C500mkII & FX-9 スキントーンとカラー比較

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NZシネマトグラファーの佐々木です。Photogear様(NZローカルのshop)の好意により今回キャノンC500mk2(以降C500)とFX9のスキントーンと色味についてビデオ比較してまいりました。そのビデオについて今回すこし解説を加えて皆様への情報とできればと思います。ビデオの中では3つのセクションに分けて検証をしております。今回の検証ではローケーションとして実際ありがちな家庭用蛍光灯(正確には蛍光灯タイプLED)の環境でのC500とFX9の色味がどうなるかというところ使ってみました。なのでスタジオ、太陽光などの環境とはかなり違った色味が得られたと思いますがそこをご理解いただき読み進めていただきたいと思います。

ビデオの内容
検証1、C500mk2 CLog2のLUTのビフォーアフター。
検証2、FX-9 SLog3のLUTのビフォーアフター。
検証3、2台を横並びにしてLUTのビフォーアフターとカラーマッチ検証

今後も機材検証をはじめ、技術系、ハウツーものの動画も発表できればと思います。YouTubeの登録を是非お願いします。


カメラの設定
共通の設定:FF UHD/25p(PAL国のため)10bit422
タムロンの24−70/2.8VC、ISO800、1/100、WB4300K
C500:CLog2とキャノン製LUT(BT709 WideDR)
FX-9:SLog3とAlister Chapman氏作成LUT(ACs709_FX9)

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検証1
プレミアでの編集でLUTは80%まで落としています(FX9も同様)。LUTを当てたイメージから感じるのは典型的なキャノンカラー。この辺りはシネマEOSの特長を継承しているように思えます。スキントーンは透き通るように綺麗でファッション系やポートレートビデオ、企業案件、ビューティ系のCMなどの用途で使うには特に適しているのではないかと思います。個人的な意見としてはビデオっぽい色味に感じられますがその辺りがシネマ系ではキャノンがあまりポピュラーではない理由なのかもしれません。WBが4300Kだったこともあり少し涼しめの色合いになってますがポストで無理なく修正できるレベルです。スキントーンがスマホのように修正がかかっているように思えたのは自分だけでしょうか。(C500若干フォーカスがズレてました)

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検証2
ソニーのカメラはどれをとってもLogの色味が一定ではなくカメラの選択、グレーディングに戸惑います。さてLUT後の色を見てみると蛍光灯下での撮影ではよくありますが全体に緑~黄色シフトが見られます。LUTの差もありますが個人の印象としてはC500よりもシネマっぽい色が一瞬で得られるように思えます。話は変わりますが、FX9の新しいSLog3はFS7やF5と比べシネマっぽくなったような気がしますVeniceカラーサイエンスを踏襲して作られ、FS7とも違ったマーケッティングを狙っているように感じます。タムロンレンズを使った理由もあるかもしれませんが(C500も同じレンズ使用)肌色は少し黄色にも傾いています。FS7を使っている時には全く感じませんでしたがFX9ならインディー系のシネマでも十分に使えるカメラかもしれません。

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検証3
ここではC500とFX9を横並びにして色味がどれだけ違うのかを見ていきます。1:30からのLogのショットを見ていただくとわかるのですが数字上では全く同じ設定にしていますがC500の方が1/3から1/2ストップほど明るく撮れているのがわかります。そういう意味ではFX9に慣れていると少しオーバー気味の撮影になるかもしれません。なので両方のカメラを使われる方はWaveフォームやフォールスカラーを使って露出を確認しながら撮影されることをお勧めします。

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1:33からCLog2のLUTを両方に当てるとどうなるのかを見てみました。そうするとFX9が黄ー緑にシフトしているのが明らかになりました。同じWBで撮ってもC500の方が白が正確に再現されているような気がします。

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1:47あたりではACs709_FX9 LUTを両方に当ててみました。両方ともかなりサチュレーションが抑え気味で色褪せて見えます。隣同士で見比べるとCLog2の方がSLog3よりもフラットなLogだということがわかります。FX9はLUTを当てたにもかかわらずコントラストもまだ足りないようです(80%まで落としたこともありますが)スキントーンはともかくまだグリーンシフトが気になります。

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最後にMCUショットを使って両方のカメラの色味をどれだけ近づけられるかという検証をしてみました。自身で撮影監督をする現場でやマルチカムをソニーとキャノンで同時に撮るのは絶対避けたいです。スキントーンを合わせるのにここではLumetriのセカンダリー機能を使いました。肌色がずいぶん近くなりました。時間がない中だったのでセカンダリカラーの選択範囲が微妙でシャドーに向けて肌色が黄色っぽく突然シフトしてしまいました。このレベルまでくるとやはりDavVinciを使ってのグレーディングが絶対的に良い結果が得られると思います。全体位の印象としてはまだ若干FX9のグリーンシフトが気になります。ここでは2つのカメラで色味が合わせられるかという検証でしたのでまずまずの結果が得られたと思います。しかしC500、FX9のどちらのベストカラーが出せたわけではありませんし違う色味で合わせることも可能です。

今回のビデオ検証で自分が感じたのはこのレベルのカメラになるとどちらをとってもポスト次第で色味を修正したりグレーディングを施すに足りる素材が得られるということです。予算、目的などに応じてカメラを選択する必要があり、色味よりも別の特長でカメラを選択するということになりそうです(5.9Kが必要とか10ストップNDが必要とか、バリアブルNDが欲しいなど)。最後に皆様気付かれたでしょうか。同じレンズを使ったにもかかわらずC500の方が若干細身に見えます。やはりビューティ系はキャノンですかね(笑)


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