PTSD評価尺度(面接&自己記入型)

PTSD尺度の日本語解説があまり見当たらなかったので自分用を兼ねて記載。
順番は適当。

SI-PTSD.

SI-PTSD..17項目からなる構造化インタビューによるアセスメント

項目の回答は、クライエントの症状がPTSDのDSM基準B、C、Dを満たしているかどうかを判断するために使用することができる。項目は0~4の尺度で採点される。症状が2(中等度)以上であれば陽性とみなされる。面接は、最初のスクリーン質問が陽性であれば、20~30分で実施できる。
精神保健の専門家が実施することも、何らかの訓練を受けた後にパラプロが実施することも可能である。

項目の詳細は以下の通り
0 = not at all
1 = mild; rarely and/or not bothersome
2 = moderate; at least once a week, and/or rare but produces significant impairment of function or distress
3 = severe; at least 4 times per week
4 = extremely severe; daily or produces so much impairment that patient cannot work or enter social situations
9 = no information

各サブクラスターの最大得点

B(再体験):20点
C(回避):28点
D(過覚醒):20点

PSS-I

24項目の半構造化面接で、過去1ヶ月間のPTSD症状を評価し、DSM-5の基準に基づいて診断判定を行う。PSS-I-5では、まず基準Aの外傷スクリーニングを行い、複数の事象が報告されている場合には、指標となる外傷を特定する。質問は、20のDSM-5のPTSD症状の頻度と強度を評価する。さらに4つの項目では、PTSD症状による苦痛や干渉、症状の発症と持続期間について質問する。
訓練を受けた個人であれば誰でも実施することができ、完了するまでに15分から25分かかる。

症状項目は、0(全くない)から4(週6回以上/重度)までの頻度と重症度を5段階の尺度で評価している。
評価が1以上の場合は、症状があるとみなされる。20のPTSD症状項目を合計すると、0~80の範囲でPTSD症状の重症度スコアが得られる。

DSM-5と同様に、PTSDの診断には、侵入症状が1つ、回避症状が1つ、臨床的に重要な苦痛や妨害が2つあることが必要であり、関連する項目で2点以上のスコアが必要とされている。

項目の詳細は以下の通り

(5バージョンの場合)
0 = Not at all
1 = Once a week or less/a little
2 = 2 to 3 times a week/somewhat
3 = 4 to 5 times a week/very much
4 = 6 or more times a week/severe

(旧バージョンの場合)
0 = Not at all
1 = Once a week or less/a little
2 = 2 to 4 times a week/somewhat
3 = 5 or more times a week/severe

各サブクラスターの最大得点

(旧バージョン)
B(再体験):15点
C(回避):21点
D(過覚醒):15点

PSS-SR

PSS-SRは、DSM-IVに準拠してPTSDの症状を評価するために設計された17項目の自己報告式質問票。
各項目は症状を重症度や頻度で記述し、再体験、回避、覚醒、総得点のサブスケールを作成します。スコアが13以上であれば、PTSDの可能性が高いことを示す。
症状尺度面接(PSS-I)と同時に発表されたもので、同じ言葉遣いが多く含まれている。

項目の詳細は以下の通り

0 = Not at all
1 = Once per week / a little bit / once in a while
2 = 2 to 4 times per week / somewhat / half the time
3 = 5 or more times per week / very much / always

各サブクラスターの最大得点

B(再体験):15点
C(回避):21点
D(過覚醒):15点

CAPS

CAPSはPTSD評価の金字塔です。CAPS-5は30項目の構造化面接。

現在(過去1ヶ月間)のPTSDの診断を行う。
DSM-5の20のPTSD症状の評価に加えて、症状の発症と持続時間、主観的苦痛、症状が社会的・職業的機能に与える影響、前回のCAPS後の症状の改善、全体的な反応の妥当性、全体的なPTSDの重症度、解離性サブタイプ(離人と非現実化)のサブスケールを対象としている。

各症状について、標準化された質問とプローブが提供される。
測定時には症状を調べるための基礎となる指標となる外傷的出来事を特定することが必要である。CAPS-5に含まれる基準Aの照会に加えて、DSM-5のライフイベントチェックリスト(LEC-5)が推奨される。

