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【365カレーエベレスト街道トレッキング2024:本編2】

(今回のネパール旅行の20日間を日記形式で綴っております。)



【ネパール旅行2日目】2024年3月26日(火)


目覚め。そしてうだうだ。

夜中に雨が降った。
日本でチェックしてきた天気予報とはだいぶ違う。
あと、ホーリーが3月25日つまり昨日だという情報もあった。「ホーリー」とは、簡単に説明するとカラフルな粉まみれになるお祭りだ。それで空港からホテルまででカラフルな粉まみれになったらどうしよう……と心配していたが、今回の旅行のネパール人ガイドSさんに聞いたら、3月24日だったという。
これまた日本でチェックしてきた情報とは違う。

心配事項や不安材料を挙げたら切りが無くて、もちろん心配や不安が少ない方がいいかもしれないけれど、結局その時になればわかる(その時にならないとわからない)類の心配事項や不安材料はまともに相手をしない方がいい。というか相手をしてもしょうがない。心配や不安を感じないようになるのはもっと容易なことではない……。
そうわかってはいるつもりだったが、わかっていなかった。
昔あった、マーフィーの法則(だったっけ?)とは逆かもしれないけれど、「●●だったらどうしよう?」は大抵起こらない。というか、もし起こってしまったとしても、不安を抱えているだけの時よりも気持ち的に楽だったりする。

抱えた不安をゴミとして捨て去るかのように、ぱっちり目が覚めたのは夜中の3時過ぎ。
雨音に起こされたのかもしれないし、ネパールと日本の時差は3時間15分だから、体内時計が日本での起床時間に起こしてくれたのかもしれない。
意識してもコントロールできない身体の機能に感心する。

カトマンズの標高が1300mとやや高いからだろうか。頭が少し痛い。
目は覚めてしまったけれど、そのままベッドで体を休めることにする。
眠れなくても目を閉じて横になっているだけで睡眠の効果の7割は得られる、と前に誰かが言っていた気がする。それを信じてみる。

朝のカトマンズ

起床。そしてカトマンズ散歩。

6時頃、白んでいく空と騒がしい鳥の鳴き声で起床を決意。
実際のトレッキングのための行程は今日の深夜(正確な日付は明日の早朝)からで、今日の日中はカトマンズのタメル地域で買い物をしたり、荷物を整理したりする準備の日。

まずは、三度目のネパール旅行にして、毎回ちょっとした楽しみになってる朝散歩。もはや朝散歩はカトマンズ滞在時の日課と言ってもいい。
ホテルのあるタメルから少し歩くとアサン(Asan Bazar)があって、早朝から路上に市場が出現する。
その雑踏や喧騒のようなものが、強かにも感じられ、健気にも感じられ、僕にとっては非常に魅力的でもあり刺激的でもあり、好きだなと思う。

2017年と2020年にここ来た時に毎回寄っていた路上のチャイ屋さんがいなくなっていて……かなり寂しい。
特に朝のアサンには旅行者が少なく、そんな中でも僕のような旅行者に対しては紙コップでチャイを提供していた。だけど毎朝通っているうちに地元客と同じようにガラスのカップで出してくれるようになった。その時、仲間にしてもらえたような気がしてとても嬉しかったのがいい思い出。
彼が元気で暮らしてますように。

この辺にチャイ屋さんがいたはずなんだけど……

聞いた話では、首長の方針で路上営業が強く制限されつつあるらしい。
数年に一回しか訪れない僕がそれを少し寂しく思うのは、自分勝手が過ぎるかもしれない。
一方で、以前は無かった気がするゴミの集積所みたいなものができていたりもする。その影響か、路上に捨てられたゴミが少なくなったりしているのはいいことなんじゃないかとも思ったりして、やっぱり自分勝手。

以前は無かった気がするゴミ集積所

朝食。そして打ち合わせ。

朝の散歩を終えて、泊まっているホテルで朝食ビュッフェ。
カトマンズで他のホテルに泊まったことがないので、実際に比較したわけではないが、多分けっこういいホテルなのか、主に欧米人のトレッカーのみならずビジネスで訪れていそうなインド人らしき客もいたりする。
そんな多様な客に向けた朝食ビュッフェだけあって、パンやトーストやソーセージやフルーツといった、世界共通と言えそうな料理もあるし、プーリ(インド料理店でよく見る揚げパン)と野菜カレーみたいものがあったりして、パオバジ(パンと野菜カレーみたいなものを一緒に食べるインドのストリートフード)のようなものもできる。

