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感度に沼る人が沼っているのは感度ではない〜センシへの理解とエイム加速に対する幻想〜

※ 一部の人に対して否定的な内容である可能性があります。メンタルの弱い方は引き返す事を推奨します。

こんにちは。もうすぐPCゲームのプレイ期間が6ヶ月くらいになる睲終せいらです。今回はよく耳にする『感度沼』と『エイム加速』について話そうかなと思います。

感度沼に陥る人のほとんどは感度ではなく「感度に対しての考え方」が間違っていると私は思います。ハイセンシ・ローセンシ・ミドルセンシってよく聞きますよね。とりあえず感度に沼る人はそれらの言葉を使うのを辞めましょう。数学だったり理科だったりで、間違った理解をしている(またはそれ自体の知識からして間違って覚えている)公式や定理を使って解こうとすると問題によっては何も知らない状態で直感で考えるよりかえって正解から遠ざかってしまう、なんて事があったりしますが、感度沼はまさにその状態です。一般的に言うハイセンシ・ローセンシ・ミドルセンシって、PCの場合は180度や360度の振り向きに必要なマウスの移動距離(cm)、モバイルの場合は設定上の感度の数値で判断される、つまり絶対的な(常に一定の)基準による判断なんですよ。私はそれを『絶対感度』と呼んでいます。

ここでその『絶対感度』を基準として愛用している方に質問なのですが、絶対感度で自分の感度設定を考える事に何か意味ってあるんですか?

恐らく、答えられないと思います。強いて言うなれば、みんなそうやってるからそれが当たり前だと思ってた(問うているのは理由ではなくそれをする意味なので答えにはなっていませんが...)というところではないでしょうか?それもその筈です。だって絶対感度という基準は、感度がエイムにどう影響するかではなく、数値上での機械的な規格で思考なしに分類するだけのものですから。

そこで、もうひとつの感度を推し量る基準を作る必要性が生じます。エイムというのは筋肉記憶(筋肉操作)だの視野能力だの仕様の活用だのといった様々な要素が複雑に作用し合って織り成されるものですが、こと感度が直接的に影響するのはそのうちの筋肉記憶(筋肉操作)の難易度です。エイムの筋肉操作の難易度に感度がどう影響するのかと言うと、筋肉操作の難易度は『加速』と『精度』の2つの要素からなるので至極当然の事ですが、「感度を上げれば加速するのが楽になり制御が難しくなる。逆に感度を下げれば加速は難しくなるが制御が楽になる。」という単純なものです。この、加速と制御の難易度に及ぼす影響で判定する基準として、『相対感度』という概念を私は提唱しています。相対感度では『"現在の(その場その場の)"自分自身にとって』加速も制御も概ね難なく可能な感度の範囲をミドルセンシ、ミドルセンシに対して加速の難易度は上がるが制御は容易になる感度の範囲をローセンシ、加速は容易になるが制御が難しくなる感度の範囲をハイセンシと判定します。(スーパーハイセンシ/スーパーローセンシ はそれぞれ制御が困難な程の 過剰な加速しやすさ/過剰な加速の困難さ を示す感度範囲になります。)これはその場その場での本人の能力によってその線引きが決まるので、それに対して常に相対的に変動する基準です。例え振り向き5mだとしても、本人にとって加速が楽で制御が難しければハイセンシになるのです。(まあ流石にそこまでやばい能力バランスの人はいないでしょうが...)

感度設定を考える時は、このように自分の加速能力・自分の制御能力・感度の加速難度・感度の制御難度の4つの観点から、自分のやりたいエイムがどういうもので、その為には何が出来る必要があるのかを考える必要があります。それが正しい感度との向き合い方です。自分の加速能力や制御能力は、体のコンディション、デバイスのコンディション、筋肉の使い方等様々な要因の影響を受けて常に変動しています。なので1つの感度に固執する必要はありません。(また、練習条件の変化による脳への刺激を考えれば感度を変える事は有効な練習方法の一つと言える。)

ですが感度で迷子になる人は、その変え方に問題があるのです。意外と、感度に沼っている人は速度が足りないと思ったら何も考えずに感度を上げよう、制御が難しくなったらとりあえず感度を下げようという感じで変えてる人が多いような気がします。感度を上げれば確かに加速だけの視点で見れば楽にはなります。ですが制御を伴わない加速など何の意味もありません。視点移動するだけではエイムではありません。敵(的)に合わせるのがエイムです。何も考えずに感度を上げた結果、加速が楽になる以上に精度が難しくなってエイムの速度(敵に合わせられるように制御出来る速度)はかえって遅くなるなんて事例は掃いて捨てるほどあります。逆もまた然りです。何も考えずに感度を下げてもエイムとして機能する速度を出すにはかなり必死に加速に専念しなければいけなくなり、むしろ精度や正確性が落ちる事なんて普通です。

