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xが0に近いときxとsin xはほぼ同じであることの高校での証明について

 これはちょっと高校数学です。苦手なかたにはごめんなさい。お好きなかたはお読みくださいね。

 これはTeXではありませんので、うまく数式が出せないと思います。ご容赦ください。

 xが十分0に近いとき、xとsin xは、ほぼ同じになりますね。xが十分0に近いとき、sin xはxで近似できると言ってもよいですし、高校ではまず、sin x/x が(分数が出せなくてごめんなさい)、xを0に近づけたとき、1に近づく、というふうに習います。(いまの学習指導要領をよく知りませんが、これは、理系しか習わないことかもしれません。ごめんなさいね。)

 これの証明(高校の教科書の証明)が、私が初めてこれを習った三十年前と、いまとで、変わっていないと思うのです。扇形の面積と、三角形の面積で、いわゆる「はさみうち」にするのです。これも、図を記事に描きこめればいいのでしょうが、図がなくて、わかりにくくてすみません。

 少なくとも、問題点は、この証明で、扇形の面積の公式を用いるところです。

 扇形の面積の公式を用いるということは、円の面積の公式を用いていますが、「円の面積の公式」って、高校生にとって、いつ習ったかと言うと、小学校のことですよね。理屈もあまりなく、「半径×半径×3.14」って習った。あえて理屈をいうと、円を、半径にそって、細かい扇形にわけて、それを三角形と近似して、納得させられた。

 しかしですねえ、その小学校での、円の面積の公式の納得のさせかたは、sin x/x→1を、無意識のうちに使っているんじゃないですかねえ。だって、扇形は、どれだけ細かくスライスしても、扇形ですよ。三角形にはなりませんよ。それを三角形だと見なせるのは、sin x/x→1を使っているとしか言いようがない。

 これ、習ったその日に疑問を覚えて、職員室に行って、先生に質問しました。先生は親切な人で、私の言いたいことを理解してくださり、「確かにこれはトートロジーですね。まあ、大学に入ったら、きちんと習いますから…」とおっしゃいました。しかし、大学に入ったら、こんなものは当たり前すぎて、もう習わないのでした。

 そして、大学院で、数学者の夢が破れるなど、さまざまなことがあったのち、高校の数学の教師になって(いまは教師ではない)、教科書を見てみると、なんと今でも、その証明が変わっていない。ほかにいい証明がないのでしょうけど、教科書をつくっている人も気が付いていないのか、気が付いてやっているとしたら高校生をだましているし、いずれにせよ、教科書っていってもそんなものです。

 (安直に、円の面積を積分で出そうとする人がいますけど、結局、sin x/x→1は使いますからね。)

 ちなみに、高木貞治の「解析概論」を読んで、その証明にあたると、「そうなるようにラジアンを定めたのだから当たり前であるが」(ごもっとも!)と前置きをしたうえで、なにか証明を書いてましたが、そんな感じです。

 以上です。お読みくださりありがとうございました。

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