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元教授のパリオリンピック観戦記、その6:若きクライマーの挑戦 2(定年退職134日目)

昨日もパリオリンピックで日本人の活躍が目立ちましたので、ご紹介いたします。前回は主にスポーツクライミング男子複合の安楽宙斗選手に焦点を当てましたが、今回は女子の森秋彩選手の挑戦についても触れていきたいと思います(タイトル写真:注1)。


まずは、昨日の日本人選手の活躍から振り返ります。世界選手権などで優勝し、世界ランキング1位の北口榛花選手が、女子やり投げで見事金メダルを獲得しました。これは、日本女子にとってフィールド種目での初の快挙です。予選、決勝ともに1投目で最長記録を出し、世界チャンピオンの風格と圧倒的な強さを見せつけました。試合中、北口選手が競技場でうつ伏せになりながらカステラを食べている姿が映し出され、リラックスしているように見えましたが、解説者によると、これは肩周りの筋肉を硬直させないための方法だそうです。さらに今朝の本人談では、おなかにもストレッチがかかって姿勢をキープできるとのこと、トップアスリートならではの休息法に驚きました(下写真)。

北口選手、うつ伏せでカステラを食べる休息法(注1)


これまで日本人が苦手としていた種目でも、史上初の銀メダル獲得が2つありました(<追記> もどうぞ)。ひとつ目は男子高飛び込みの玉井陸斗選手です。高校生の彼は最終演技で最高得点を叩き出し、メダル圏外から逆転で2位に踊り出ました。


ふたつ目は「近代五種競技」の佐藤大宗選手です(私は競技を「陸上十種競技」と混同していましたが、全くの別物でした)。「近代五種競技」は、近代オリンピックの父と呼ばれるクーベルタン男爵が考案した競技で、具体的にはフェンシング、馬術、水泳、射撃、ランニングという全く異なる5種目で構成されています。欧州では「キング・オブ・スポーツ」と称されるほど伝統と格式のある競技で、これまで日本人が入賞したことはありませんでした。特に今回は、5種目を1日でこなす過酷なスケジュールとなり、技術だけでなく集中力や持久力も求められました。佐藤選手は最終種目のレーザーラン(射撃とランニング)で逆転することができました。ちなみに、パリ五輪を最後に馬術が除外され、次回の五輪からはTBSの番組「SASUKE」に似た障害物レースが加わる予定だそうです(これは興味深いです)。


さて、話をスポーツクライミングに戻しましょう。昨日行われた女子スポーツクライミング複合では、森秋彩選手が世界の強豪たちにどれだけ対抗できるか注目されました。森選手は予選(準決勝)で4位(リードではトップ)の成績を収め、勝ち上がってきました。

決勝では、森選手はボルダーラウンドの第1課題で苦戦しました。小柄な体格が影響したのか、何度ジャンプしても最初のホールドに届かず、0点に終わりました。その後、第3課題を完登するも、全8選手中7位と大きく出遅れてしまいました。

それでも、後半のリードラウンドでは、森選手の得意種目ということもあり、巻き返しが期待されました。彼女は、他の選手たちとは別次元の会心の登りを見せ、一人だけ完登に迫る圧倒的な登りで、このラウンドトップの96.1点をマークしました(下写真)。観戦していた奥様と二人で、思わず「100点まで、イケー!」と声を上げてしまいました。

リードラウンドでの会心の登り(注1)

残念ながら、トータルでは前半の得点が響きメダル獲得には至りませんでしたが(下写真)、リードでの素晴らしい登りには森選手も満足していたようで、普段あまり感情を出さない彼女が少しだけ微笑んでいたのが印象的でした。もちろん、本人にとって悔しさは多分半端ないと思います。次のオリンピックまでにボルダーの課題も克服し、絶対王者のガンブレット選手を脅かす存在になってくれることを期待しています。

女子スポーツクライミング複合の最終結果(注1)


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<追記> メダルには届きませんでしたが、これまで日本人が不得意とされてきた種目でも入賞が続きました。走り高跳び:赤松諒一選手(自己新記録で88年ぶり5位入賞)、110m障害(ハードル):村松ラシッド選手(5位入賞)、3000m障害:三浦龍司選手(8位入賞)など、素晴らしい躍進が見られました。

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注1:NHK テレビより


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