他にも感度設定が下手な人の考え方としては、感度に頼りきりになっているというのもあります。自分の能力を向上させるよりも、感度を最適な設定にする方が手っ取り早いという考えは辞めましょう。そういう人を見ると、感度がエイムしていると思っているのだろうか?という印象を受けます。エイムをするのは人です。感度はあくまで補助に過ぎません。最適な設定にした方がパフォーマンスが向上するのは事実ですが、やりたいエイムによってそのエイムに必要な要素の重要性のバランス(例としては、長距離なら制御が重要で、近距離なら制御も加速も重要など。)が異なる以上、どの状況でも最善となる単一感度というものはなかなかありません。なのでどんな状況でも必ずベストだなんていう感度は探すだけ時間の無駄です。諦めて苦手になる種類のエイムに必要な能力を鍛えてください。その方が余程建設的ですし、自分が使っている感度でどの状況でもしっくりくると感じられる感度を持つ人は最初からそう感じる感度に設定したのではなく、自分が選んだ感度を使いながら、得意なエイムも苦手なエイムも長い時間練習していく中でその感度がほとんどどの状況でベストだと感じるように完全適応しているのです。完全適応した感度はパーフェクトミドルセンシとでも言うべきでしょうか。ちなみに私もそういった感度を持っているゲームがあり、そのゲームでは距離は1m~500m(端末の表示限界)、振り幅は0°~270°(それより大きい振り幅のフリックはそもそもしない)、フリック、トラッキング全て同じ感度でやっていますしどれもスピードに関係なくその感度が最もしっくりくるように感じています。

もうひとつ、感度設定を考えるにあたってよくない考え方があります。それはプロや上手い人の設定をパクればいい、という考え方です。これは感度だけでなくあらゆる設定に言える事ですが、あなたとプロは何もかも違う。否定的な意味で言っているのではなく(そもそも私はこのnoteを誰が読んでいるのかまでは把握していません。)、事実として違うのです。あなたとプロと言いましたが、プロ同士であっても違いますし、あなたと同じような実力のプレイヤーとあなたでも、何もかも違います。能力のバランスも違えば骨格も違う。体の使い方や姿勢も違う。デバイスだって同じとは限らない。そしてやりたいエイムも違う場合は尚更です。要するに、あなたとあなた以外のプレイヤーでは出来る事/出来ない事や出来る必要がある事、そしてそれらの度合いが全く異なります。その違いを無視して、前提条件からして違うプレイヤーに合った設定をパクっても、いい事なんて何一つありません。それで良くなるとしたら、偶然それらの前提条件が近かったか、単なるプラシーボ効果(思い込む事は実際に体に作用する、みたいな効果。一応科学的にも実証されているらしい。)でしかないです。ただし、丸パクリするのではなく、そのプレイヤーはどうしてそういう設定を使っていて、それがパフォーマンスに対してどういう理屈でどんな影響を及ぼしているかを考えて、自分の設定を考える際の参考にするのはとてもいい事です。

あと、先程述べたこの問に対する私なりの答えを書いておきますね。

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こんな煽り文句を入れましたが、絶対感度にも実は使い道があって、自分が相対感度でのミドルセンシとして用いている感度が絶対感度ではどの区分に相当するのかを振り返る事で、自分のエイムの仕方の特性を理解する手助けになります。


以上を踏まえて、感度との向き合い方についての話の結論を言います。

1、感度を変える時はその場その場での自分のエイムの加速能力・制御能力と、やりたいエイム(出来る必要があるエイム)にはどれだけ加速能力・制御能力が必要なのかを考えた上で、感度の上下による加速難度と制御難度の変化を踏まえて『相対感度』でのミドルセンシになるように設定する。

2、人の設定を丸パクリするのではなく、自分の感度は自分で決める。感度でカバーしきれない分は自分の能力を鍛えて補い、選んだ感度での長い時間を掛けた練習により完全適応する事で自分だけのパーフェクトミドルセンシを作り出す。

