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自立した女性の象徴 『魔女』 #472

「魔法使いになりたい」

とある団体で講演をすることになり、自分の過去資料を漁っていたときのことです。小学校3年生の文集に、「将来の夢」として生き生きと綴っている自分を発見しました。小学校3年生といえば、9歳くらいか。

9歳ってこんなにアホなんですかね!?

数十年前のこととはいえ、恥ずかしさに打ちひしがれました。しかもめちゃくちゃマジメに「魔法使い」の素晴らしさを語っている……。

まあ、「魔法使い」に憧れていたのは事実です。

アメリカのテレビドラマ「奥さまは魔女」をマネして、口角をピクピクと動かす練習もしました。あの、音が大事なんですよね。「ピカピカピンッ」と、自分で効果音を付けながら動かすのは、とても難しいんですよ。やってみてください。表情筋のトレーニングになるかも。

やはり小学生の頃。とある小説に魔術の詳細なかけ方が載っていたので、もちろん試しました。

たしか、かぐや姫の要求並みに材料を揃えるのが難しかったんですよね。それでもバケツの中で材料を混ぜ、泥団子状のものを庭に埋め。真西に向かって片足で立ち、両手で万歳しながら叫びました。

「ケケケケケーーーッ!!!!」

なんの呪文だったのかは覚えていません。もちろん魔術は効かなかったのですが、その理由は「なんとかとかげの糞」の代わりに、愛犬クマのウンチを使ったせいかもなーといまでも思っています。

「ハリー・ポッター」や「オズの魔法使い」は大好きですが、もうちょっとどす黒い魔女も好き。だからシェイクスピアの「マクベス」を下敷きにしたレベッカ・ライザートの小説『三番目の魔女』なんかは大好物でした。

古今東西、魔女が登場する文学はたくさんあります。お茶目な姿だったり、迫害の対象だったりした「魔女」についての情報を集めた事典が『魔女 (ちいさな手のひら事典) 』です。

ギリシア神話や中世の魔女狩りについてなど、幅広く集められています。

魔女 (ちいさな手のひら事典)2

「オズの魔法使い」では西のよい魔女グリンダと東の悪い魔女が対立していましたが、魔女同士で連帯する話も多くあり、読み物としても楽しい事典です。

魔女だけに伝えられる知識と、自ら開発した工夫から浮かび上がる姿は、現代のイノベーターといえるかもしれません。「かわいい」だけでなく、「女の武器」を駆使するのでもなく、技術と知恵と勇気で生きる。これは、自立した女性の象徴だと思うのです。

やっぱり憧れるなー。いまからでも「魔法使いになりたい」。

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