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guidance

私たちが生きていれば呼吸をするように、この世界には空気があるように、「論理」は呼吸をする空気と同じくらいどこにでも侵入してくる。そうした意味では、「論理」は誰もがもっていて、日常的に使っている。

だから、「論理学」という学問についての印象は、下手をすれば知ってる事をもったいぶって書いてあるだけ、「論理的に話せる事って当たりまえでしょ」、「そんな事を勉強して役に立つの?」といった、軽視や疑念の声が散見される。
本書は、いくつかの事例を取り上げて、我々の日常に潜む「ろんり」の陥穽をお伝えする事で、誰もが「論理」をもっているという意味では、新たに導入するという事ではないが、隠れて忘却されているものを、その忘却を自覚させ、眠った状態のそれに気づきを与えるきっかけになれたらなと、そんな思いで本書(以下、当ブログのことを「本書」と呼ぶ事にする。また、今後出てくる「当書」については別の事を意味している)を執筆する経緯に至りました。

あらかじめ断っておきたいが、わたしは論理学者でも何でもない、さらに言えば、わたし自身も論理初心者みたいなものである。しかし、そんなわたしだからこそ、初心者が思う疑問になるべく寄り添った形で、あくまでも初心者向けで敷居の低い入門書を提供できると思う。

本書は基本的に『形式論理学/リチャード・ジェフリー/訳:戸田山 和久』を参考にしたものである。そこに出てくる「真理の木」を使った証明方法を紹介する。ぜひとも、本書を通じて興味が湧いた方は、購入して読んで頂ければ、より一層「論理」への理解が深まると思う。

ところが、わたし自身が当書(リチャードの本)を読んでみて論理初心者にとってはやや難解な書物であるという印象だった。これから「論理」について学ぼうとする初心者である読者に向けて、当書を読み込む上での十分な「論理」が要求される事になるからだ。

そこで、本書はそうした全くの論理初心者の読者を念頭においたもので、そのような人達向けの、より簡便な、(論理初学者だからこそ初学者に寄り添って)足りない部分を補完するguidance(ガイダンス)となるつもりである。いわば、思考された内容をどのように表現するかなどの仕方を、簡単に説明した案内書みたいなものである。


論理学での「証明」の仕方はいくつかあり、「公理的方法」「自然演繹」と呼ばれるものがあるが、これから紹介することになる「タブローの方法(真理の木)」は、初めて学ぶ人にとっては習得の容易さにおいて、それらを凌駕する。ある程度きちんと、練習すれば必ず習得可能である。


勉強で大切なのは、自分の手を動かして考えることである。手をつかってそれを書き写すことによって、論理式の構造が見えてくるのである。

複雑な論理式が登場しても、諦めずに手を動かして解いてみてほしい。読むだけで手を動かさないのは、サッカーをしているときに、新しい技術を身につけるのに体を動かさず覚えようとするのと同じです。無理ですよね。

小さな子供における知の芽生えをとらえるとき、純粋に頭の中で思考しているとは思えない。具体的に何かを弄り、なにかに働きをかけるなかで、知的な了解が成り立ち、またこれから何かをしようともくろみを立て、実行するなかで、知的な営みが成立している。体を動かし、対象に関わる行動全体に知性があるのではないか。


さて、前置きはここまでにし、世界をしらっと外から眺めながら、人々から距離をおく、哲学の第一歩、論理学観光ツアーに招待致しましよう。





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