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男性偏差値25 プロローグ1



今度こそ幸せな家庭を…

そう信じてた。



2021.6.11

この日までは…


-2ヶ月前-

私は幸せの絶頂期にいた。

交際してまだ半年ではあったが[この人しか居ない]と思わせるには充分すぎる彼。

ふと仕草はもちろんのこと、声、スタイル、優しさ、毎日のように囁いてくれる愛の言葉…

まるで洗脳されてるかのようだった。

そんな彼との子を授かったのである。

将来の不安はもちろんのこと、彼が実は望んでなかったらどうしよう…そんな不安もいっぱいだったが隠してても仕方ないことなので彼に打ち明けたところ

「一緒にがんばろう!結婚しよう!」

そう言ってくれたのだ。

実のところ、私自身結婚には2度失敗してたし、流産も経験してる。

さらには持病の心臓の不具合と精神疾患もある。

なので結婚…ましてや子供なんて…と既に諦めていたところもあった。

彼が産むことに反対するなら中絶も仕方ないよね…

そんな思いもあった。

けれど…

彼は驚きはしたものの受け入れてくれた。

渋る表情なんて一切見せることなく、驚いた次の瞬間には

「一緒にがんばろう!」

そう言ってくれたのた。

結婚とか幸せな家庭なんてモノとは無縁だと思っていた私の心情は一変。

流産の経験もあったので慎重に…けれど喜びに溢れて毎回の検診が楽しみで仕方なかった。

たしかにつわりはしんどかった。

けど、彼が一生懸命に考えて食べれるモノを探してくれたりする度に優しさが癒してくれた。

「セブンの塩おにぎりが食べたい!てか、セブンの塩おにぎりなら食べられるかも!」

そんな私のわがままに嫌な顔一つせずセブンを4軒探して見つけてきてくれたり…

でも結局つわりがキツくて食べれなかったんだけど、それでも嫌な顔一つせずに私の心配をしてくれてたり…

体調の良いときはなるべく彼に恩返しをしたいというのと彼と触れ合いたいということでセックスもした。

彼はそんな時も回数が減ったから己の欲望を発散させるために激しいのかと言うとそんなことは全くなく、お腹の子私を気遣って優しくソフトに挿入してくれたりゆっくり動いてくれたりと愛しかないセックスだった。

彼は妊娠してからも変わらぬ愛を…いや、それ以上に将来の話をしてくれたり、必ず愛を伝えてくれたりと幸せな未来を疑う余地なんてどこにもなかった。

そんな毎日を過ごしてた。



2021.6.11の前日の6.10の夜

つわりも穏やかになってきてたのもあって久しぶりにセックスをした。

少し間隔が開いたせいなのかはわからないが何となく違和感はあった。

いつもより激しめの指使い…
いつもすぐ脱いでたはずなのになかなか脱がないズボン…

久しぶりだったから興奮してるのかな?かわいい。

そんなことを考えていた気もする。

行為が終わると彼は隣で眠った。

私も眠った。

いつものように…抱き合うように…



が、私は眠れなかった。

いや、正確には寒くもないのに身体の震えが止まらなかった。

喉もカラカラに渇いて仕方なかった。

心なしかお腹にも痛みを感じた。

彼は朝4時には起きて仕事に行くので起こしてはいけないという思いから1人眠れぬ夜を過ごした。

2021.6.11朝4時

仕事前に重い話されるとテンションが下がる

彼には前にそう言い聞かせられていたということもあり、仕事に向かう彼に声をかけることができなかった。

2021.6.11午前9時ごろ

意識が朦朧とする中、女性にはわかるかな…

生理の量が多い時のドロっと出てくるアレを感じた。

さらには脂汗が出るほどの腹痛。

トイレに駆け込んだのだけど夥(おびただ)しい出血。

すぐに姉に電話した。

姉は12歳年上で2人の子持ちであり、妊婦としての経験も先輩である。

姉「婦人科にすぐに行って」

私「…うん」

あれだけムカムカしていた胃がスッキリしていることに嫌な予感を感じながら婦人科へ。


医「胎盤まで綺麗に流れているね」


静かに涙が流れた。

幸せな未来しか見えてなかったのになんで?どうして?

以前の流産の時よりも慎重に気をつけてたのに…

私が悪いの?

赤ちゃん産めない身体なの??

ほんとに彼に申し訳ない…

色んな想いが脳内を駆け巡る。

…はずだった。

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