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新井直人の移籍から考えるアルビレックス新潟の方針【素人考察】

朝から大本営が報じたアルビレックス新潟所属の新井直人の移籍加入
正午には公式リリースが出て3月末のこの時期では異例の同カテゴリーの完全移籍が実現した。

新井直人選手は大卒で新潟に加入し、21年にC大阪に個人昇格。
出場機会を得られず22年はJ2徳島にレンタルされフルシーズンを戦い、新潟の昇格と共に23年から古巣に復帰した。
両サイドできるサイドバックを中心にCB・ボランチもできる選手ということで、怪我でCBが相次いで離脱しFWをボランチ起用しているサンフレッチェ広島の穴を埋め、さらにオプションを増やす補強となった。

自分が残されたサッカー人生の中で本当にどこに行きたいかっていうのを考えた時に、もちろん新潟でも可能性がある中で、また違う環境に行って、そういうところに身を置いてプレーしたい

日刊スポーツ上記記事

「このクラブと共に成長できる」「ここにいる選手たちとプレーしていきたい」「タイトル獲得というまだ見ぬ景色を」という気持ちも本当にありました。それ以上に、まだまだここには書ききれない事がたくさんあります。

アルビレックス新潟HP

自分自身の短いサッカー人生の中で何を求めているのか。何を目指そうとしているのか。どうなっていきたいのか。これからもキャリアを重ねていくその葛藤の中で、オファーが届き悩みました。

アルビレックス新潟HP

リリースコメントやニュースに対してこのように答えていることから上昇志向や野心があることがうかがえる。
一度思うようにいかなかったものの、27歳というまだ成長できる年齢でキャリアにおける大きな決断をしたようだ。

アルビレックス新潟というと、伊藤や三戸など若手選手の海外移籍がここ数年続いた。本間にいたっては早くから海外移籍の期待があったが、ブレイクから時間が経ってからの移籍。国内の移籍は多額の移籍金がかかってるとの噂もあった。

アルビレックス新潟は世代屈指の若手とJ2で活躍した中堅が核となっているイメージがある。若手に関しては海外移籍に寛容という条件で来てもらう一方で、中堅に関しては次のステップで野心のあるが年齢的にも海外移籍による大幅な戦力ダウンをしにくい編成をしているように映る。

年齢の部分は自分の中でも大きくて、若い選手であれば新潟という素晴らしいクラブでも(海外への)チャンスはあると思う。それは年齢を重ねてからもそうかもしれないけど、自分の中で考えた時に、これからキャリアを重ねていく中で、そこにたどり着くにはって考えた時に移籍を決めた

https://www.nikkansports.com/soccer/news/202403210000398.html

今年28歳で中堅に差しかかる新井は強化部からはチームのためにという意向が強かったのではないだろうか。一方で海外移籍や代表を本気で目指し、野心を燃やしていた新井はクラブの意向からこぼれるような選手だったかもしれない。
一度退団したものの拾ってくれたクラブということで感謝の気持ちがある一方で、自分の夢見るキャリアを実現できない・応援してもらえないクラブだった可能性がある。

さらに一般的には給料が上がる移籍後も推定年棒3千万円とJ1の主力としてはかなり低い金額だ。いくらサッカー選手の稼働年数が短いとは言え、長くてあと10年はプレーできる27歳という年はまだまだ成長できる、キャリアアップを目指せる年齢だ。

※参考
福岡から移籍後当時28歳の志知 推定年棒4千5百万
C大阪から移籍後当時25歳の加藤 推定年棒4千万
(なお24年シーズン前にインセンティブ割合多めからベースアップされているとの噂もあるため、それと比較すると新井の給料の低さが分かる)

つまり新井の年齢では待遇がよくない中でまだ新潟に骨を埋めるには早く、恩のあるクラブ・街との感情の間で揺れ動いた移籍だったと言えると思う。
しかし、このタイミングでのまたとないオファーにチャレンジし移籍が実現した。

アルビレックスとしてはJ1昇格後残留をしてこれから定着をしていこうという中強化方針を進めてきたが、それが裏目に出たように感じる。
愛着ゆえに新潟サポーターから裏切り者といった反応も見られたが、満足のいくお金を払えない中で中堅の主力を留めておけるような強化方針を立てていないクラブなので今回の移籍に関しては妥当と言わざるをえない。

広島としては日本代表候補のマスグループに入っているであろうGK小島(27)やシャドーでめちゃくちゃフィットしそうな長倉(24)も積極的に狙っていきたいし、J1上位チームは同じような狙いをしてくるかもしれない。それくらいいい選手が集まっている新潟は現在勝ち点差1で広島の下にいるので脅威。

広島の強化方針はユースを軸に、足りないピースを他クラブや大学、外国人とピンポイントで補強していくスタイル。
開幕前には新井選手と同様に海外での活躍を夢見る大橋が加入し輝いている。本心では海外移籍せず広島で活躍し続けてほしいくらい大好きになっているが、この強化方針をとっている以上はピンポイントでサンフレに合う選手が来てもらえるクラブでないといけない。

ここは相当の覚悟を持って広島にやってきてくれた大橋選手あるいは新井選手の野心を応援しつつ、外国のクラブへ栄転するときには泣きながら喜んで追い出せるようにと感じた。

CBはここ6年ほど他クラブから移籍してきた選手がスタメンの座を奪えず退団。志知選手も定位置を確保できないようなクラブ。移籍するにはリスキーな中、シーズン途中にJ1主力の座を捨て野心を持って広島に来てくれた新井選手。慣れ親しんだ街クラブにブーイングされる覚悟を持ってサンフレのユニフォームを着てくれる新井選手を全力で応援したい。

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