専用席の話。

札幌には地下鉄がある。
地下鉄には専用席がある。
優先席ではない。
専用席だ。

ここから引用-------------------------
Q 札幌市の地下鉄はなぜ「優先席」ではなく「専用席」なのですか

A 札幌市営地下鉄では、昭和49年4月に高齢者やお体の不自由な方の利用を想定した「優先席」を試行的に設置いたしましたが、当時は若い健常者が座席を占領することが多く、本来の優先利用の対象である高齢者やお体の不自由な方などが座れないとの声が多く寄せられたことから、市議会での審議等を踏まえ、昭和50年4月、「専用席」に変更し現在に至っております。
 また、専用席の利用対象者は高齢者に限定したものではなく、「からだの不自由な方」「乳幼児をお連れの方」「妊娠されている方」「内部障がいをお持ちの方」も対象としており、具体的な対象者が分かるステッカーの掲出や車内放送にてご案内をしておりますので、現行の専用席についてご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
-------------------------ここまで引用
http://www.city.sapporo.jp/st/faq/faq.html#sharyouekisetubia5

妊娠している今の私には、専用席に座る権利がある。

数日考えたのち、意を決して座ってみたのだった。

何故座ったのか?

専用席は誰も座っていないことが多かった。
専用席だからだ。
普通席が満席になってどんなに人が立っていても、専用席には誰も座っていない、と言う光景もよく見かけた。
(みんなそんなに健常なのかな?)
健常側であった自分が専用席に移ることによって、普通席に座れる人が一人増えると思った。

あとは、それから、好奇心だ。

いざ専用席に座ってみると、なんとなく居心地の悪さがあった。
なんとなく見られている気がする。
私はマタニティマークもつけていないし、6か月後半のお腹は、出ているは出ているけどパッと見てわかるほどではなく(特に前に突き出しているので正面から見ると「そんなに出てないね」と言われることがある)、ちょっと微妙な出具合だ。

自分でもなんとなく後ろめたさがあるのか、私は妊婦だから座る権利があるし…前貧血で倒れたから長時間立ってるの不安だし…と頭の中で言い訳を繰り返したり、お腹を撫でてアピールしたりしてしまっている。

こんなにがい思いをするくらいなら座らない方が良いのでは、とちょっとだけ思う。

専用席にはデメリットがある。
それは、携帯の使用が禁止されている、と言うことだ。
札幌市の地下鉄の中では唯一使えないエリアとなっている。
電波が出ない状態にするか電源を切る必要がある。
とされている。
そんな席でスマホを使うわけにはいかない。

専用席にはメリットがある。
私はまだにおいつわりが完全には終わっておらず、特に柔軟剤のにおいで気持ち悪くなる。
専用席にいても周りのにおいは流れてくるが、隣に誰も座らないことが多かったり、香水を使う人が少ないので、普通席に比べると比較的快適に過ごせるのだ。
そして、必ず座れる。
専用席は車両の端に位置しており、つまり1両目が満席だとしても2両目の専用席がすぐ近くにあって、大体どちらかは空いているのだ。

かくして、私は一度座ったら、癖になってしまった。
にがい思いよりもメリットが大きかった。

でももし専用席が満席になってしまって、目の前に高齢者が立ったら、私はどうするべきなのか。とたまに考える。
専用席が満席になる、つまり普通席は絶対にあいていない。
私が高齢者に席を譲ればずっと立っていることになるだろう。

私にも座る権利はある。
だが目の前の高齢者にも同じく座る権利がある。
私は終点から乗るから絶対に座れるけど、一方、途中から乗ってきた高齢者は不利だ。

私は座るべきではなかったのか。

始発駅から専用席に乗るのは邪道だろうか。

色々考えた結果、朝出勤の時はなるべく普通席に座り、仕事帰りは座ることにした。
朝出勤の時は9時台の地下鉄に乗る。
その時間活動する高齢者の多いこと。
一方、仕事帰りは19時頃で高齢者も少なく、乗車する駅は始発ではなく比較的混んでいて普通席に座れないこともある。


私は自分以外の妊婦が専用席に座っているのを見たことがない。
子供連れが座っているのも見たことがない。
大体は高齢者が座っている。

専用席は、高齢者が座っているか、誰も座っていないかだ。

もっと活用してもいいんじゃないかなぁと思っている。

有料記事を出すのはやめました。代わりに募金スタイルに。いつか本を出版したいけど1000冊で100万くらいかかるってマジ?