#3Dプリンタ 用の3Dモデルについて
こんにちは。323工房のCGオペレーターJです。
今回の記事は普段3DCGを作っているけれど、それを3Dプリンタで印刷してみたらどうなんだろう?という人向けの記事です。
3DCGをやっていて、3Dプリンタをやっていないとなると、これまでの3DCG向けはほぼゲームか映像作品系、もしくは工業製品の設計や図面用としてやっていた、という人達になるのではないかと思います。特殊な人は研究用として使っている場合もあるでしょうが、これも工業製品方面に近いです。
いうまでもないですが、3Dプリンタは後者との相性が非常によく、3Dプリンタ用のソフトとしてもCAD系ソフトがよくおススメされています。
CAD系から3Dプリンタに関しては多少の違いはあるものの、系統が同じであるためすんなりと入っていけるのではないかと思います。
研究用途の場合、極端に表面頂点数が多かったりすることが多いので、その削減テクニックが必要になりますが、概ねCADの考え方と近いので、そこまで苦労することはないと思われます。
問題はゲームか映像作品用に今までゲームを作ってきて、3Dプリンタにそれを持っていきたいというケース。これが一番厄介なことになるのではないか、と私は思っています。
作品によりけりですが、このゲームや映像用というのは工業製品や研究のそれと違って「見えるところを重視する」という世界です。
3DCGはとにかく細かく作りこめば作りこむほど必然的に頂点数、辺数、面(ポリゴン)数が劇的に増加していきます。それはパソコンに大きな負荷をかけるので、なるべくパソコンのスペックを上げていくか、もしくは3DCG事態に細工をして、負担になりにくいモデリングを心がけるのが常です。
この「負担になりにくいモデリング」が3Dプリンタ用に作る際にはネックになっていきます。
具体的には以下の内容が全て反映されません。
・曲面制御、ミラーリング、回転体、スムージング
・材質設定、テクスチャ
ようするに見せるために使っていたあらゆるテクニックは一度ぜーんぶ忘れちゃって、基本の基本である頂点と辺と面だけの形で勝負する世界、だと思っていただければよいと思います。
作業している時点で曲面制御などを利用している人は多いと思いますが、それを3Dプリント出力する際にはちょいちょい全部をポリゴン化して変化がどんなものになるかを確認するとよいでしょう。
そして、これは普段からリアル系モデルを作り際には意識している事ではありますが、3Dプリントする場合は特に
・浮いている部分
・ポリゴンの穴が開いている部分
の2点に関しては注意を払う必要があります。
色んな種類の3Dプリンタがありますが、基本は素材を積み重ねて造形物を作成していきます。データに浮いている部位があると機械は空中に生成しようとするわけですが、そうすると現実には当然重量があるわけで、下方向に向かって落ちていき、結果壊れた生成物ができあがります。
ポリゴンの穴は機種やソフトによっては補完してくれる場合がありますが、可能な限り避けた方が良いです。特に大きくあいた穴があると、その部分には何も成形されないため、巨大な空間ができたことにより生成物が壊れてしまう可能性が高まります。
浮いている部分に関してはとにかくモデルをしっかり見て、そういう箇所がないようにするか、あまり使えませんが、ソフト側の自動で支柱を立てる機能を利用して対処します。
ポリゴンの穴に関しては「穴埋め」機能が付いているソフトも多いので、これを活用するとよいでしょう。しかし、自動にはつきものの自分の意図しない埋め方になる場合もあるので、手動操作が必要になる場合もあります。
ここまでやってきて最大の問題は「強度」です。
本来3DCGの中には重力設定はあってもモデル自体が重量によって壊れることはありません。
しかし、それが現実に現れた瞬間に細すぎる、重すぎるといった問題が発生し始めます。
強度に関してはトライアンドエラーでしかどうにもならない部分もありますが、最低印刷可能な強度の柱などを用意して、それを下回らないモデリングを心がけるなどすれば、失敗の回数を減らすことができるでしょう。
最終的に印刷する際にはできる限り材質もオブジェクト数も1つにまとめられるとよいでしょう。特に問題ない機種も多いのですが、3Dプリンタ用のモデルにいくつもの材質やオブジェクトがあっても無駄でしかありません。
基本1つの素材だけで出力されますし、余計な表示が出て完成物のイメージと剥離しまわないようにしていきたいです。
なお、サムネイルのヒマワリも当初作成した状態からどんどん厚みを増やし、またシャープ過ぎた個所は丸みをつけて強度を上げる調整をしています。
ここまでやってようやく「とりあえず物体としては存在できる」ものになります。
これが何かの用途に使われるものになるとより強固な構造が求められ、3DCGの段階からその知識と経験を持って作る必要性が出てくるでしょう。
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