稀有の頻発


柳の下の幽霊は何をしていたのだろうか。人間が、幽霊のような存在になってしまうことはある。私はそれを二度見た。最初は偶然かと思った。それは夜道に溶け込んでいた。人間は熱や振動を発しながら常に挙動し思念を放っているので大抵のことでは完全に消えたりしない。「あの人、存在感が薄いよね」って言われても、やはり希薄な存在感を醸してはいる。そういった、漂うような佇まいすらなく、単に67キログラム程度の塊が目の前に鎮座していることに私は突然気がついた。全身に読売巨人軍の公式ユニフォームを身につけている。

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