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思い出の味になれるだろうか……(NOTOに思いを向けるnote投稿)


願いの遣り場

2024年の年明け早々、落ち着いていられないニュースがありました。
能登半島地震……
現時点でも、家屋の倒壊や断水やその他にもある色々な影響で、被災した皆様は元の生活に戻れていないようです。
元旦に神社やお寺にお参りして、色々なことがうまくいきますように、そう願った人がたくさんいるであろう当日の夕方に大きな地震だなんて……神様仏様はいったい何をしているのでしょうか。
神様でも仏様でもない僕は、被災した皆様の願いが叶うことを願うばかりです。
というこの僕の願いも叶いますように。
この願いはどこに向ければいいのでしょうか。
まさに、遣る瀬無い、遣り場の無い、ということでしょうか。

痛みの連鎖

幸いなことに、東京の自宅の浴室で髪の毛をバリカンでガーしていた僕は、直接的な被災を免れました。揺れにも気づかず、居間では家族が騒いでいました。
それでも、インターネット等から流れ出る情報に触れ、じわじわ心が傷つき痛みます。
これは間接的な被災と言っていいのかもしれません。
間接的な被災でも、かなり痛いので、直接被災された人はどれだけ痛いのだろう……そう想像するにつけ、そして想像を絶するものなのだろうと想像されて、じわじわじわじわ僕の心も痛んでいます。
これはもう、痛みの連鎖と言っていいでしょう。
「幸いなことに」と書きましたが、幸いなはずの僕が、何かできないか? と震災に思いを向けようとすると、余計に痛みの総量が増えてしまうという望ましくない連鎖。
この連鎖を食い止めたい。
でも、どうしたらいいのか? わからりません。

早々に行動できる素敵な人

僕がよく行くコーヒースタンドの店員さんの一人が、正月早々から、お正月休みの予定を変更して、急遽お店を開けて、能登半島地震に向けた募金活動をしてくれました。
かっこいい。
さっそく、コーヒーを飲みに行って、レジの横にある募金箱(と言っても急拵えの瓶)にお金を入れます。
ほんの少しだけ、間接的被災の痛みがやわらぐ感覚。
思いの遣り場を作ってくれてありがたい。本当にそう思います。
他にも僕と似たような思いで、コーヒーを飲みに来ているであろうお客さんが何人もいて、中には涙ぐんでいる人までいました。
急遽お店を開けて、募金活動を始めたその店員さんは、直接被災した皆様だけでなく、間接的に被災した僕のような人まで助けてくれていると言えそうです。
かっこいい。素敵。

自粛ムードに抗いたい

こうした中でも、生活は続きます。
直接被災された方は切り替えることすらできない中で、どうにか暮らしていらっしゃることと思います。
間接的被災者とも言える僕は、むしろその切り替えの振れ幅にめまいがします。
壁と屋根がある部屋の自分の布団で眠れること、スーパーで買い物をしながら夕飯は何にしようか迷えること、こうした日常的なことがどれだけ恵まれていることかとしみじみ感じます。さらに、楽しそうな仕事のご依頼をもらったり、おもしろい人や物と出会ったり、そういう幸運にも恵まれていると感じることもあります。
「僕よりも恵まれるべき人がいるのではないか!?」と繰り返し思います。
というか、僕よりも恵まれるべき人はいる、と言い切れるかもしれません。
正論です。
正論は時に暴力的です。
「僕よりも恵まれるべき人がいるのではないか!?」という考えから、自粛ムードが生まれるような気がします。
自粛というなの我慢なのかもしれません。正論は我慢を強要してくることがあります。もちろん、自分も我慢しそうになることがあります。
そんな時に、「この我慢で、喜ぶ人はいるのだろうか?」と思います。
恵まれているならば甘んじて受け入れる方が、上で書いたような痛みの総量は減ると言えるのかもしれません。
全部が言い訳かもしれないし、現時点ではしっくり言い表せせんが、とにかく自粛ムードには抗いたい。

カレー三兄弟でならば、何かできるかも

後ろめたさを抱えながらも恵まれていることは受け入れる、今の僕はそうしたいと思いました。
僕が長男として所属する「カレー三兄弟」というユニットがあります。
次男は石川県の出身です。
そういうこともあいまって、カレー三兄弟なら、僕ひとりではできないことが、もっとしっくりくるかたちでできるのではないか、と思い立ちました。

詳細は↓こちらをご覧ください。

この↑企画のため、僕も能登の魚醤「いしる」を使ったカレーのレシピを考えてみました。
いしる以外はスーパーに並んでいるであろう材料だけで作れる構成にしています。
熱源や調理器具などにもよりますが、玉ねぎを炒め始めてから20分ちょっとあれば出来上がります。
気軽に作ってみていただきたいです。
やや濃いめの味つけなので、ご飯にちょっと乗せて食べるのがおすすめのお惣菜カレーです。
分量は「2人前」としていますが、ちょい乗せ用だったら5人以上でもいけそうです。
材料には、海苔、おから、トマト、大葉、を含みます。
意味わかりますか?
海苔(Nori)、おから(Okara)、トマト(Tomato)、大葉(Ooba)、ローマ字表記した頭文字を 並べると......
そう!
NOTO(能登)になります。

思い遣り

能登半島地震で被災してしまった人の助けに少しでもなれば、という思いあっての今回の企画 です。
でも、僕にとってはそれだけではありません。
今この文章を読んでくださっている人の中に、直接被災してないけれど、メディア等を通して傷つい てしまったり、どうしたらいいかわからなくて苦しさを抱えている人がいらっしゃるかもしれませ ん。
僕もその一人です。
実際に被災してしまった人のお役に立てそうなことが何もできないとしても、ほんの少しでも能登に思いを向けてみるのはいかがでしょうか。
それで、現実的に何も変えられなくても、無意味だなんて僕には言い切れません。
このカレーを作って食べる間だけでも、能登に思いを向けることができるなら、それは被災してし まった人を思い遣るひとつのやり方と言っていいのではないでしょうか。
そう信じなきゃやってらんないだけで、結局は自分のためでしかないのかもしれません。そんなモヤモヤと一緒に思いを向けることも、思い遣りだと僕は信じたいです。


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