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【無料公開】カードゲームの攻略サイトみたいなノリでわかる、チャート式・世間話完全攻略法


世間話って、わからない。まず目的がわからないし、つまらないことを言っても面白いことを言っても上手くいかない。根本的に、センスがない。


 私もそうだったのですが、世間話に悩んでいる人は多いんじゃないでしょうか。やっていることは単純に見えるのに、謎のしきたりがあって入っていけない。旅行先で全くシステムがわからない店に入店してしまったような、「答え」を要求されている緊張感。精神をすり減らされる上に寿命が減る一方。

 心当たりがありませんでしょうか、5〜6人で簡単な世間話をしているだけの筈なのに、なにか、些細な発言をする度に会話の場が裁判所みたいになって裁かれてしまう恐怖に。それも、自分だけ。ごく単純な返答をしているはずなのに、なぜか「正解を出してない」という判定になって自然、沈黙が生じるという悪夢的状況。

 以前私が通っていた小学校では、上級生と交流を深める「世間話」の謎時間がありました。まずこの設定が最悪。お互いに興味がないのは確実なのに、上級生側も一応の優しさを見せてくる。場当たり的な優しさのせいで、場のルールがよけいややこしくなっている。仕方なく各自が趣味の発表をしたのですが、この場面で無難に言えることは「テレビを見ることです」くらい。全員が「テレビ」と言う中、私は全く同じ発言を繰り返すのが嫌だったので

「趣味は、インターネットを利用して他者と交流をすることです」

と発言しました。その瞬間、空気が凍った。

当時は一般家庭にネットが普及していなかったので、極端に言えば「ネットに興味がある人=引きこもりの爆弾魔」のような負のイメージがあったのです。それ以降は「好きな芸能人は特にいません」など、発言をする度に暗雲が立ち込めてくる始末。
 反応を見るに、私が「不正解を出している」という判定をされているようなのですが、根拠がわかりません。

 どうやら、世間話には「これが不正解」という決まりはないものの、「正解」を出すための法則はあるようです。

 それから私はいくつかの仮説を立て、執行回数を重ねることである程度ルールを把握することに成功しました。これが早めの段階で分かっていたら人生が楽だったような気がしますので、私が理解できた範囲で世間話のルールの全容を解説したいと思います。

(今回は「世間話」が苦手な人でも親しみやすいように、カードゲームのルールブック的雰囲気を取り入れつつ解説します)

STEP⑴ 渇望フェーズ 〜全体の目的〜

 根本的な話をします。

 世間話が発生した瞬間、その場に参加しているプレイヤーは「あるもの」を渇望しています。一体、なにを渇望しているというのでしょうか。世間話が苦手な人は大体この渇望の感覚が欠けているので、場の流れを理解できずに「不正解」の発言をして、プレイングから除外されてしまうのです。つまり、世間話が苦手な人は、そもそもゲームの達成条件を知らないということになります。これでは上手くいかないのも当然の話。それでは、プレーヤーは、一体ゲーム開始時に「何」を欲しがっているというのでしょうか。それは

「安心」と「共感」


の二つです。
(世間話ネイティヴの人は、このくだりを読んで、人類の中にこの二つの前提が理解できない人間が存在しているという事実に驚いているかもしれません)

つまり世間話とは、

プレイヤーが「安心と共感を獲得しながら」「自由な会話を展開させる」という、相反する状況を成り立たせる協力型建前成立ゲーム

と説明することができるのです。

(※内容が初歩的すぎると感じる方は、STEP⑵ 安心獲得フェイズまで読み飛ばしてください)

【ポイント:会話=協力型ゲーム】
この「協力」という前提を知らずに、世間話とは相手を倒す「論破」(バトル)が主題のゲームと勘違いをしているプレイヤーもいます。こうなってしまうと、あまり誰ともカードゲームが発生しなくなって結論を言うと人生が終わりに向かいます。プレイヤー間のバトル要素も一部ありますが、それはあくまで戦略要素の一つであって、会話とは基本的に「全員で目標を達成する」タイプのゲームです。つまり、その場に敗者が発生した場合、それは全員にとっての失敗なのです。この基礎的な前提を忘れてはいけません。