ホテルのビュッフェ形式の朝食にて

毎日カレー生活をしている僕にとっては朝カレーができる嬉しさがある。
チャイもおいしかった。

ホテルのチャイ

とはいえ、嬉しさにまかせてガンガン食べることはしなかった。
特に生物(なまもの)は控えておく。今回は単なる観光ではなく10日以上歩くトレッキングだから、腹を壊している場合ではない。その予防。
体調不良の予防と言えば、今回の旅では毎日朝晩にアミノ酸サプリと乳酸菌錠剤を飲むこと、それに うがい をすることにしている。

朝食後、10時にホテルのロビーにて、ガイドSさんと今夜の行程の打ち合わせ。
今はトレッキングのハイシーズン。ルクラというエベレスト街道トレッキングの玄関口までの飛行機がカトマンズからではなく、カトマンズから車で5時間くらいのラメチャップという田舎町の空港から飛ぶらしい。
そのことは事前に知っていたので問題無い。問題無いんですけど、意外と早い集合時刻に少し驚いてしまった。
明日は午前0時45分に集合……それはもう明日というか今夜だ。
了承するしかないんだけど。


うろうろ。そして疲れ果て。

明日からのトレッキングに備えて、地図とトレッキングポールを買っておきたい。あと現金の両替も。
買い物も両替もタメルで済ませられることなので、夕方まではホテルから徒歩でうろうろしよう。

その前に、昨日到着時に歓迎の証として首にかけてもらったマリーゴールドの花輪をどうにかしたい。さすがにホテルのゴミ箱に捨てるのも忍びないので、タメルの街中にたくさんあるヒンドゥー教の祠にお供えするとしよう。

いざ、花輪を持って散歩していると現地の人が声をかけてきた。
「今朝ネパールニ到着シマシタカ?」流暢な日本語でそう話しかけてきたスーツ姿のネパール人は日本で働いていたことがあるらしい。
つづいて、ヒンドゥー教の祠の前で、通りすがりの若者が花輪のお供えのやり方を教えてくれた。何やら祠の管理人にお金を払ってロウソクを受け取り、僕らの分まで渡してくれて、丁寧に祈ってくれる。ロウソク代を払おうとすると、「何を言うんだ水臭い。ここは俺の奢りだ。むしろ奢らせてくれ!」と言っていたかどうかはわからないが、大体そんな感じだろう。
彼が片言の英語で言うには「旅行に来てくれた君たちがハッピーだったら俺もハッピーだから一緒に祈りたかった」とかなんとか。
お礼を言って別れようとしたら、今度は「仏教の祠に行こうぜ」と言ってきたり、「俺は美術学校に通っていて、近くにアトリエがあるから観に来てくれ」と言ってきたり、「俺の親戚のレストランがあるから、何か食べないか」と言ってきたり、雲行きが怪しい!? のかどうなのかも怪しい!? ので、コトリちゃん(今回の旅の同行者。人生の道連れでもある。)と相談して、さっきのロウソク代+αのお金を渡して立ち去ることにした。
その時に彼が見せた表情が怒りではなく、なんだかこちらを哀れむような表情だったからびっくりした。
彼が純粋な思いで誘ってきた可能性もゼロではないと思いつつ、僕としては流しの客引きだと思い込むことにして、複雑な気持ちに折り合いをつける。

さて、気を取り直して、地図を買いに行こう。
タメルには本屋さんもある。本屋さんじゃなくてもヒマラヤの地図をたくさん並べて売っているお店がたくさんある。たくさん。
自分の居場所を知るだけならスマホの地図でも事足りる。が、実物の地図を読んだり、足跡を記入したりする方がなんだかかっこいい気がする。そんな自己満足のために、少し荷物を重くなるくらいの覚悟ならある。
お店によって値段や汚れ具合(とはいえ新品のはずだけど……)も違うし、同じエベレストベースキャンプまでの地図でも微妙に違うものがいくつかあったりするので、しっくりくるものを選んだ。どの点でしっくりきたのか言葉に直すのは難しい。

そして、トレッキングポールも買おう。
使い慣れた物を日本から持って来てもよかったが、ちょうど壊れてしまったのもあって現地調達。
タメルにはアウトドア用品を売っているお店もたくさんある。5分くらい歩けば10店舗くらいは見つかるくらいたくさん。
多くが世界でも有名なアウトドアメーカーのロゴが入った偽物だ。が、しかたない。
これまた売っている物が同じでも、値段が違ったりもするから、どのお店に入るのか、店員さんの押しの強さ、どこまで足元を見られるのか、どこまで値切れるか、そんな駆け引きがある。
今回買ったトレッキングポールも、最初に入ったお店と実際に買ったお店では2倍くらいの値段差。
それぞれのお店の値段設定について突っ込んだ質問をしてみたい。という欲求は叶えないでいい。

