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「中居正広と倖田來未の交際破局にまつわる理想についての一インターネットユーザーの考察と願望」

※全ては作者の想像によるフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません。

 2009年頃だったと思う。なぜ中居正広と倖田來未の推定真剣交際は破綻の局面へと達したのだろうか。考えてもみて欲しい。中居にとっても、倖田にとってもこれほどお互いのイメージをよくする最高の理想的交際は他にあり得ないのにも関わらず、二人は破局をしているのである。おそらく、破局の裏側にはどうにもならない破滅的ドラマがあったのではないだろうか、いや、あったらいいな、いや、イマジネーションの領域ではあったことにして並行世界を分離独立させた方がいい。ここから先は完全な妄想、というより、私が想定する並行世界における理想的現実改変の結果報告となるが、とにかく聞いて欲しい。


※全ては作者の想像によるフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません。



 まず交際当初。まあ、最高だろうね。言うまでもないよ。中居は交際中はSMAPの感じをおそらく出してこないのでかなり気さくだろうと確信している。マックのドライブスルー受け取った後、一時停車して食べやすくセッティングしてから倖田に渡してくれると思う。一方の倖田は積極的に歌姫の感じを出すと思う。それでいいんだよ。すごくいいバランスで釣り合いが取れている。このバランスになってくると、中居はちょっと休日のお父さんっぽい感じも出しちゃったりするかもしんないね。そうなってくると、倖田は幸せな家庭像を思い浮かべちゃうわけだ。どうしたって。まあディズニーランドより、シーに行くのが似合う二人だよね。夜にインパしてとりあえずカリブの海賊乗って、あとは目立たないところで景色見て。倖田は海賊も人魚も好きだろうから、あちこち行きたがるだろうけど、中居が面倒くさそうだからおそらく倖田は我慢しちゃうんだよね。そういうとこはmisonoに似ちゃっている。最後、シーのヴェネツィアン・ゴンドラに乗って幸せを噛み締めながら倖田の胸によぎる一つの不安。それは、姉の恋愛がうまく行っている時には、必ずmisonoはやさぐれて、その挙句破滅的なものにばかり手を出してしまうってこと。不安は、音もなく広がって、曇天の空を覆い尽くした。心なしか、中居の頭髪のボリューム感が、さっきよりも減少して見えた。

「みぃ? あんたまた引きこもって。こーなっとるのおねぇ分かっとったからね」

 misonoのマンションの郵便受けには、請求書の束が山となって突っ込まれていた。比較的管理のしっかりしているマンションだから、ポスティングなんか来ないだろうし、misonoはよっぽど部屋から出ていないのかもしれない。合鍵でオートロックを開け、misonoの住む804号室まで来ると、倖田は激しくドアを叩いた。返事はない。が、どうやら鍵は掛かっていないようだ。荒れた部屋に踏み入ると案の定、エムアンドエムズのぬいぐるみに包丁が刺さったまま落ちている。

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倖田はエムアンドエムズから包丁を抜くと、洗い物が山積みになったキッチンを見て、軽いため息をついた。惨状はひとまずそのままに、キッチンペーパーで刃先を何重かに包んでシンク下の引き出しに入れておく。また、どうしようもない男と揉めているのだろうか。心なしか、部屋は白檀の匂いに満ちていた。いつもはこめかみがツンと痛くなるくらいにコットンキャンディーの香水のフレーバーが満ちているのに。考えられるケースとしては、アジア圏中心のバックパッカー辺りだろうか。少し音楽活動なんかもやっているのかもしれない。想像に難くない。misonoはすぐに夢とか理想とかにほだされてしまうから。misonoが夢ばかり見る分、必然的にウチは、現実ばかりを直視するようになった。いつからだろう。信じない。目の前にあるものしか、ウチは信じない。いつか売れるとか、いつか倒すとか、いつか大金持ちになるとか、そう行った流言飛語は聞くに値しない。いずれそうなる人っていうのは、そんなことを言ってる暇があったら大体もうやっているから。ウチは、今ウチを抱ける実力のある男にしか興味あれへん。でもmisonoは「いつか君につりあうような男になってみせる」とかそういった甘言を絶対に真に受ける。輝かしい将来の話をして人の関心を買う行為は、借金と同じだ。いつか返すつもりで、心を前借りしている。その時は返す気があるんだけど、次の日には借金したことなんてすっかり忘れて、また次の借金を重ねている。借りた期待に返済の重荷があるってことを知らないのだろう。そんなやつが、女を殴るし借金を作る。それは当然だし、どうしてmisonoにはそんな簡単なことが分かれへんのやろと思うと殺意がこみ上げる。ウチはmisonoをいい子やと思ってる。せやけど、misonoのいいところをわかって引き出してくれるような人は絶対にmisonoのことなんか好きじゃない。day after tomorrowの話をせんと、今日の話せえよ。
 倖田は、目に見えて部屋の空気が淀んで瘴気を放っている事態に、むしろ少しばかり安堵していた。最悪の事態には、至ってないってことだ。その次くらいに最悪の事態には陥っているのかもしれないが。倖田がmisonoの寝室のドアに引っかかった大量のドリームキャッチャーを苦心して外しながら開けると、白装束に身を固めたmisonoが鳴き声を立てずに号泣しながら祈祷を捧げていた。

「おうらみもうしあげまする。今生へのおうらみを依り代とせ、一切畜生の後に集いて戒壇を申し上げる。一切虚魑宇智(うちうち)なる法身を申し上げ奉る」

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