私が小4の時に「インターネット」と発言したことが「不正解」となったのも、インターネットに対する当時の印象が「安心」とは真逆の性質を発するものだったからです。一方「テレビ」は初手の発言としては何もコメントすべきことがないので最高の安定性を持ったアンサーです。

何をもって「安心」と位置付けられるかは文化風習によって変わりますが、ここではつまらない(無難、無害)ことを言えばいうほど高得点です。といわれても、何が「つまらない」ことなのかピンとこないかも知れないので、ここに汎用つまらな人物をやってくれるAIを想定して描写します。とてもつまらないのでわざわざ読んでもらうのも悪いなと思いますが、ここは世間話のためと考えなんとか目を通してください。

(以下、想定した世間話AIの性格の描写)
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こんにちは、世間話。私は世間話学習用の汎用無害人物です。

私は比較的薄給〜平均の給与所得者です。さしたる趣味もなく、休日は家でテレビやネットフリックス等を見ています。特に応援している選手はいませんが、ワールドカップやオリンピックなどが放送されていればそれなりに見るし、盛り上がっちゃいます。友達はそう多くないんだけど、しばしばカラオケやボーリング等の遊興施設に行って盛り上がることもあります。少し体を動かしたいと思っていますが、平日は疲れているし、なかなか億劫で。最近メタボが気になるんですよね。ジムとか通ってみたいけど、毎回通えるかなー。普段から気をつけているつもりなんですけど、ついつい食べちゃう。ゼロカロリーで食べ応えとボリューム感のあるラーメンとかあったらいいのに。しかしながら、そんなにうまい話はありませんよね。人間ドッグ行ったほうがいいのかなあ。ビールと唐揚げのような糖質と脂質の組み合わせが大好きです。白飯に合うおかずも好きです。人間あるあるだと思いますが、私は朝が弱いのに、ついついスマホばかり見て夜更かしちゃうんですよね。YouTubeなどを見ているとすぐに時間が経過しちゃって。最近の悩みは部屋が散らかってるから片付けたいっていうのと、あとは貯金をしたいのに中々できないということです。老後の資金が不安ですからね。あー、ペットとか飼ってみたいなあ。犬も猫もかわいいです。好きな場所は、いいカフェとスーパー銭湯とデパ地下。お得で美味しいチェーン店。なんでも話せる友達は、まあいるにはいるけど、どうなんだろう、最近はあってないですね。あとは季節感のある行動やイベント(寒くなってきたのでコンビニのおでんを買って食べるなど)も好きです。天気が晴れていると嬉しいです。暑いのも寒いのも嫌で、その時の気温に対して薄着や厚着の人がいると、自分のことでもないのについつい心配になりますね。話題のものには触れておきたいという気持ちがあります。達成できるかどうかは別にして。
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概ね把握できましたでしょうか。

 全部当てはまる人はそういないと思いますが、一つくらい当てはまる部分が(まあそうといえばそうだなくらいには言える部分が)あるはずなので、初手はそれにまつわることを言いましょう。どれかを言えば、相手は勝手に上記のような汎用人間像に近い人物(無害な人間)を想定して安心しやすい状態になってくれるはずです。派手なきのこに毒があるんじゃないかと不安になるのと同じで、初手から面白い人間には害や攻撃性があると思われてしまうかもしれません。したがって、安心獲得フェイズが終了するまでは面白いことは何一つ言わないようにしましょう。

世間話に悩んでいる人(水野調べ)の中には、この程度の前提は理解しているという方もけっこういらっしゃいます。そういう方は、「つまらないことを言うのが正解だと頭では理解はしているが、内容がものすごくつまらないので我慢ができない」というネクストステージの悩みを抱えていたりします。でも理屈さえわかればそれも解消する悩みなので全然大丈夫です!

