【365カレーエベレスト街道トレッキング2024:本編1】
この投稿からは、#365カレーエベレスト街道トレッキング2024 の本編です。20日間の今回のネパール旅行を日記形式で綴っていきます。
(↓準備編はこちらをご覧ください。)
【ネパール旅行1日目】2024年3月25日(月)
起床。そして成田空港へ。
東京は朝から雨。
AM5:00頃に起きて準備開始。
準備と言っても、顔を洗ったり、歯を磨いたり、トイレを済ませたり。
シャワーを浴びながら思う。給湯器の電源を入れて、赤い印が付いた蛇口をひねれば、設定した温度の清潔なお湯が出てくる環境とは3週間お別れか。
ちなみに、必要な荷物のパッキング等の準備らしい準備は昨日までに済ませてある。
この人生で三度目となるネパール旅行にして、初めての本格的な海外トレッキング、というのもあって荷物が多い。この人生と書いたけれども、他の人生を体験したことはない。はず。
荷物の多さに加え、今回はキャリーケース(いわゆるゴロゴロ)を使わないから、街での持ち運びは不便だ。
傘をさしながらは不可能に近いかもしれない。
今日からのネパール旅行の同行者で、日常生活も共に暮らしているコトリちゃんと相談し、急遽タクシーを呼ぶことにした。
今はスマホのタクシー配車アプリであれこれ操作するだけで、近くを走っているタクシーが迎えに来てくれる便利な時代。この仕組みの裏側で傷ついたりしている人はいないのだろうか……と無関係なことが思い浮かんだりする。にしても、こんな朝早くからご苦労様。滅多にタクシーを利用しないので、ありがたみが増す。さらにタクシーを使う特別感が旅行の始まりのわくわくを高めてくれる気がする。
とはいえ、雨が降らなければ一番だった……。自然現象に不満を言ってもしょうがない。これから20日間、様々な不便さ(逆に言うと東京での生活の便利さ)や自分のわがままと、嫌でも向き合うことになる。
それも楽しみのひとつと思うくらいの心構えでいたい。覚悟ができていると言ったら嘘になる。覚悟ができていないからこそ体感する出来事を鮮明に感じられると言えるのかもしれない。そういうことにしておこう。
自宅から成田空港まで直接タクシーで向かうほどの予算が無い。新宿駅までタクシーで行き、そこから電車で東京駅まで。さらに、東京駅からは高速バスで成田空港へ向かう。
ここ何年か、国内出張等でLCCを使う機会が増えたので成田空港は慣れているつもり。とはいえ、いつも使うターミナルはやや奥にある簡素な第3ターミナルなので、今回のように第2ターミナルを使う機会は稀だ。なにもかも僕にとっては特別感。
ネパール航空(Nepal Airlines)の成田-カトマンズの搭乗手続と保安検査を済ませて、第2ターミナル内をうろうろしながら、空港の広さに改めて驚いた。乗る予定の便が30分以上の遅延とアナウンスされていたこともあって、うろうろ歩いて第2ターミナルの広さを思い知るのに十分な時間があった。本当に広いんだな。一角に住ませてほしい。
空港内を歩いてちょっと疲れたので、コーヒー屋さんでひと休みしながら待つことにする。
ネパールでは標高の高い(酸素が薄い)所を一日に何時間も歩くというのに大丈夫か……。
やや遅延。そして機内食を。
結局、飛行機は1時間ほど遅延して、離陸。
離陸後しばらくして飛行が安定した頃、楽しみのひとつ、機内食!
