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安全保障の書評と評論

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2018年2月の記事一覧

書評:『ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊』(塩野七生)



1巻よりこの2巻は退屈で面白い。こんな小学生一年生みたいな表現になってしまうのが2巻である。

アテネの興亡がよくわかるのがこの本。1巻でも英雄が出てきて、アテネがギリシアの雄として立つ。その理由は、世界初の海軍設立というイノベーションと、ペルシアという外圧。外圧をやっつけたのは、ペルシアの長い兵站。しかし、このIIになると、興亡を決めるのは、民主政治下のリーダーであるところが2巻の面白さだと

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書評:『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』塩野七生



初めての塩野七生さんと言うことで、『ギリシア人の物語I』を緊張しながら読んでみたのですが、そんなに緊張しながら読む本ではなく、大変楽しく読ませていただきました。塩野さんはよく大層な対談記事を出されているので、どんな歴史の大家かと思って構えて読み始めたのですが、読んでみれば、この本はいわば『三国志演義』であって、塩野さんは、司馬遼太郎の西洋版であると認識しました。これは、歴史書ではなく、これは、

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書評:『米朝密約 なぜいま憲法改正、核装備か』(日高義樹)



密約というのは大げさだが、米朝と中国を交えた安全保障環境について書かれた本。日高さんは、米国共和党側の人で、NHKの元記者で、安全保障を研究している。ハドソン研究所というところにいた人のようです。確からしい調査に基づいて書かれた根拠のある本だと思います(ただ、日高さんとポジションと意図は、わかりません)。

書いてあることは、わかりやすいです。

米国の北朝鮮の攻撃シナリオはあって、
(1)戦

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