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中国バブルが順調に崩壊中。中国の外貨準備高は大丈夫なのか?

承前

中国の不動産バブルの崩壊が、華麗に始まったようですね。

まず、中国恒大ですが、習おじさんとは、違う派閥だったようで、チーン、という感じです。


で、苦しい中国の不動産屋は、恒大だけじゃなかった。

日本では、不動産屋の崩壊が、未払金を通じてゼネコンなどに波及したり、値上がりする土地を担保に金を貸していた銀行の不良債権につながり、銀行が不味くなったわけですが、日経新聞さんはその辺の言及も忘れません。

流石に、銀行も不動産融資に慎重になり、それで建設が減るので、中国のGDPの伸びも遅くなるだろうと。共同富裕ならいいんですが、共同貧乏になるかも知れず、まさに、蜘蛛の糸と行った様相を示しております。

ところが、

習おじさん、呑気に、締め付けと計画経済を進めて、一つ一つ、中国の新しい産業を潰していくわけです(まるで、新興企業の社長を叩き続けるどこかの読売新聞社の偉い人のようです)。

で、9月後半から社債の未払いが出てきているわけです。社債の利払いもできない。でもね、これ、外国から調達したものだけ払わないわけですよ。

10月中旬になると、デフォルトが相次いております。

デフォルトというのは、借りた金を返さない、毎年1回の金利さえも払えないというやつですからね。誰もお金を貸さなくなるわけです。

中国共産党の指導著しい、中国経済ですから、ちゃんと優先度があります。

国内の社債などを持っている投資家にはお金を払うんですよね。ドルで調達したものはあまり返す気がない。経済的な問題なのか、国内で経済問題を起こすと、政権支持率が下がって、暴動が起きたり、習近平の独裁が持たないのか。この辺がポイントになるので、後で言及します。

慌てて、銀行の不動産融資のチェックを始める中国共産党。中国金融システムの崩壊に陥ると、どこかの土地バブルに踊っていた国みたいになってしまうので、当然の処理かもしれません。

銀行の資本が足りないかも、というのはまさにどこかで見た光景です。

あー、やっぱり中国の地価や住宅価格が下がっているわけですね。これ、資産デフレってやつですね。ローンは変わらず、家の価値は下がるから、一気に家計の資産が痛むやつです。家計の債務超過ってやつが続出ですね。アベノミクスの逆を行ってます。

で、中堅どころは、ドル社債がデフォルト。

日本のバブルの跡地も散々見ましたが、これ。

習近平の主導したスマートシティが夢の後。自慢の自動運転の車も、ほぼ無人の街を走るのだから、交通事故も起きないんでしょうね。

まあ、しかし、日本のバブルの後には、未完成の巨大なビルとかありましたよね。バブルの塔と呼ばれたのが。高層ビルがそのまま残っていて。10年、20年経ってから、マンションになってましたが。

そんな感じで、無茶な都市開発などが夢の跡です。

そんな習おじさんは、経済より独裁維持が優先のようです。

「共同富裕」という社会主義をひたはしり、財テクに走った富裕層は救わないと。人口の多くを含む庶民に人気の政策だそうで、権力維持には、大衆の人気取りが大事。でも、経済崩壊させるとまずいということで。

社会主義の計画経済のおまけがこちら。

SDGで、地球温暖化対策として、石炭発電を止めたり開発をしないようにしようと指導したら、中国の電力が足りなくなって、工場の操業率さえ下がってしまって、GDPが落ち込んでますという話。習近平の強力な指導力を発揮した結果、計画経済にひたはしり、経済悪化というルートに足を突っ込みつつある。まさに、文化大革命!

やっぱり習おじさんが狙っているのは、政治的なポジション、つまりは、独裁でしかなったようで、社会主義というのは共同富裕に見せかけて、ただの独裁制であることが証明されてしまうわけです。

んなこと、政治と独裁維持に気を取られているうちに、恒大さんの問題は進みます。

こんなデフォルトの影響を懸念して分析する記事が出回り始めると、いろんな投資家が中国市場から逃げます。

不動産管理会社というのは、不動産会社の虎の子で、安定した商売なので高く売れます。が、その不動産管理子会社でさえ、売れなくて資金調達できないよー、というのが、恒大さん。

とうとう、ドル建て社債がデフォルトかと思ったら、

まずは、ドルの方も利払いということでした。不良債権処理の時間稼ぎですね。

流石に、不動産市場を一気に冷やすのはやばいと思ったのか、

ちょっと、不動産屋に厳しく当たる政策を微修正して、時間をかけて修正していく路線にしたようですが、まあ、崩壊始めた不動産市場の勢いを止めることはできるんでしょうかね。

ちなみに、習おじさんは不動産はお嫌いなようで、

不動産のREITでもない怪しい証券である理財商品から、投資信託に大幅にシフトですって。

まあ、日本人として思い出すのは、不動産バブルからの株式バブルでしかないのですが。ETFやETNならともかく、個別株など、需給で乱高下しますからね。一気にお金が入って高騰して、株価がピークをつけると暴落して、一気にお金が抜けて、バブル崩壊の絵が見えます。投信だともっと危ないですよね。おめでとうございます。