今回、往復の飛行機をネパール航空にしたのは、もちろん直行便で楽というのもある。そして、そのチケットが意外と安かったというのもある。さらに、ネパール航空の機内食を食べてみたかったというのもある。むしろ、それが一番の理由かもしれない。
なんにせよ、楽しみましょう。
一人での旅行の楽しさもあるが、今回のような二人での旅行はこういう時にも楽しみを増やしてくれる。
「Rice or noodles ?」の選択肢に両方とも選んで、シェアすることができる。(コトリちゃんのご理解とご協力に感謝します。)
ライスを選んだ場合、フライドライスっぽいものとチキンカレーっぽいもの。
ヌードルを選んだ場合、チョウミンっぽいものとマンチュリアンっぽいもの。
全体的には、インド料理やネパール料理やチベット料理や中華料理を合わせたような印象。
わざわざ「っぽいもの」と書きたくなるような、絶妙に曖昧な味つけは、国際線ならではの配慮で、いわゆる万人受けを目指したもの……なのか何なのか……実際はわからないけど楽しい。おいしくはない。おいしくなくもない。「楽しい」がしっくりくる。
飲み物でフルーツジュースを頼んだら、強烈に甘い。そこでも異国感を感じた。
さらに、焼き菓子が2種類も付いてきて、ひとつが一瞬カニカマに見えてびっくり。おいしかったからよし。いや、カニカマもおいしいけど。
温かい飲み物(コーヒーか紅茶)を食後に出してもらえるのを知らずに先に食べてしまった。凹む。うそ。こういうのもいちいち楽しい。
機内の設備的にはそんなによくない。というか、これまで乗ったことがあるいくつかの航空会社の機体の設備の中では一番難があると言えるかもしれない。まあまあ、もともと気にならない方でもあり、今さら気にしてもしょうがないと思える。今は旅のスタートの高揚感が「楽しめ」と叫んでる。
目の前のパネルが一部故障していて、完全な操作ができなかった。世界地図上に飛行経路が表示されて、夜に追い越される感じを眺めるのがけっこう好きだから、ちょっと残念ではある。
イヤホンが配られないから必要なら持って行った方が無難、という前情報もあったりしたけど、イヤホンは配られた。
エコノミークラスならではなのだろう(ビジネスクラスやファーストクラスに乗ったことがないのでわからない)が、機内では快適さと窮屈さを両方感じられるような独特な時間が流れる。
目に入る乗員の振る舞いや他の乗客の行動、耳に入る話し声で意外と退屈しない。わかる言葉とわからない言葉が飛び交ったりもするし、日本人の親子連れの子供が春休みの宿題をやったりもしている。
この飛行機に乗っている全員がそれぞれ何らかの事情でカトマンズに向かっていることが不思議なことのようにも思えてくる。
独特な時間の流れに慣れてきた頃、機内食第二弾、到着前の軽食。
カレーパイみたいなやつとチョコレート焼き菓子。
パッケージがかわいいが、付属のケチャップの封を上手に開けられる人が機内に一人でもいるのか知りたくなる。同時に、日本で出回っているケチャップ小袋の開けやすさに感謝したくなる。
着陸。そして手続き諸々。
圧倒的なスピードで僕らを運んでくれた飛行機は無事にネパール カトマンズのトリブバン国際空港に着陸した。
パイロットの腕がいいのか、滑走路を整備したのか、以前ネパールを訪れた時よりも着陸後のガタガタとした振動が少ない気がした。
お久しぶりですネパール。
ただいまネパール。
今回のトレッキングに際して、色々と手配してもらった旅行会社の人に空港でピックアップしてもらう予定になっている。
その前に、入国手続がある。
どの窓口に行けばいいのかよくわからなかったので、大行列ができていない窓口に行ったら、すんなり通れてしまった。
あの大行列が何だったのか、僕が行った窓口は正しかったのか、よくわからない。案内が不親切と言えるのかもしれないし、窓口が違っても出来ることはやってくれる大らかさなのかもしれない。とにかく、よくわからない。
スムーズに入国できたので、預けた荷物がレーンに流れてくるのを待つ。
なかなか来なくて不安になる。ただでさえ飛行機が遅延したのに、さらに人を待たせてしまうのも悪い気がしてきた。誰が悪いのかはわからないし、きっと誰も悪くない。悪い気がしている僕がいるだけ。
レーンに流される荷物の扱いが日本とは違って、乱暴に見える。
これも必ずしも悪いことだとは思わないけれど、日本は丁寧だとよく耳にするのは本当にそうかもしれない。なんだか、丁寧にしようとするあまりに日本人が疲れていないことを祈ったりする……待っている間は暇だったから祈る。そんな自分の薄情さを受け入れざるを得ないくらい待たされて、ようやく僕の荷物が流れてきた。
もうひとつ済ませておきたいことがあった。
空港内でSIMカードを買ってスマホに挿入。通信環境確保完了。
さて、お待たせしました!という気持ちで空港を出ると、旅行会社のスタッフのSさんが、僕らを見るなり猛烈に手を振ってきた。
なぜ瞬時に僕らが僕らだとわかったの?もしかして知り合いだったっけ?あるいは特殊能力かい?
