外山雄三を讃えて⑤

 このシリーズも5回目となりました。前にも書きましたとおり、私は、1996年に、外山雄三の指揮する仙台フィルの演奏(とくにラフマニノフの交響的舞曲!)を聴いて圧倒され、以来、東京に住んでいるあいだは、毎年、1年に1度は、外山雄三の指揮するコンサートに行っていました。ファンです。その独自のアナリーゼ(曲の分析)と解釈、いずれも圧倒的です。今回は、なかなか忙しくて外山雄三の演奏会に行けなくなってしまったころの話を書きますね。

 いまから思い出すと、その日は、2008年5月3日でした。憲法記念日でした。さきほどのnoteで、伊藤真さんの話を書きましたので、憲法に興味があったと思われかねないですが、関係ないです。憲法にかんするもよおし(講演会)があり、それに付随する形で、演奏会があり、それの指揮が外山雄三だったのです。連休だし、聴きに行きました。

 まず、憲法の講演。ある大学の憲法学者の先生が話しましたが、ちっともおもしろくない話でした。これなら、大学時代に、教員免許を取得するために必要だった日本国憲法の単位をそろえるために受けた長谷部恭男先生や高橋和之先生の話のほうがよほどおもしろく、そして伊藤真の話はもっとおもしろい。そんなわけで、外山雄三の出番が来ました。オーケストラは名古屋フィル。合唱がいましたが、どこの合唱団かはわかりません。メインの曲は、林光(はやし・ひかる)と外山雄三の合作による交響曲「五月の歌」で、そのほかに、外山雄三の新曲の世界初演が2曲ほどありました。「五月の歌」は、「交響曲」と言っているものの、いくつかの楽章(曲)からなっていて、合唱が入っていて、オラトリオみたいな曲でした。楽章によって、林光の担当だったり、外山雄三の担当だったりしました。外山雄三の、特に若いころの作品に多いのですが、得意な和声進行があります。なんというか、マイナーコードに、長7度→短7度→6度、とつける和声進行で、外山作品に頻発します。有名な「管弦楽のためのラプソディ」にも登場します。この「五月の歌」にも登場しました。(歌詞がわからないうえに、コードは聴き取れるので、こういった感想になります。歌詞は日本語なのですが。)新作も、オーケストラを伴う合唱曲でした。アンコールに、その新作のうちのひとつをもう一度、演奏し、お開きとなりました。そういう、特殊な演奏会でしたが、久しぶりに外山雄三が健在であることを目の当たりにし、うれしい思い出になりました。しかし、この次に私が外山雄三を聴くのは、2019年。この「五月の歌」の日から、なんと11年後だったのです!

 そして、前にも書きましたが、ここへ来て、外山雄三のCDがたくさん出ましたね。いずれも大阪交響楽団で、チャイコフスキーの後期交響曲、「ロミオとジュリエット」、ボロディンの「だったん人の踊り」、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」、ベートーヴェンの交響曲全集。どうも金銭的な余裕がなくてまだ買えていませんが、廃盤にならないうちに買わないとね!私が学生時代など、外山雄三の「ベートーヴェン交響曲全集」が出るとは思いませんでしたよ!有力なブログ「守口フィラデルフィア管弦楽団研究会」さんが、「外山雄三指揮でベートーヴェン交響曲全集を作るべし」と書いてくださったのがいつのことか、そのおかげもあるのかもしれません。ありがたいことです。そして、今後、外山雄三の自作の作品集のCDも予定されているとのこと。たのしみですねえ。

 以上です!

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