Suicaの物理
「ピピッ!!」
音とともに改札が開く。Suicaを初めて目にしたときのこと。よく覚えています。きっぷを入れなくても改札がひらく様子は,まるで現代版のモーセだと思いました(海が真っ二つになるあれ)。電車・バスに乗るときだけでなく,コンビニでの買い物などにも使え,大変便利で,なくてはならない存在。コンビニで「ここにタッチしてください」と言われてから自分のSuicaが反応しないときのあの時間・・・ちょっと嫌ですよね。
SuicaやPASMOのようにかざすだけで支払いができるものを非接触ICカードという。こんな便利なもの・・・。一体,中はどうなっているのだろうか?気になるので分解してみた。
化学のお力をかり,アセトンに数日漬け込み・・・
溶けてきたことに嬉しくなる。
上下の厚紙をきれいにはがすとこんな感じです。なんだかかっこいい。出てきたのは四角形の回路だ。
Suicaのカードには情報が記録される。いくらお金がはいっているか。どの駅から乗ったのかなどである。記録はこの回路に電流が流れることで行われる。
しかし,ここには電池らしきものは見当たらない。
なぜ電流が流れるのであろうか?
これは物理学の
「電磁誘導」
という現象が利用されている。
ざっくり説明すると,
「コイルの中の磁場が変化すると電気が流れるという現象」
である。落ち着いて見ていきましょう。
まず磁場というのは,
磁石のまわりにできる,目に見えない空間だと思ってください。その空間に鉄粉をおくと
こんな感じに並びます。
そして,その磁場をもつ磁石をコイルに近づけると,コイルの中で磁場の本数が変化します。
それにより右の電流計が反応します。つまり電流が流れます。
これを発見したのはイギリスのファラデーさんです。
さぁ,話をSuicaにもどします。わかりやすくするために,ざっくりとした図にすると
こうです。この四角い回路がコイルとなります。そして,改札でSuicaをかざす部分であるICカード読みとり部分は
このように磁場ができています。
なのでSuicaをタッチする,つまり,Suicaの回路内の磁場が変化するので電流が流れます。その電流の大きさや,流れる秒数の違いによって異なる情報がきざまれます。
Suicaに限らず,電子機器を磁石に近づけてはいけないのはこういう理由からです。
普段使っているものを科学的に知ることによって,少し愛着が芽生えてくるのではないかと思います。
では,最後に質問です。改札で反応しないタッチ方法は下のA〜Dのうちどれでしょうか?
A
B
C
D
正解は・・・
自分でやってみてください。
迷惑にならない程度にお願いします。
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