障害年金等の受給権を有したことがある場合、出国後 2 年を経過している場合等は、脱退一時金を請求することはできません。

Q2.脱退一時金の支給を受けるための手続きは?

A.脱退一時金の請求は、帰国後に脱退一時金請求書及び必要な添付書類を日本年金機構へ提出します。
脱退一時金請求書は、日本年金機構の HP からダウンロードできるほか、年金事務所で入手することもできます。

請求には、以下の全ての添付書類が必要です。
➀年金手帳など基礎年金番号を確認できる書類
②パスポートの写し(氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格の確認できるページ)
③住民票の除票の写しやパスポートの出国日を確認できるページの写しなど、日本国内に住所を有しなくなったことを明らかにすることができる書類(帰国前に市区町村に転出届を提出している場合は不要)
④受取先金融機関名・支店名・支店の所在地・口座番号・本人の口座名義が確認できる書類(脱退一時金請求書に銀行の証明を受けることでも可)

Q3.脱退一時金請求書記入時の注意点は?

A.以下の点に関連して不備が多いようです。
①請求者氏名・振込先口座等の記入
脱退一時金請求書の様式がどの外国語バージョンであっても、「4.請求者氏名、生年月日及び住所」欄及び「5.脱退一時金振込先口座」欄については、アルファベットの大文字で記入となります。
②口座名義の記入
「請求者本人の口座名義」については、金融機関に登録している口座名義を正確に記入してください。例えば、ミドルネームを頭文字のみに省略することで、金融機関に登録している口座名義と異なってしまうことなどがありますので、注意が必要です。

Q4.帰国前に請求手続きを行うことはできる?

A.市区町村に住民票の転出届を提出し、転出届に記載された転出(予定)日以降に、脱退一時金請求書を日本年金機構に到着するよう郵送等すれば、帰国前に手続きを行うことは可能です。

Q5.代理人を通じて、脱退一時金の請求を行うことはできますか。

A.代理人を通じて請求手続きは可能ですが、委任状を請求書に添付する必要があります。委任状の様式は自由ですが、日本年金機構ホームページに掲載している様式を使用した方が記載漏れ等の不備が無く提出できると思います。
なお、代理人あてに、不備があった場合の返戻書類等を送付することを希望される場合は、委任状にその旨を必ず記載してください。


脱退一時金が不備となる多いケース

1.転出届を提出せずに帰国。
※日本国内に住所を有しないことが支給条件となっていますので、必ず帰国時には市区町村の窓口へ行きましょう。
※提出届が無い状態で、再び入国すると請求はできませんし、加入期間は通算されてしまうので次回帰国時に請求できても、36ヵ月が上限となります。

2.厚生年金、国民年金の資格を喪失せずに帰国。
※国民年金、厚生年金の被保険者でないことが支給条件となっていますので、帰国時に、国民年金の方は市区町村へ転出届の手続きを行う際に、国民年金課へも足を運びましょう。厚生年金の方は、会社の担当者がしっかりと手続きをしてあげましょう。手続きがされていなかったり、遅れることで、脱退一時金の支給に時間がかかってしまいます。

3.金融機関の証明の添付漏れ、口座番号や氏名相違
こちらも、よくあるケースです。提出の際は必ず確認してください。

4.受取銀行に、ゆうちょ銀行を指定している。
※日本国内の金融機関で受ける事は可能ですが、口座名義がカタカナで登録されていることが必要です。
※ゆうちょ銀行では脱退一時金を受け取ることができません。

その他、
・永住許可を取得している方
・受給資格期間10年(120か月)を満たしている方
・そもそも6か月以上の国年納付又は厚年加入が無い方

現在、脱退一時金の支給金額は、日本の年金制度に加入していた期間に応じて、36ヶ月を上限として計算されます

例えば、3年間(36ヶ月)で第1号・2号技能実習を終了し帰国の後、第3号技能実習生として実習を受けようとする方は、必ず、第2号技能実習終了後に請求しましょう。

短期在留外国人の脱退一時金請求書(14か国語)

次回、この脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引き上げることが検討されている件についてお話ししたいと思います。

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