【ポイント:渇望フェイズにおける失敗例】
渇望フェイズでは何が起きているのでしょうか。わかりにくいですが、実はここでは「渇望判定」が行われているのです。判定は、各プレイヤーが内心において行います。距離の近さ、人数、関係、場の状況、今後関わるかどうか、などを総合的に判定して「今ここで安心できる関係を構築したい」という全体の合意が取れた段階で渇望判定が「◯」になり、「STEP⑵ 安心獲得フェイズ」に移行するのです。ここで、自分以外のプレイヤーの渇望判定が「○」になっていないのに話しかけてしまうと、渇望判定の判断ミスとなり「危険人物トークン」がひとつ与えられます。気をつけてください。逆に、判定「○」の状態で黙っている場合は特に失敗とは見做されず、任意のプレイヤーの初手発言により自動的に安心獲得フェイズに移行しますから、自信がない場合は黙っているのが無難です。(それはそう)
ポケットモンスターでトレーナー同士の視線が合うとバトルが始まる現象に似ています。渇望判定「◯」にしたくない場合は、なるべく他人の半径2メートル以内(空間全体の広さによって変化するので注意)には立ち入らないようにしましょう。また、タバコを吸っていたり、飲み物を飲んでいるなど、その場にとどまる合理的理由がある場合も判定「○」が入りやすくなりますので気をつけてください。


STEP⑵ 安心獲得フェイズ 


この「STEP⑵ 安心獲得フェイズ」が世間話において最も緊張感のある局面です。これさえ上手くいけばその後のプレイングが大きく乱れることはまずありません。このフェイズのプレイングについて解説する前に、前提として、他のプレイヤーがどれくらい熱心に安心を渇望しているのか理解しておく必要があります。

 例えるならば、安心獲得フェイズが終了していない状況とは、5〜6人で飲食店に入店したけど、誰も何も注文せずその場に居座り続けているような居心地の悪さがある状況です。まだ場の成立条件が整っていないので、ほっと一息つくことができなくて落ち着かず、油断ができない。だからこの段階では面白いことを言っても全然ウケません。「とりあえずビール」みたいなことを言いたいのに言えてなくて、皆軽いパニックに陥りかけている状況なのです。

 したがって、この局面で積極的に動くとしたら、「自分が店員になる」。これです。世間話のゲームはGM(TRPGの司会進行をやる人)がいないので全部プレイヤー内で回していかなければならないのです。ゲストとホストのホスト側をやるということです。注文がまだできていなくて焦っている人は、注文したい気持ちで頭がいっぱいになり、店員になるというプレイングを失念しているケースが多々あります。世間話ネイティブでない人は、そもそも「安心を渇望する」という感覚が欠如している為、この局面で落ち着いて店員役をやることができるので、実は序盤の段階でかなり有利にプレイングを展開することが可能です。プレイング方針としては

「今日〜暑くないですか?」
「最近〜体動かせてなくて」
「休日〜寝て終わっちゃったんですよね〜」

など、STEP⑴ 渇望フェーズで解説した「クリーチャー:無害な人物像」で受けやすい構築を意識するといいでしょう。コツはやはり飲み会の最初の注文のようなイメージで、極力シンプルな内容にしてサッと終わらせることです。ちなみに、面倒ではありますが、この安心獲得フェイズはプレイごとに毎回解決する必要があります。もちろんよく知っている間柄であれば初対面の人と世間話を繰り広げるより、かなりの手順の省略が可能ではありますが、完全に省略してしまうと他のプレイヤーがパニックを起こし、最悪の場合には「暗黒裁判フェイズ」に突入してしまうこともあります。まさに冒頭で小学生の私が陥った状況がこれです。暗黒裁判フェイズに陥るケースとその対処法については後ほど解説します。(→暗黒裁判フェイズへ)

