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読んで楽しい辞書の決定版 『妄想国語辞典』 #475

「一瞬いい?」

仕事をしていてこう話しかけられると、「一瞬」身構えてしまいます。たぶん「一瞬」で終わらないことが想像できるからですかね。そんな心境のことを綴った辞書があるんです。

野澤幸司さんの『妄想国語辞典』という本は、読んでいるとニヤニヤしてしまう一冊です。

「一瞬いい?」の解説はこちら。

「一瞬いい?」
【意味】こみ入った相談のこと。
【例文】酒とギャンブルに溺れた友人から、「一瞬いい?」という電話があった。友人をやめようと思った。

いや、この「一瞬」はイヤですね。

著者の野澤さんはコピーライターをされていて、本はヴィレッジバンガードのフリーペーパーに連載していたコラムをまとめたものです。

文末にビックリマーク
【意味】印象を良く見せようとすること。
【例文】最近の就活は、文末にビックリマークな学生ばかりで本音が見えづらくなっている。そこが肝心だというのに。

いや、そうなんですけど! 付けちゃうんですよね!

私蚊に刺されやすくて
【意味】気のせい・思い込み。
【例文】自分だけ仲間はずれにされてる? いやいや、んなわけない。私蚊に刺されやすくてだって。

いや、思い込みじゃないです! なんて、思わず突っ込んでしまった!

本に収められている言葉は、どれも日常よく使う・目にする言葉ですが、切り口を変えてみると別世界が広がります。それは現代社会の一断面でもあり、ユーモアあふれる妄想でもあり。

「国語辞典」ではありますが、ご本人も仰るように文章を書くときに「役に立つ」ものではなさそうです。この本の役割は「役に立つ」ことではなく、日常への「余白」の提供なのだと思います。

第2巻も出ています。よくあるアレがバッサリ。笑ってしまった。

妄想国語辞典2



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