食べたい

息を吹きかける

生き返るこの世

ニューバランスのスニーカーにすんごい尖った植物の種が刺さってた

つまみ上げてあの子に見せた
「超鋭角じゃん」
「ね」

川が知らんぷりしてずっと流れている
土手で人間達がチラホラ歩いている

僕らの行くアテは無いんだけれど
お互いに、美味しいハンバーグが食べたい と言って待ち合わせしたんだった

川の土手には草と階段と石しかない

虫ではないからここで むしゃむしゃと草は食さない
あの子も私も いつまで生きるか分からないけど、今はハンバーグが食べたいし
手を繋ぐ事も出来る

あの子は葉っぱをプラプラ振り回して、思い思いの方向へ歩いてる

あとを追いなが歩く
私はポケットから、ありったけの言葉を掴んで目の前に取り出した

じゃらじゃらと指で見回してみても大した言葉が見つからない
重なって隠れている名言も特にない

まあこれで良いかと思い
決めた一つの言葉を指でつまんだ
光ってないし綺麗な形でもない

とりあえずそれをあの子に向かって投げつけた

言葉は背中にポコんとぶつかって地面に落ちてやがて消えた
あの子は振り向いて私の顔みた
ニヤっとした口が動く
「ほほう」
近づいて来て、肩をくまれ
この子は言った
「ハンバーグ食べにいこう」


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