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イエスさまひとりの「いいね」で生きていける

 「この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日」

 俵万智さんの有名な短歌ですが、これについて、2020年のまさに7月6日をねらって作者の俵万智さんがツイートなさったことがあります。だいたい以下のような内容でした。すなわち、このサラダにはひとつしか「いいね」がついていない。現代は「いいね」の数を競うようなところがあるが、ひとりが「いいね」してくれたらそれで充分なのだと。そんな内容のツイートでした。(そのツイートは何万もの「いいね」を集めていましたが。)

 「あなたがいれば あなたがいれば 陽はまた昇る この東京砂漠」

 「東京砂漠」という有名な歌です。(曲名はこれであっていますか?私はこの歌にくわしくないので…。)あるとき、年上の友人の自宅での飲み会で、その友人がいろいろ音楽をかけていて、そのうちの1曲がこれでした。その人は「いい歌だなあ~。『あなた』がひとりいてくれたら、この東京砂漠を生きて行けるのだから!」と言っていました。「ひとりの理解者で生きていける」という点では、俵万智さんの歌と同様のことを言っていると考えられます。

 マルセル・モイーズという20世紀の有名なフルーティストがいます。フルートの世界では「フルートの神様」と言われています。皆さんも、中高時代の部活の世界で、「その道の世界的な超人」というのがいたと思います。それがフルート界ではマルセル・モイーズだと言ってよいと思います。そのモイーズの言葉でつぎのようなものがあります。「100人の人がいて、1人が自分のことをわかってくれる。それで充分だ」。学生時代の私はこの言葉を衝撃を持って受け止めました。モイーズはたくさんの人から尊敬されているフルート界の巨人です。そのモイーズが「理解者は100人中、1人でいい」と言っているのです。

 「いつくしみ深き 友なるイエスは、変わらぬ愛もて 導きたもう。世の友われらを 棄て去るときも、祈りにこたえて 労りたまわん」(『讃美歌』312番3節)

 極めて人気の高い有名な讃美歌の3番です。これも、世の友に棄て去られたらどんなにつらいでしょう。でも、「私はイエスさまひとりにわかってもらえたら、それで生きていけます」という歌なのです。われわれは、イエスさまひとりの「いいね」で生きて行けるのです。

 「自立とは『依存先を増やすこと』」ということはよく聞くようになりました。たしかに、いろいろな人にちょっとずつ助けてもらうことは大切だと思います。でもこの4つの例、「サラダ記念日」「東京砂漠」「マルセル・モイーズ」「いつくしみ深き」からすると、実は真の理解者は「ひとり」でいいのかもしれませんね。

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