なんにせよ、Sさんからはいい奴感が滲み出ている。
いい奴感をそのまま信じ切ってはいけない。人によって様々だろうけど、住んでいる環境や普段使っている言葉、ざっくり言えば文化が違えば様々な齟齬や誤解の類が生まれて当然。
なんにせよ、いい奴感があるに越したことはないかもしれない。
このSさんが、エベレスト街道トレッキングも含めて、僕らの面倒を見てくれるそうだ。
ネパール入国。そしてタメルへ。
Sさんが手配してくれた車に乗って、カトマンズのタメル地区にあるホテルに移動。
初めてネパールを訪れた時は、ドライバーに変な場所に連れて行かれはしないかと勘繰って、スマホの地図アプリを凝視しながら車に乗っていたけれど、三度目にしてそこまでしなくても大丈夫だと思っている。
今回の旅の初日の今日、泊まるカトマンズのホテルは以前にも泊まったことがあるホテルでお願いしている。勝手がわからないトレッキングの前は、勝手がわかる場所で過ごして少しでも余裕を作っておきたいという狙い。そして願い。
無事に送ってもらえたホテルで旅行会社の社長Lさんと初対面。
SさんもLさんも日本語で話せるので助かる。が、日本語でやり取りするからこそニュアンスで話してしまいそうになるので、却って気をつかう部分もある。
それでもここまでの計画中のやり取りでは大変お世話になった。時にはこちらの要望が通っているのかどうか心配になってイライラしたこともあった。それも会ってみたら吹っ飛んだ。
無論、心配事項が全て解決したわけではない。でも、やっぱりインターネット上でやり取りしているだけの状態と、面と向かって話せる事実を体験した後では何かが違う。何かが。
そもそも、現地で日本円の現金払いでOKという日本人をめっちゃ信用してくれてる日本人を贔屓にしてくれている会社だ。
現地で日本円の現金払いでOKだからクレジット手数料や為替レートを気にしなくていい安心感はあるものの、実は自宅を出てから今に至るまで数十万円の現金を携帯していて、けっこう不安だった。一方で、これまたいい経験かもしれないと思えるくらいの余裕もあった。
ひと安心。そしてダルバートを。
たぶん、ここまでは順調だ。
そのことにほっとしたら、お腹が空いてきた。
ホテルの近くだし、前にも行ったことあるし、という理由で THAKALI BHANCHHA(タカリバンチャ)というネパール料理店へ。
以前は観光客も地元の人も気軽に来られる食堂という雰囲気だったが、フロアが増えて内装も少し変わって、お酒を出すBARみたいな雰囲気が足されたようだ。
様子をうかがうように店内をのぞいてびっくり!
さっき支払いを済ませた旅行会社の社長Lさんが、誰かと食事をしていた。
僕らに気づいたLさんは「こっち来て一緒に食べましょう」的なジェスチャーで迎えてくれた。
テーブルに向かうとLさん以外に二人いて、お二人とも若い日本人だった。
一人は今日までトレッキングをしていたという女性。もう一人は、世界一周旅行中の男性。お二人ともちょっとずつLさんの会社のサービスの利用者らしい。
現地の人とのコミュニケーションからも、こうした日本人とのコミュニケーションからも、これまでの人生とここからの人生の間のひと時をご一緒している感を強く感じる。普段の暮らしでも同じことのはずなんだけど、旅情が勝手に強めてくれる。
ネパール料理と言えば、僕にとっては「ダルバート」が真っ先に思いつく。
ダルは豆のカレーみたいなスープみたいな料理で、バートはご飯を意味するらしい。直訳すると「豆スープ&ご飯」、意訳すると「定食」といったところだろうか。とにかく、豆スープとご飯をメインにカレーや炒め物や漬け物がセットになって提供されるのがダルバート。
そして、おかわり自由というのも決まっている。
食べすぎないように注意したい。きっぱり断らないとガンガン盛られてしまう場合がある。日本ではおかわりを遠慮しがちかもしれないけど、ネパールではおかわりを断るのを遠慮気味になってしまいかねない。
異文化交流では、遠慮のような慎ましさや奥ゆかしさが謙虚な美徳にならないケースが増える。
ここでも、つまらない遠慮は捨てた方がいい、と自分に言い聞かせる。
図らずも、楽しい会食ができて、しかもLさんがおごってくれた。ラッキー。
幸先のいいスタートか。
その後、夜のタメルを少し散歩。
明るさ、匂い、音、いわゆる空気感みたいなもので、すぐにカトマンズを思い出した。実際に身を置いているのだから、思い出すというのも変かもしれない。
いよいよだ。
今回のネパール旅行が終わる頃には何を感じているのだろう。
わくわく。どきどき。楽しみだ。
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