花輪をお供えして、地図とトレッキングポールを買う。ただそれだけのことで意外とへとへとになるのがカトマンズ。
人がたくさんいるし、路面はでこぼこだし、そんなこんなで歩きづらいというのも疲労感を大きくするのだろう。
それでもやっぱり、なんだか居心地がいいと思えることを不思議にもいつつも、お店選びや値段交渉の駆け引きに疲れたらゆっくりしたい。

カトマンズのストローはうねうねが長くなりがち

昼飯。そして両替。

そんな時にゆっくりできそうなカフェ的なお店が、前回訪れた2020年と比べても増えた気がする。エスプレッソマシーンが置いてあるお店も増えているのにも驚いた。

いまどきのコーヒーショップ

だけど僕らが今行きたいのはカフェではない。
遅めになってしまったけど、昼飯が食べたい!ということで、以前にも来たことあるお気に入り店 PARU THAKALI KITCHEN へ。

薄暗くても営業してます

ダルバートだと食べ過ぎてしまいかねないから単品で注文した。はずだったけど、けっきょく満腹になってしまった。
でも、行ったことあったから安心しやすいお店で、落ち着いて食事ができてよかった。
明日からは様々な意味で未知のゾーンに突入することだし、今は少しでもまったりしておきたい。

二人で食べたけどお腹いっぱい

その後、再びうろうろしながら、レートがいい両替所を探す。
トレッキング中も途中まではATMがあったり、クレジットカードが使える所もあるらしいが、まだまだやっぱり現金が一番だそう。

タメルには両替所もたくさんたくさんある。
街の中が一番レートがよくて、ホテルや空港はレートが悪い。という情報がよくあるが、空港は意外とレートがいい気がする。昨日のうちに空港で両替しておいた方がよかったというようなレートのお店もあったけど、それよりもちょっといいレートのお店が見つかったので、日本円をネパールルピーに両替する。そのお店に入って両替したら、店頭表示よりも少しいいレートで両替してくれて、ラッキー。
とはいえ、前回ネパールを訪れた2020年よりも、日本円が15%くらい弱くなっている。(なんとなくの記憶では、前は 1JPY = 1NPR だったけど、この時は 1JPY = 0.85NPR という感じ。)
為替相場って何なん?とも思うけど、世界の仕組みに抗う気力も体力も時間も無い。

荷物をベッドに並べてみた

全ての用事を終えてホテルに戻って、明日からのトレッキングの荷物の整理をする。
荷運びをしてくれるポーターさんにお願いするもの、自分で背負って歩くものを分けたりなど。
その作業中にネパール紙幣を10枚ごとに束ねようとしたら、日本の紙幣と違ってはみ出してしまった。わざわざ束ねようとしたから、はみ出して束ねづらいことに気づかされるなんて、何かのメタファーだろうか。

日本の紙幣はこうして束ねやすいサイズであることに気づく

夕飯。そして明日へ。

昼飯で一旦満腹になっていたので、夕飯は軽めに済ませることにした。
ホテルの近くの新しめのパン屋さん Fresh Bake に、Veg Wrap というのが売っていた。
中にカレーっぽいものが包まれているように見えたので「これはスパイシーなのか? っていうか、カレーが入ってるのか?」と店員さんに下手な英語で聞いたら「not spicy」と言っていた。
ホテルに帰って食べたら、スパイシーなカレーパンだった。

これ(左の手前)がカレーパンだった

人も物も事も日本では考えられないことが起こるネパール。
日本も昔はこんな風だったのかもしれない。
どちらがいいとも悪いとも言い切れない。

明日も早いことだし、とっとと寝てしまおうかと思ってると、ホテルの部屋の電話が鳴った。
出てみたが片言の英語同士でうまく会話が噛み合わず、どこから誰がかけてきたのかもわからない。
どうしよう……と思っていたら切れてしまった。
なんとなく、フロントに確認しに行った方がよさそうだと思っていたら、今度は自分のスマホが鳴った。ガイドのSさんからの電話だ。早朝というか真夜中0時45分だった出発予定時刻が2時30分に変更になったという。
ラメチャップの空港からルクラのテンジンヒラリー空港への飛行機が、天候か何かの影響で遅れに遅れ、一昨日から待機中の乗客がいるらしい。

また心配事が増えたけど、その時になればわかる。
不安はゴミ箱に捨てて、早めに就寝。
おやすみなさい。



実は、2025年秋頃を目安に再びエベレスト街道トレッキングに行こうと計画して、いま資金を貯めています。図々しいですが、下記の[この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?]のところ等からサポートいただけると助かりますし、とても嬉しいですし、非常にありがたいです。そこまでは無理でも、とにかく、ここまで読んでいただいて恐縮です。本当にどうもありがとうございます!


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