【ポイン:安心獲得フェイズ達成を見分ける方法】
安心獲得フェイズの達成を困難にしている問題は、このフェイズが解決したことを知らせる具体的な宣言がないという点にあります。お互いの阿吽の呼吸で解決の雰囲気を共有しなければならないのです。なんのヒントもなしにこれをやれと言われたら、頭を抱えて苦悩するしかありませんが、幸いなことに、世間話序盤の展開は毎回ほぼ同じなので解決のタイミングもほぼ同じ、つまり、初手の無難なやりとりが終了したタイミングで、(わかりにくいですが)場の空気がサーッとマイルドな感じに変化します。それが解決のシグナルです。本音を言えば、「宣言!安心の獲得」など何らかのフレーズを発話して欲しいところですが、ここでシームレスに、安心から共感に切り替わっていく継ぎ目のなさがどうやら人間同士の信頼感覚を盛り上げるのに役立っているっぽいので、生理現象としてそういうものなんだなあと思うしかありません。ヒントとしては、一旦作業を止めていた手をまた動かし始めたり、飲み物を飲んだり何か食べたり、コートや帽子を脱いだりなどの動きがあれば、安心獲得フェイズは解決しています。逆に、世間話をしている相手が全然手荷物を置かない、手にしているペットボトル飲料を飲まないなどの場合は、まだ安心獲得フェイズが解決していない可能性があると推測できます。


 この安心獲得フェイズの解決にさえ成功してしまえば、世間話における二大目的の一つは解決できるので場の雰囲気がぐっと良くなります。しかも、ここで「ロールプレイ:注文を受ける店員」に成功していた場合、「STEP⑶ 共感構築フェイズ」において、最初に無条件で言いたい話を他プレイヤーに拾ってもらえる特殊アドバンテージ(=優位性がもたらす利点)が発生します。「アジェンダ(=達成すべき項目):つまらない世間話の回避」を抱えている方は、面白い話を手加減せずに繰り広げるチャンスとなりますので、ぜひこの「STEP⑵ 安心獲得フェイズ」で店員プレイングができるように序盤の立ち回りや会話デッキの構築を意識しておきましょう。

【達成条件ごとの分岐】
 ここで、より無難で汎用性が高いプレイスタイルを目指している方は、このまま「STEP⑶ 共感構築フェーズ」の解説に進んでいただいて大丈夫です。無難ではないプレイスタイル、序盤立ち回りにおける現環境トップメタ「ロールプレイ:注文を受ける店員」よりも、さらに上級のプレイングをしたい方は以下の項目を参照してください。
→ 補足 STEP⑵ - EX 安心獲得フェイズにおける、よりオフェンシブな立ち回りへ

STEP⑶ 共感構築フェイズ

 ここまできたら一安心、とも言っていられないのが共感構築フェイズです。先ほど緊張感のある山場を乗り越えたばかりなのに……と思われるかもしれません。確かにそれはそうなのですが、「STEP⑶ 共感構築フェイズ」においては、安心獲得フェイズとはまた違う困難さが立ち上がるのです。それは、

・フィールドの混乱
・即興性の上昇

の二面です。言ってしまえば、安心獲得フェイズまでの場面は世間話ネイティブにとってはお約束の儀礼的状況でしかありませんから、突然複雑な技やテクニック、想定外の動きが繰り出されることはありません。共感構築フェイズに突入すると、プレイヤー陣は一安心をするので、その分難易度の高い技を繰り出す精神的余裕が発生しうる状況につながります。最後まで気を抜くことはできません。しかし、やはりここでもしっかりと基本の立ち回りを把握してしまえば十分に対応可能です。慌てず騒がず基本に忠実に対応しましょう。
 
 また、面白い話がしたい場合は、この「STEP⑶ 共感構築フェイズ」に入った直後の瞬間がベストタイミングです。STEP⑵を経て「緊張と緩和」の緩和が終了した直後なので、刺激的な情報や複雑な情報(緊張)が効果的に伝わりやすいからです。このタイミングだったら

