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おすすめの曲⑲:レスピーギ「ローマ三部作」

 急に有名な曲を出してきたな、と思われたかもしれませんが、たまには有名な曲も出します。レスピーギの「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」の3曲をあわせて、レスピーギの「ローマ三部作」と言ったりします。クラシック音楽界ではかなり有名な曲で、どれも20分くらいのオーケストラ曲です。3つとも、しばしばアマオケがやりますが、私も「松」はやったことがあります。これらの曲は、わりと細部がぐちゃぐちゃでも聴ける曲ではあるのですが(レスピーギさん、すみません)、われわれは、かなり緻密にやりました。私は2番フルートという地味な役割でしたが、かなり苦労したことを思い出します。

 どれも、「聴いてスカッとする気持ちのよいオーケストラ曲」というイメージで、「さびしさ」「深刻さ」の要素はほとんどなく、気楽にストレス解消するのに向いていると思う音楽です。私は、20分くらいで充実した時間を過ごしたいとき、しばしば、このレスピーギの「ローマの松」か、ストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲を聴きます(もう少し時間が足りないときは、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」ですね。これは15分くらい)。「噴水」「祭り」にも同様な効果がありますが、やはり効果てきめんなのは、「松」だと思っております。

20分くらいの曲が3曲ですので、よくCD1枚に3曲がおさまっているのですが、LPレコードの時代は、当然、A面とB面の2曲しか入りませんから、当時の録音を聴いてみると、有名な指揮者・オーケストラが、3曲中、2曲しか録音していないことがあります。上で述べたような事情でしょう。

「クラシック音楽と讃美歌」という記事で触れたことがありますが、「祭り」には、有名な讃美歌が引用されています。「五十年祭」という場面で引用されているのは「復活の主は」と日本語訳されている、イースター(復活祭)の讃美歌です。レスピーギは、このほかにも「東方三博士の礼拝」で「久しく待ちにし」を引用していたりして、どうも古い讃美歌を引用するのが好きみたいですね。

 演奏については、お好きなものをお聴きになるのがよいと思います。評判の高いものは、録音は古いものの、トスカニーニ指揮NBC交響楽団によるものです。私のひいきを書きますと、「松」はストコフスキーが得意にしたので、シンフォニー・オヴ・ジ・エアを指揮した正式な録音のほか、いくつものライヴ録音があります。YouTubeで聴けます。ただし、これがひいきの引き倒しです。シンフォニー・オヴ・ジ・エアとNBC交響楽団は同じオケですが、トスカニーニとストコフスキーを比較した場合、やはりトスカニーニのほうが完成度が高いことについては、認めざるを得ません。そして、なぜかストコフスキーは、「ローマ三部作」については、「松」だけをレパートリーとしました。ほかに、外山雄三指揮仙台フィルによる「祭り」の録音もあります。このへんが私のひいきの演奏です。

 私が「松」をやったときの話に戻りますと、東京文化会館で、金管のバンダ(別動隊)は、客席後方の5階席から吹いたりして、かなり受けをねらった感じの本番になりました。当然、ものすごい時差があったと記憶しています。また、練習のときに、指導の先生から、イタリアの「松」の写真を見せてもらいました。日本の「松」をイメージするとだいぶ違う植物です。

 とにかく深いことを考えずに、スカッとストレス解消するのに適当な音楽だと思いますので、ご紹介しました。以上です!

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