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バカにし枕草子


バカにしているもの


通学路 だいたいつまらない草が生えている。世の人はその辺の草を雑草とひとくくりに言うが、雑草にも質の高低はあり、通学路はその中でも最底辺クラスを集積した仕上がりである。落ちているものも、石、ヤマザキパンの袋、薄い赤など変な色のタオルとかしかない。犬もつまらない犬しかいない。無駄に吠え、気が狂っているので金網の隙間から通行する人間を威嚇することだけが命の意味になっている。犬をそうしてしまうくらいだから、飼い主の人間性も今にも潰れそうなあばらやみたいで到底救いようがない。そんなしようのない一族は、家ごと潰れても私は構わない。



物干し竿 そもそも、棒というのはそれだけでもう馬鹿げているのに、干すための棒というのが輪をかけて救いようがないバカっぽさを醸し出している。こんなにバカバカしいものからひどくバカバカしい布類がさほど楽しくもなさそうにただただ万有引力に従ってぶら下がっている様を見つめると、生存の意味が疑わしく思われてやまない。



ポイントカード 客とかいうコスパに目玉がくらんだ下等な存在は、四六時中つまらない紙片を持ち歩くほどポイントに興味関心を持ち合わせているだろう、という軽べつとゆるやかな尊厳の剥奪から全てのポイント物語は始まる。驚くことに、ポイントカードが作られなかった物語においてもその前提ばかりは頑なに揺らぐことなく強固に根を張りポイントへの誤解と実体を伴わない信仰を保ち続ける。



プランター 偉い学者が「人間の文明は進歩しているようで根本の非合理的な構造は大体同じままなんだよ」とか言っていたが、それを証明している物質がこれである。

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