見出し画像

飛客日記『キス』

「キスはあかん」
そう、飛田はキスNG。キスはダメなんだぞ。わかったか。

エリちゃんに上がるのはこれで4回目。
あっ5回目かな?
何回目だろうがいつもワクワクする。

エリちゃんはお母さんと仲が良いらしく
「このあいだお母さんと買い物に行ってー」みたいな話をよくする。
言動からも両親と仲が良いのはなんか透けて見える。
ほほえましい。
かなりのゲラ、笑い上戸で、僕のしょーもない話にコロコロ笑ってくれる。

その日、一通りエリちゃんをナデナデして僕は最高の気分だった。
「エリちゃん、髪キレイだね」
ショートカットのツヤツヤの髪を撫でてると
「ありがとう」
って言いながらチューしてくれた。

飛田でチューしてくれたのこれが初めて。

「えっ、いいの?」
死ぬほど間抜けなことを言った。
「うん、おにいさんいっつも30分とかで上がってくれるし、なんか面白いこと言うし」
ちょっとビジネスライク。だがそれがいい。

「やったーうれしー」
素直に喜ぶと、もう1回チューしてくれた。
カワイイ子が目をつぶるとよりカワイイ。

――― 数分後 ―――

「………でね、ワタシ目が悪くて部屋の中ではメガネなのね」

キスしちゃった。

「で、メガネが無い無いって焦ってー」

こんなカワイイ子とキスしちゃった。

「で、メガネどこにあったと思う?」

くちびる、めっちゃ柔らかかった。

「冷蔵庫のなか!ありえなくない?1人で爆笑しちゃったー」

生きててよかったーー。

「ねえ?聞いてる?」

チャイムが鳴る。
「また絶対来てねー」
と言ってほっぺにチューしてくれた。
うん、もちろんと言って階段を下り、満面の笑顔でエリちゃんとおばちゃんにバイバイした。

4〜5歩歩いて
「どうしよう、エリちゃんのほっぺにチューですごい昂ってる。。。」
そのあと意味もなく西成からなんばまで歩いて、日本橋でデリヘルの女の子を呼んだ。

ほっぺにチューは出費が嵩むからやめてほしい。
あっ嘘です。してほしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?