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『すべて忘れてしまうから』

東京駅前の八重洲ブックセンターが閉店して淋しく思っていたが、グランスタ東京内にオープンしたことを知って、嬉しくなって訪問した日に購入した本。

帯の『ついにドラマ化!』と阿部寛氏の顔が目に止まって、タイトルの「すべて忘れてしまうから」に続く言葉を連想させられ、気になって手に取った。

すべて忘れてしまうから
大丈夫だよ

すべて忘れてしまうから
失敗なんて気にするな

そんな言葉で癒やされたかったのかもしれない。


          ・

読了したが、クスッと笑えつつ、そしてひたひたと水が流れるように進んでいき、とても優しい本だった。

あまりに優しすぎて、この本はエッセイとみせかけつつ、半分以上はフィクションなのかなと思ったりもする。

個人的には「死にたいんじゃない。タヒチに行きたいんだ」がとても印象的だった。

タイトルの「すべて忘れてしまうから」は、最後の章でたねあかしがされて、違う文脈で使われていた。

これまでに行ったいろいろな旅先での出来事も、読んで感動した本の内容も、ふんぱつして食べたおいしい料理のことも、
一方で、辛かった日々のことも、自分の不甲斐なさに涙を流したことも、
もうすでに忘れつつあって、いつかすべて忘れててしまうなら、わたしはいったいどうしていきたいんだろうな。

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