と、ほぼ時系列で、中国不動産バブルの崩壊を中継いたしました。

ちょっとまとめてみる

ポイントとしてまとめてみますと、

・中国のマンションデベロッパーは崩壊した
・中国企業は、元払いの社債は補償するが、ドル建て払いは払わない
・中国の不動産価格はピークを迎え、地価は下がりつつある
・理財商品などを通じて不動産に共有されていたお金は投資信託に流れる

詰まるところ、こういう結論になるでしょう。

中国資産バブルの崩壊が見えたということです。

不動産価格の上昇の資産効果で順調だった中国のGDPですが、その経済的な好循環(というか不動産バブル)は終わり、これまでのような高成長は望めません。人口オーナスとセットで、資産デフレが襲うわけで、まさに日本の失われた30年のようになるのが目に見えます。

もちろん、中国も日本の失われた30年は研究しているだろうので、対策は日本ほど稚拙ではないでしょう。しかし、対応を難しくしているのが、「共同富裕」をやらないと永年独裁を勝ち取れない習おじさんのポジションです。銀行への公的資本の注入が遅れて日本の金融は崩壊したわけですが、同じような世論の力は中国でも働きそうで、支持率がちゃんと欲しい習おじさんが権力を持っている以上、経済運営もどうにもならんかもしれません。

また、土地バブル→株バブル→バブル崩壊 という、過剰流動性の循環は、まさに日本と同じで、一瞬で投資信託が上がったと、崩壊してくれそうです。

なぜ外国の社債を後回しにするのか

残る疑問はこちらですが、こちらに大きな秘密が隠れている気がします。

以前書いたのが、これ

で、こういう心配をしていた。

見事に、中国企業は、借金を返せなかったわけですね。

じゃあ、中国という国はどうなのという話になります。

上の方の記事にしましたが、中国の外貨準備高というのは、中国企業がドル建てでゲットしたドルを中国銀行に預けさせているものが入っている。かなりの相当分が入っている。

つまり、恒大のような会社のドル建て社債で外貨を調達しているわけです。これの借り換えができないということは、中国という国から見ると、

・(社債を返すので)ドルが中国から外国に出て行って
・(借り換えできず)ドルが外国から中国に入ってこない

ので、外貨が減るわけです。外貨準備高が減ってしまう。(普通の国ではこんなことはないが、中国の外貨準備高の制度が変なんですって話は、武者リサーチの内容です)。

中国政府が、国内の利払いをするのは、ドルが減るわけではないから。企業である恒大の財布から、理財商品や社債を持つ中国人や中国企業の財布にお金が移っても中国共産党としては自分の持ち物なので変わりません。しかし、ドルが中国の財布から外国の財布に戻るとなると、それを許す中国共産党ではないのです。

とはいえ、「ドル建て社債だけ返さない中国企業」というのが分かってしまった以上、外国の企業も用意に中国にお金は貸しません。つまりは、中国は外国からの社債投資という資金調達源を絶たれるわけです(外国からの貸し剥がしですね)。

「じゃあ、株式で調達」と言っても、アリババをはじめ多くの企業を実質、習おじさんが潰してしまいましたし、習おじさんが突然規制変え事業がなくなるリスクがあるので、世界の投資家は中国企業を買いません。そもそも調達環境の良い米国の株式市場には上場禁止になっているわけですよ。こっちも調達できない。

外貨準備に困っている。もしくは、外貨準備に困りそう。だから、ドル建ての社債も返さないという手段に出ている可能性があるのかなと穿った見方をしてみる今日このごろでございます。

以前の記事にも書きましたが、わかりやすく具体的にいうと、

・中国恒大がドル建て社債で、米国のブラックストーンからドルを調達
・このドルは、中国銀行の外貨準備高になる
・中国銀行のドルは、中国政府がラオスにインフラプロジェクトに投資
・でもコロナでラオスの出稼ぎができずラオスは返済できず
・あれ、ラオスに貸したドルがなくなっちゃった
・あれ、中国恒大の社債が返却期限がきちゃったぞ
・これって返すと、中国銀行のドルが減っちゃうよね。返すのやめとくか
・でも、なんか経済やばそうだから、今回だけ返すか ←イマココ
・いや、でも返し続けるの辛いな。返さなくていいや、アメリカ企業だし。踏み倒しとけばいいや

こんな感じなんじゃないかと。

国内投資家向けは、社会不安に繋がって、独裁体制が崩れるので利払いもするんですが、こんな感じかと。

ということで、投資家でる私としては、中国の外貨準備高をしっかりみていきたいと思っております。

まあ、中国政府の発表では、本当の値が出てくるのか怪しいものですが、統合的なアナリストの分析を待つとしましょう。



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