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爪噛み癖の当事者研究(1)

オニコファギア、という病名を聞いたことがある人はいるだろうか。
別名「ネイルバイティング」、いわゆる爪噛み癖のことを指す。

これを読んでくれている読者の方々の周りにも、1人は爪噛み癖を持つ人がいるのではないだろうか。

オニコファギアという名前自体はほとんど浸透していないと思うのだが、爪噛み癖と聞くと「ああ、そういえばあの人はいつも噛んでいるな」と思い当たる節があると思う。

結論から言うと、私自身がその癖で大変困っている。
「お前対人援助職のくせに自分が困ってるのかよww自分で治せよww」と言われてしまうとぐうの音も出ない…が、自分で言うのもなんだがたばこや酒、極端な話ドラッグレベルでやめられない人もいるのではないだろうか。


そこで、(誰が読んでくれているかはわからないが)同じようなことで困っている人のために、この連載を書こうと決めた。
あわゆくば書籍を出すという夢のまた夢に繋がれば…という下心も持ちつつ…←

なお、もちろん心理士なので内容に専門的な内容を含めようと思うのだが、それ以上に”当事者研究”としてのエッセンス、つまり自身の経験的な部分を重要視して描写したいと思う。

最終的にはこれを書きつつ、自身の癖が治っていっているというのが目標だ。


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オオタの爪噛み歴

自分の当事者としての自己紹介として、自分の爪噛み歴をさらしてみると

・小学校2年時から「なんかささくれが気になるな」という気持ちがあったのか、ふと爪や指のささくれを噛んでみる。
そこから爪噛み癖が始まる
・親から「こら!噛まないの!」と何度も注意されるが、隠れて噛んでいた
・中学校2年生の頃、初恋をする。「爪が汚くてはいけない」と思い半年間ほど爪噛みをやめられていたが、再発(きっかけは覚えていない)
・爪切りをつかって噛みにくいところを噛むなど、より深刻化
・社会人となり「これではいけない!」と思い、バイターストップ(とてもつもなく苦い薬)を購入。一時期爪噛み癖の封じ込めに成功する
・再発(なぜだ…)

これ以上書くと長くなってしまうが、記載されている以上にやめようと試みている。が、ことごとく失敗している。
なぜ失敗するのだろう…
このことについて当事者的な視点から見ていきたい。

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まじでうまいんだって!

自分が大学院生の臨床心理士見習いだったころ、偶然にも同期数名が同じことで困っていたので、”当事者グループ”と称して集まって話したことがある。

そこで、それぞれ症状の表出のタイミングは異なっていたのだが、全員が口をそろえて言っていたことが

「爪はうまい」

………知らない人が聞くとドン引きするかもしれないが、こちらは本気で言っている。そう爪はうまいのだ!!!!!!まじでうまい。

うまく味を表現できないが、まるで触感は裂きイカのようで、それでいて少し塩味がある。

裂きイカでいいじゃんと思うかもしれないが、裂きイカよりはるかに手に入りやすいのだ(?)
すぐに手が伸びてしまう。

ドン引きかもしれないが、この事実は当事者の人たちはきっと大きくうなずいてくれるんじゃないだろうか。

それと同時に、個人的にはこのことによって爪噛みという行動が「誤学習(誤って行動を覚えてしまうこと)」に繋がっているんじゃないかと思う。

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脳のバグ

あらゆる嗜癖について、現在言われていることが「脳のバグ」が起こっているのではないかということだ。

つまり、嗜癖が発生しているときに、脳の理性的な部分の活動が本能的な部分に抑制されてしまい、うまく考えられなくなっているのではないかということがわかってきている。

こちらについても本当にうなずける。

爪を噛み始めた瞬間に、まるでスイッチが切り替わったように止まらなくなってしまう。

頭のどこかで「止めたい、止めなきゃ」と強く思っても行動が止まらない。
噛んでしまう。気づくと爪がなくなっている。辛すぎんか?

よく「意志の力で止められないの?」と聞かれるのだが、止められたら止めてます。まじで。

脳のバグが起こっているのに、ほんとどうしろと。

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というわけで治りません。残念でした。

という終わりではあまりにバッドエンドすぎるので、この連載は「自己治療を行いつつ、そのシェアをnoteで行っていく形」で続けていきたい。

成功するかしないかは筆者次第、成功しなくても当事者の人には有益な情報と研究を提供したいと思っていますので、興味がある人は読んでください。

次回は、「リラプス」「行動記録を取る」「行動を消去させる」について解説と挑戦、そして研究を行っていければと思います。

全体的に中途半端なところかもしれませんが、個人的にはきりがいいので一旦ここまでで。

ではでは。


サポートいただけたら今後の執筆活動・研究活動に使用させていただきます。