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血縁

おばあちゃん は。
まさに「女王」だった。

彼女の正しさは、とても真摯で。
まっすぐで、強かった。

わたしが幼い頃まいごになって。
不安だったけど、泣かなかった。

おばあちゃんが探し出してくれて。
迎えに来てくれた。

嬉しくて自然と出た涙を、
嫌な顔をして叱りつけられた。

怖かったけど。
おばあちゃんは、「叱る」ことの
出来る人だった。




おかあさん は、
「お嬢」って感じ。
甘やかされたんだろうな、ひとりっ子で。
白くてふわふわの犬も、
親の金で飼ったみたいだし。

気分屋で、
慎重に丁重に同調しつづけていないと、

すぐにヒステリーを起こす。

怒鳴る、泣く、喚く、叫ぶ。
浴びるように酒を飲む。

それだけならまだ良かった。

思い出したくもないたくさんの呪詛を
彼女からプレゼントされたのだ。

「石を投げれば波紋が起こる。」
「泣くのはダサい、カッコわるい。」
「家事労働に対価が出ない。
 わたしは人権がない。奴隷だ。解放されたい。」
「受け止めるな、受け流せ。」

どれもわたしには合わない価値観だ。

繰り返し押し付けられるうちに、
彼女の顔を写す鏡になることに成功。

彼女の感情をそのままミラーリングして、返す。
凪のように。

わたしはそこにいません。
あなたは永遠に気がつきません。
それでかまわないのです。



おねぇちゃん。
いちばんマシ。でも、
いちばん最悪。

おねぇちゃんは、あたまがわるい。
とにかくわるい。
洞察ってことがイチミリも出来ない。

正論おばけ。

自分のことしか信じない。
事実しか見ない。

リアリストっていうのか。
空想好きの私とは対立してしまう。

おねぇちゃんを虐めたいとは思わない。

だけど
彼女の頭が悪すぎるせいで、

ドライヤーで耳を焼かれかけたし、
スーパーのBGMに合わせて手を掴まれて
踊らされるマリオネットにされたし、



階段の1番上から踊り場まで
落ちて頭を打って、

「痛い」って訴えたのに
学校に連行されて、

全校集会で陽射しを浴びて
死にそうになって保健室で吐いて

記憶が飛んだけど
救急車で病院に行って点滴を受けて。


点滴なんか栄養なんだから
お腹なんか空かないと信じていたのに。

胃袋を通らないとダメなのね?

めっちゃ空腹で苛ついてるとき、
カーテンの向こうから楽しそうな声。

姉「ねー今日、おひるなにたべるぅ?」
母「そうねぇ。」

そうか、あんたらは。
自分さえ生きていればそれでいいんだな。




無意識に他者を
蹂躙し続けるがいい。

いつか かならず 滅してやる。。

ぜったいに ゆるさない。

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