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【 #ティアマトの11の怪物 】ウーム―・ダブルートゥ:嵐の魔物【10】

  ウームー・ダブルートゥに関しては正直残っているものがほとんどありません。図もなければ物語もない。だけど、ティアマトの11の怪物の中に名前だけが書かれている。そんな一番困った怪物です。

 それでもある程度この怪物について想定することが可能です。
 まず、ウームー・ダブルートゥはエヌマ・エリシュにおいて、ウガルルムと同じ時期に加えられたという事が分かっています。
 そして、ウームー・ダブルートゥはその語源から嵐を表す魔物だということがわかっており、ウガルルムとは同質か対になる存在であったと考えられています。

 ウガルルムの項目で解説した古代オリエントにおける天候の考え方なのですが、災いを呼ぶ「悪魔の日」と並んで「嵐の日」が語られます。
 これは悪魔の日よりもわかりやすい事象なのですが、嵐の日における猛烈な風と雨の音は獣の方向を想起させ、それは犬やオオカミやライオンといった大型の肉食動物と連結させられました。
 ウガルルムが全体の天候に関する語を充てられたのに対して、ウーム―・ダブルートゥは嵐というより特化した用語を充てられています。
 なぜわざわざ同じものがあるのに分けたのかといったことは結局この怪物に関する記述がほとんどない以上想像すら難しいでしょう。

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