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人はみな仏である 白隠禅師坐禅和讃・一転語

著者プロフィール

朝比奈 宗源(あさひな・そうげん)
明治24年 静岡県清水市に生まれる。
明治35年 興津清見寺坂上真浄老師に就いて得度。
大正06年 円覚寺古川堯道老師に参禅嗣法。
昭和17年 円覚寺派管長に就任。
昭和54年 遷化。世寿八十八歳
(奥付の著者紹介より)

どんな本か一言で言うと

鎌倉には有名なお寺がたくさんありますが、
円覚寺は、臨済宗円覚寺派の大本山であり、鎌倉五山第二位に列せられる由緒あるお寺です。
この本の著者である朝比奈宗源さんは、円覚寺派の管長という要職をつとめられた方で、この本は「白隠禅師座禅和讃」について話された法話を文章にしたものです。

白隠禅師座禅和讃とは

臨済宗中興の祖と呼ばれる白隠禅師。
その考えを誰にでもわかるように
普通の言葉で書いたものです。
いわゆるお経のように
漢字がずら〜っと並ぶのとは
違います。

出だしはこんな感じです。

衆生本来仏なり
水と氷のごとくにて

水を離れて氷なく
衆生の外に仏なし

衆生近きを不知(しらず)して
遠く求むるはかなさよ

譬(たとへ)ば水の中に居て
渇を叫ぶがごとくなり

長者の家の子となりて
貧里に迷うに異ならず

般若心経などと比べると
ずいぶん分かりやすく
書かれていますね。
とは言え
ちゃんと理解するのは難しい。

そこで、この和讃に書かれていることについて
じっくりと朝比奈老師が解説してくださったのが、この本だと思ってください。

実際の法話を書き起こしたものなので、口調は優しく、わかりやすいです。
仏教の知識のない私にも伝わってくる語り口は、とても心地よく、時にユーモアを交えながら、自由闊達で
ぐいぐいと話に引き込まれていきます。

最初の第1章は、
「衆生本来仏なり」
の話だけで終わってしまうのですが、
それだけこの一文が大切である
ということの証だと思います。

テーマは仏心

老師は「仏心」という言葉に
様々な思いや考えを込められ、
白隠禅師坐禅和讃の話をされながら
実は「仏心」についてのお話に
戻ってくる感じです。
表紙に大きく「仏心」と書かれているのも
その表れだと思います。

仏教初心者も、
この一冊を読むことで
お考えが伝わってくる気がします。