「義理の兄が最近急に毒蛇を飼い始めて…」

などの、やや緊張感を放つオフェンシブなエピソードも前向きな態度で聞いてもらえます。

 安心獲得フェイズにおける店員の立ち回りで特殊アドバンテージを獲得していた場合は、それを最大限効果的なタイミングで使用できますし、店員からの緊張感は印象値のギャップも大きいので効果的です。ぜひ活用しましょう。

 共感構築フェイズの目的はなんでしょうか。ちょっと考えてみてください





[こたえ]STEP⑵ 安心獲得フェイズで獲得した「安心」の可動域を徐々に広げること

です。これも全く難しくないので大丈夫です。安心獲得フェイズが共感構築フェイズに進行した段階で、獲得された「安心」は場を成立させる前提(フィールド効果)に変化して、小さな輪を形成します。これはもちろん見えませんが、よく観察すると安心獲得フェイズが終了するまでお互いに目を合わせすぎないようにしていたプレイヤー群が、どことなく崩した円陣のように向き合っているのが分かります。これを「輪」とします。

「輪」とは。ビーチバレーをイメージしてください。ネットやコートが特にない場所で4〜5人がやっているビーチバレーです。やりたくないという気持ちはとてもよくわかりますが、想像上の話ですのでなんとか想像してください。私もビーチバレーは全然やりたくありません。

 このビーチボールをやっている人々の「輪」が 場面において生じている「共感」であり、この輪のベストサイズを目指していくのがこのフェイズの目的です。輪が狭ければ狭いほど会話の内容は無難(受けやすい・返しやすい・想像通り)ですし、広がれば広がるほど面白く(難しい・アクロバティック・意外)なります。

 注意すべき点として、輪が大きくなる方がいいと考えてしまいがちですが実はそうではありません。「世間話」における成功とは「場にいるプレイヤー全員がなるべくのびのびと楽しくゲームに参加すること」をだからです。これは残念ながら理(ことわり)なので受け入れてください。私もそうですが、出会って即、早口で情報を喋りまくりたい人(=オタク)はそういう人同士でやりましょう。方針の違うプレイフィールドで特化プレイを繰り広げても得られるものがありません。

 共感構築フェイズでの暴投は誰もボールを拾わず、落下ペナルティーとしてペナルティートークンが与えられます。ペナルティートークンは、概ね3つ集まると場に暗雲が立ち込め暗黒裁判フェイズに突入する危険性が高まります。したがって、既にトークンを獲得してしまっている場合には、早めに会話を切り上げた方が無難でしょう。

危険人物トークンを積極的に減らしたい場合には、トークンを保持していることによる緊張感を活かして「緊張と緩和」を発生させ場を和ませるのが最も効果的ですが、失敗した場合のリスクを考えるとそこまで踏み込んだプレイをする必要はないかもしれません。

 実はこの輪の陣形は、共感構築フェイズ開始時に投げられた球の距離によって概ね決定し、その後は時間が経過しても微調整されるくらいで大きくは変化しません。大抵の場合「STEP⑵ 安心獲得フェイズ」よりは大きくなりますが、プレイしながら陣形を広げていくのは結構難しく、お互いに気心(プレイスタイルの把握)が知れていないとできないからです。

 ですから、面白い話がしたい人は球の投げ方(話の内容)よりも、まずは陣形に目を向けてください。ぷよぷよ上級者が相手の陣地をよく見ているのと似ていますが、自分の手札だけを意識してもうまくいきません。陣形のサイズよりも若干遠くに向けて投げると、輪を広げつつ盛り上がります。逆に、世間話だから無難なことを言えばOKという安心獲得フェイズの認識のまま、今目の前に構築された輪(共感環)よりもはるかに内側に入るような無難すぎる発言をすると、場が一気に白けてペナルティートークン「つまらんやつ」が与えられるハメになります。

「世間話ってつまらないことを言っても面白いことも言ってもつまはじきに合うし、どうしたらいいのか分からず八方塞がり」

という悩みを抱えている人は、この辺りでつまずいている可能性が高いです。つまり、「STEP⑵ 安心獲得フェイズ」までと「STEP⑶ 共感構築フェイズ」からでゲーム性が一変していることに気がついていないか、フィールドの変化を見逃している為に、ちょうどいい発言が分からなくなっているのです。