3、練習として一時的にハイセンシやローセンシにする事も有効。


じゃあ、感度との向き合い方についての話が終わったところですし、エイム加速についての話をしましょうか。

タイトルにも似たようなセリフがありますが、多くの人が思い描いている『エイム加速の制御は難しい』というイメージはただの幻想です。

というか幻想じゃないなら、某tpsゲームで485m先の敵に対してMAX感度のエイム加速onで180度フリックを頭に合わせる私は何なのでしょうか。

という訳でエイム加速への適応方法なんですが、まずエイム加速は無秩序にエイムに加速や減速が掛かる訳ではありません。マウス(モバイルなら指)の移動速度に応じて、決まった加速が掛かるのです。(速度が遅い場合はゲームや感度によっては減速が多分掛かってる。)ゲームによってクロスヘアの移動速度、移動距離、またはその両方のうちどれに加速が掛かるかは異なりますが、マウス(指)の移動速度に対して一定の加速が掛かるという事には変わりありません。

つまり何が言いたいかというと、エイム加速が付いていてもクロスヘアの動きは操作(手=マウスの動き)に比例するという事です。なのでエイム加速というのは、加速度さえ覚えてしまえば簡単に適応できます。まず、あなたがエイムをする幅の範囲内でそれぞれ大・中・小の振り幅のフリックを決め、その幅で壁撃ちをしてください。私は180度・普通の画面外(85°~100°程度)・画面内(45°~60°程度)でやっています。振り幅の差が大きい程、エイムをする時の手(マウス)の操作の速さと移動距離のバランスが変わってくるので、180度・普通の画面外・画面内の組み合わせが理想的です。そしてその大・中・小の自分で決めた幅のフリックを、まっすぐと横に、凡そその振り幅を振ったところでピッタリと止められるようにしてください。どれくらいの力加減でどれくらい動いたかを意識しながらやれば、あまり時間は掛からないと思います。(ピタ止めのやり方については手首を固定~の回を見てください。)この3つの幅のフリックで覚えた加速度を軸として、実戦の中で要求される様々な幅や速度に対応していく中で、適応が完全なものになっていきます。ごく小さい幅であったり、ゆっくりとしたエイムでの加速度は戦闘以外での視点移動から覚える事が出来ます。私は今この説明でトラッキングという言葉を出しませんでしたが、それは大・中・小の振り幅のフリック、そしてゆっくりとしたエイムから速いエイムまでの加速度を覚えていれば、実戦の中で戦ううちに、トラッキング時の加速度もすんなりと身に入って来るからです。

距離のあるフリックについては、これだけでは出来るようにならないかもしれませんが、それは感度の問題ではありません。技術の問題です。そもそも、距離のあるフリックというのはある程度エイムが上手い人にとっては当たり前のように出来る事ですが、そうでない人にとってはかなりの技量(特に制御能力)を要求される操作です。もしあなたが長距離フリック以外の操作を犠牲にした感度以外で距離のあるフリックが出来ない場合、ミドルセンシにして距離のあるフリックが出来なくなるようなら、それは感度が悪かったり感度に適応出来ていないのではなく、単純にあなたが距離のあるフリックを習得していないというだけです。なので諦めて技術を鍛えてください。

また、わざわざ適応方法を書くぐらいですからエイム加速にはメリットがあるのです。というか慣れてしまえばメリットしかありません。

まず、エイム加速は操作の仕方によって(加速が掛かるので)感度が変わるという事です。このお陰で、同一設定でもマイクロから180度まで様々な振り幅のフリックや様々な速さのエイムを自然にこなせるようになり、トラッキング時の敵の動きの緩急に対しても対応しやすくなります。そして、手(=マウス)の移動距離だけでなく、移動速度もエイムに反映されるので、慣れればより身体操作の感覚(力加減など)とクロスヘアの動きが一体化しているように感じられるようになります。(この一体感は思い通りのエイムをする為にとても重要です。)

これがエイム加速のメリットです。


最後に私の感度、ではなく私の感度の決め方を紹介します。

私はingameで感度を決める際、1フリックで180度振り向けて、画面内のフリックの制御も容易に出来る感度とエイム加速の組み合わせにしています。やり方は簡単です。感度や加速度を変えながら、180度振り向けるかの確認と画面内フリックの壁撃ちをするだけです。この2つが両立出来る感度なら、大体が相対感度でのミドルセンシの範囲内になるので、使っているうちにあらゆる局面に慣れていく事は容易です。

以上が、今回の感度への向き合い方とエイム加速のお話でした。なんか割と当たり前の事しか言ってないような気もしないでもないですが、エイムやゲームだけでなく様々な事で、当たり前の基礎の全てを当たり前に出来ている人というのは滅多にいないものです。私にも、競技エイムでまだまともに出来ていない"当たり前"がたくさんあると思っています。

それではまた、機会があればいつかどこかで~

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