CAPSはPTSDの知識を持った臨床家や臨床研究者が実施できるように設計されているが、適切な訓練を受けたパラプロが実施することも可能である。面接時間は45~60分である。

基準B(項目1-5);基準C(項目6-7);基準D(項目8-14);および基準E(項目15-20)。症状クラスタースコアは、項目19および20を合計することにより、解離について計算されることもある。

重症度評価

0 全くなし 被面接者が問題(症状/障害)を否定する、または、被面接者の回答が DSM-5 の症状基準を満たさない。
1 軽度/閾値以下 被面接者は症状の基準に合致する問題について述べるが、それは臨床的に意味があると考える
のに十分な程度に重症ではない。述べられた問題は DSM-5 の症状基準を満たさない。それゆえ述べられた問題は
PTSD 診断のための項目には含まれない。
2 中等度/閾値レベル 被面接者は臨床的に意味がある問題を述べる。述べられた問題は DSM-5 の症状基準を満たす。
それゆえ述べられた問題は PTSD 診断のための項目に含まれる。述べられた問題は介入の目標となるであろう。
この評価のためには、少なくとも月 2 回以上、または、1 ヵ月のうち 20-30%に加えて、強度は少なくとも「明ら
かにある」が必要である。
3 重度/閾値を顕著に上回る 被面接者は閾値を十分に上回る問題を述べる。述べられた問題は制御が困難で圧倒
されてしまう。述べられた問題は明らかに介入の目標となるであろう。この評価のためには、少なくとも週 2 回
以上、または、1 ヵ月のうち 50-60%に加えて、強度は少なくとも「かなり」が必要である。
4 極度/能力を損なう 被面接者は閾値をはるかに上回る劇的な症状を述べる。述べられた問題は侵襲的で制御不
能で、圧倒されてしまうものである。述べられた問題は介入の優先度が高いであろう。


現在診断・生涯診断
B.再体験症状:40
C.回避と感情麻痺症状:56
D.覚醒亢進症状:40

1か月評価の重症度
B(再体験):20点
C(回避):8点
D(認知と気分の陰性の変化):28点
D(過覚醒):24点

PDS

PDS は、Edna B. Foa (文献 1)により開発され、DSM-IV の診断基準のトラウマ判定、PTSD 症状 17 項目、および機能障害について尋ねる自己記入式質問紙。
PDS では、簡易な PTSD 判定、PTSD 重症度評価ができる。
自己記入式の調査票であり、10~15 分で実施できる。

診断基準:

A 基準(負傷または命の危険) 問 16~19 「ハイ」が一つ以上
(出来事の最中の無力さまたは恐怖) 問 20、21 「ハイ」が一つ以上
B 基準(再体験) 問 22~26 1 以上の評定値が一つ以上
C 基準(回避・麻痺) 問 27~33 1 以上の評定値が三つ以上
D 基準(過覚醒) 問 34~38 1 以上の評定値が二つ以上
E 基準(1 ヶ月以上の症状持続) 問 39 2 以上の評定値
F 基準(生活機能障害) 問 41~49 「ハイ」が一つ以上

各サブクラスターの最大得点

B(再体験):15点
C(回避・麻痺):21点
D(過覚醒):15点

IES-R

IES-Rは旧IES(Horowitz et al, 1979)の改訂版として、米国のWeissらが開発した心的外傷性ストレス症状を測定するための自記式質問紙である。旧IESは侵入症状7項目、回避症状8項目の計15項目より構成されているが、IES-Rは過覚醒症状項目を追加し計22項目より構成されている。IES-R日本語版は集団災害から個別被害まで、幅広い種類の心的外傷体験曝露者の症状測定が可能であり、横断調査、症状経過観察、スクリーニング目的などに、すでに広く使用されている。

侵入症状 Intrusion (8項目); 1, 2, 3, 6, 9, 14, 16, 20
回避症状 Avoidance (8項目); 5, 7, 8, 11, 12, 13, 17, 22
過覚醒症状 Hyperarousal (6項目); 4, 10, 15, 18, 19, 21


【引用サイト】

PTSD: National Center for PTSD
https://www.ptsd.va.gov/professional/assessment/adult-int/caps.asp

ストレス災害時こころの情報支援センター
https://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/pds.html


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