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韓国で見た2対2の激アツ囲碁大会
韓国旅行、雑記です。
4人対戦!DX囲碁スタジアム
ホテルにてテレビをつけると、初老の紳士4人が碁盤を一心不乱に見つめていた。どうやら囲碁をやっているようだ。しかし、4人に対し碁盤は一つしかない。ということは、片方は選手で、片方はセコンド。さしずめ師匠といったところか。違った。4人とも現役だ。4人が順番に碁石を掴んでは並べていくではないか。
2対2の囲碁。そんなレギュレーション日本で見たことない。あるのかもしれないが確実にマイノリティだ。でも韓国ではこれが普通で、テレビで大会の中継が流れている。発音できるものの意味は理解できない私のハングル能力だが、色付きで「YES24」と書かれていることから、これが一日以上かけてはしゃぎ倒す激アツイベントであることは想像に難くない。
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隣国であるからこその、「ルーツは近いが確実に異文化」という感覚にワクワクした。
母とやってきた韓国・ソウル。推しの展覧会という目的を早々に達した後で、食や美容の流行に疎い我々が目指したのは「文化」だった。元々古代史や美術が好きな部類の人間なので、立てたスケジュールは無骨に、世界遺産と博物館、そして博物館と世界遺産だ。梨泰院や明洞には見向きもせず、朝鮮王朝の王宮や門、国立博物館に民俗博物館を見て回った。
民俗博物館が面白すぎる
「いくら寒くても、儒学者は顔を洗うのだ」
これは国立民俗博物館にて出会った、主なき格言である。内容としては「冬は寒いけど仕事しよう」というだけなのだが、日本にいたら感じられない、得も言われぬ味わいがある。
この博物館では、日々の暮らしを一日・一年・一生といったサイクルで切り取り、そのスケールに応じた展示がおかれていた。展示が時系列に並んでいるのではなく、農業や祭祀、食文化といったシチュエーションごとにまとめられていたことにより、歴史風土とともに現在の韓国のことも理解できるつくりになっていた。
また、ただ文化財が並んでいるだけではなく、クラシックな韓国料理をバーチャルでつくれるコーナーや、伝統の占い「ユッジョム(ユッ占い)」を体験するコーナーもあった。ちなみに、私のユッジョムの結果は、「モ・ユッ(モ)・コル」だった。なんだか呪詛めいた響きだ。意味は、「思いもよらない邪魔者に出会う」だ。
途中、ほぼ同じルートで観て回っていたドイツ人の写真を撮ってあげるなどした。邪魔者か、と一瞬身構えてしまったが、ただの陽気なジャーマンジェントルマンだった。
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混ざれ多様性
東大門を目指し歩いていると、近代的な施設が立ち現れた。DDPと呼ばれるその施設は、世界のデザイントレンドや21世紀のクリエイティブなアイディアをイノベーションするための基地として2014年に開業した新しい観光スポットらしい。
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我々が訪れた際は、アーティスティックなファッションイベントが催されていた。なるほど目的に沿っている、などと考えていたら、ほぼ裸みたいな恰好のコーンロウお姉さんが目の前にいた。いつの間にかカメラマンの間に入ってしまったらしい。まあカメラマンと言っても、点々と並ぶ被写体に群がる一般の人たちだったが。
邪魔者の正体
崇礼門にやってきた。十数年前に放火で焼け落ちるなどしたが、流石は韓国の象徴だ。BTSもこの門の前で歌い踊っている。ソウルの魂、ソウルソウルを感じた。――そんな戯言も言わざるを得なかった。それほどの恐怖を体験したから。
大規模な政府への抗議デモに巻き込まれたのだ。
訪れたのが土曜日の夜だったこと、ちょうど大統領が来日していたこと、近くにソウルの市庁舎があること、そして崇礼門が持つ歴史的意味。挙げれば挙げるほど、抗議デモをやるにふさわしい場所と機会である。
聞き馴染みのない音楽と主張、見たことのない色の警察官。異邦人が戦々恐々するには十分すぎるほど材料が揃っている。我々は観光を早々に切り上げ、迂回して駅の方へ歩き出した。
その時である。交差点の対岸にいたはずのデモ隊が、なんとこちらに向かって行進してきたのだ。これはまずい、と即座に踵を返し、逆方向に歩き出す。
我々の方向転換により、[1.我々 2.警察官 3.デモ隊]という順番で一直線となった。ひとときだけではあるが、「大規模抗議デモの民衆を導く自由の日本人親子」という、ドラクロワの絵画みたいな構図が出来上がってしまった。
博物館の占いにあった、私の行く手を阻む『邪魔者』とは、このデモ隊のことだったのか。
いや、これを邪魔者だと思ってはいけない。これは立派な文化的行為だ。彼らデモ隊が行進していく先に、平和な関係があると信じて、楽しかった韓国旅行をここに書き記す。
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