[注意点:世間話は自分語りの場ではない]

 もう一つの失敗のパターンとして、「世間話の渦中で自分語りをやってしまう」というケースがあります。自分語りって決して悪いものではないし、場面によっては人間関係をすごく円滑にすることもあるのですが、世間話においては基本的に求められていません。世間話のフィールドにおいては表面的なパワーバランスを均等にする(為の働きかけや配慮)が評価されるので、自分語り=重心を自分に強く傾ける行為は「この人やっちゃってるよ感」が出ます。世間話がすごく苦手な人の中には、会話の引き出しが自分語りしかないという場合もあります。該当しそうな場合は、自分語り以外の会話を身につけておきましょう。難しそうですが、とても簡単です。

①自分以外のものを一つピックアップして、
②それに対する感想を言えばいいのです。

例えば

「週末に来る台風 → やばそう」
「新しくできた洋食屋 → 美味しそう」

とかです。めちゃくちゃ簡単な上、この世にある存在の数だけ話の引き出しが増えるのでかなりおすすめです。話の内容を面白くしたい場合、前半のピックアップするものを場の全員にとってすごく親しみがあるものにした上で、後半のそれに対する意見を独自性が高いものにしてみましょう。ここでも、独自性を高める方向に意識が向かうあまり話の内容が自分語りになってしまうと失敗します。別に面白くなくても大丈夫なので、できるだけ暴投を避けましょう。


【ポイント:まあまあなんとかする方法】
複雑なことを考えるのが苦手で事前の情報量が多いとパニックになってしまう方は極限までシンプルにした以下のやり方だけ覚えてください。
①会話が始まったら、最初だけすごく無難なこと(無難AI参照)を2〜3回言う
②全員が無難なことを言い終わったっぽい感じになったら、周りの人が言ってるくらいの無難さ、同ジャンルのことを言う。周りの人が無難じゃない話をしていたら同レベルに合わせる
③聞いてたまに感想を言う
これで会社内〜ご近所程度の世間話対応はまあまあなんとかなります。(保護者同士の会だと会話の難易度・複雑性がかなり高いのでこれでは対応できない可能性が高いです。これは保護者の場合、情報収集力にブーストがかかっているからだと思われます)


STEP⑷終了フェイズ 


基本的に世間話というものは、無難であればあるほど早めに終わります。どうしてもすぐに終わらせたい場合は、天気の話を3回連続でしましょう。やや強引ですが、ほぼ確実に会話が終わります。私はどうしても安心獲得フェイズ後に共感構築フェイズに繋げたくない場合は、反則技ですが「UFO」を持ち出すことがあります。これは

「なんかUFOが見えますね」

と発言して(かなり)強引に場を終わらせる手法です。これは遊戯王で言えば封印されしエクゾディアの召喚(ほぼ反則)です。誰も共感できないので場が強制終了します。これをやるにはある程度頭がおかしいと思われても気にしない精神面が要求されますので誰もやらないでください。

 世間話があまり面白くはならないことが多いのは、話の内容が面白いと続いてしまうからです。場にいる人々は、実は面白い話がしたくないのではなくて、さっさと話を終わらせて好き勝手過ごしたいからわざと話をつまらなくしている、と考えるとつまらさなも悪くないと思える側面があるかもしれません。

 また発見があり次第追記などをしていく予定ですが、以上で『カードゲームの攻略サイトみたいなノリでわかる、チャート式・世間話完全攻略法』についての一通りの解説を終了します。

 以下の項目では、より複雑なプレイスタイルや特殊状況下におけるテクニック(魅せプレイ)について解説します。

☆追記の解説項目☆
STEP⑵ - EX 安心獲得フェイズにおける、よりオフェンシブな立ち回り
暗黒裁判フェイズに突入した際の地の利を生かした立ち回り
デッキ回しの参考になる映像資料等

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